声明・アピール・決議
(権利討論集会 第3分科会アピール)

派遣労働者の権利実現、労働者性の確保・拡大を
呼びかけるアピール

  1.  第3分科会では、「派遣・請負問題の闘いに勝利し、働く者を守る大きな運動をつくりあげよう!」をテーマに、派遣労働の問題と、派遣を含め多様な非正規の労働形態で働く人たちの権利をどのように守っていくのかについて議論しました。

  2.  2008年秋のリーマンショック後、日本の経済界は、その痛みを労働者に押しつけてきました。特に派遣労働者に対する派遣切りや期間工切りの嵐は深刻な社会現象となり、「年越し派遣村」も出現する事態となりました。その後、企業の利益を優先し、規制緩和を進めてきた自公政権が退場し、新たに生まれた民主党政権は、派遣法の抜本改正をマニフェストに掲げ、今年5月の成立を目途に、改正法案の策定を進めています。
     しかし、昨年末に発表された労働政策審議会答申は、その内容において、2009年の衆議院選挙前に民主党が国会に提出した法案から大きく後退したものであり、労働者保護の観点から容認できないものでした。
     私たちは、労働者の使い捨ては許されないという声を真摯に聞き、答申には縛られない、真に実効性ある法的規制を行うよう政府に求めます。
     
  3.  また、昨年12月には、松下プラズマディスプレイ事件について、社会の流れと逆行する判断がなされました。私たちは、企業の責任逃れを容認する最高裁判決を許すわけにはいきません。現在も、関西だけで約30の違法派遣・偽装請負事件が提訴されています。理論的にも、また、運動としても、この判決を乗り越え、派遣・偽装請負など間接雇用労働者の権利と生活を守るたたかいをすすめるよう呼びかけます。
     
  4.  問題は、派遣労働だけではありません。労働者保護法制の規制を免れるために、労働者を雇用とは異なる契約形式で働かせる行為(非労働者化)が横行しています。このような企業の行為は、労働者としての就労実態があるにもかかわらず、これを形式でごまかすという看過し難い脱法行為です。
     しかし、裁判所は、近時、このような企業の脱法行為を免罪するかのような判決を繰り返しています。INAX事件東京高裁判決、ビクターエンジニアリング東京地裁判決は、労組法上の労働者性について、ほとんど契約形式のみから労働者性を否定した極めて不当な判決であり、到底容認することはできません。
     労働運動の根幹に関わる「労働者性」をめぐるたたかいを、今後とも重点的に取り組むよう呼びかけます。
     
  5.  第3分科会では、派遣・請負を中心に、労働者の現状と裁判での闘い方について、2日間にわたり学習・討論をしました。
     自公政権のもとで、規制緩和・企業第一の政策が進められる一方、労働者の権利は後退を余儀なくされてきましたが、政権が交代し、「反転攻勢」のチャンスが生まれています。
     権利討論集会で学び、討論した内容を糧に、さらに派遣・請負問題等労働者保護のための運動を盛り上げて行きましょう。

                                                                                                        以   上 

2010年2月14日
民主法律協会権利討論集会第3分科会
   
 
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