声明・アピール・決議
米英によるイラク攻撃に反対し、平和的解決を求める決議
  アメリカは、2003年1月28日に行われたブッシュ大統領の一般教書演説において、イラクが安全保障理事会決議687号等に違反して、大量破壊兵器を研究し、中東地域の支配の野望を抱いており、また、大規模なテロの危険も想定しうるし、脅威を除去するために先制武力攻撃を行う旨公言している。
アメリカは空母数隻を含む15万人規模の軍隊を湾岸地域に集結中であり、イギリスも同地域に軍隊を派遣中であって、世界は今、再び大規模の戦争の危機に直面している。
 イラクが、国連査察に対して、十分な協力をしているかどうかについては、議論があるところかもしれないが、これまでのところ、少なくとも大きな査察妨害はなく、パウエル国務長官の国連演説の中身を検討しても、未だイラクが大量破壊兵器を製造しているという明確な証拠はないというべきである。このような現状をふまえて、世界が選択すべき途は、国連安保理査察の継続による事実関係の徹底解明であり、国際法規を無視した先制攻撃が許されるはずはない。
 万一、武力行使が行われてしまえば、一般の市民や子供らを含めた罪もない人々を含め、数十万人もの多数の人命が奪われるという深刻な人権侵害を招きかねないのである。イラクの大量破壊兵器の開発・保有を問題にするアメリカ自身が大量破壊を行おうとしているのであり、到底容認できるものではない。
 イラク問題については、拙速な武力行使に反対し、査察を継続せよ、平和的解決をせよというのが、フランスやドイツ、アラブ周辺諸国を始め、世界の圧倒的な要請である。最近行われた国内マスコミの世論調査でも、イラク攻撃には反対というのが圧倒的な多数を占めている。
 こうした情勢の中で、日本政府は、アメリカの武力行使を支持すると共に、イージス艦を派遣しようとしているが、このような政府の姿勢は、平和憲法を蹂躙し、国民の声を無視し、国際法規違反の著しい人権行為に加担しようとするものに他ならない。
 民主法律協会は、米英によるイラク攻撃に反対すると共に、日本政府に対し、イラク問題について、国連による査察を継続し、事実関係を解明した上で、あくまでも平和的解決を求めるよう、アメリカ、イギリス政府に働きかけること、国際法規に違反した武力行使に加担し周辺アラブ諸国にも脅威を与えかねないイージス艦の派遣など、軍事面を含めた一切の協力をしないことを強く求めるものである。
 我々は、いかなる場合においても、あくまでも戦争を回避し、平和的解決をはかるよう、あらゆる国々、人々と連帯して、平和な世界の実現に向けて、最善の努力を行っていくことを宣言する次第である。

以上決議する
2003年2月16日
                           民主法律協会
 2003年権利討論集会
   
 
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