声明・アピール・決議
国民の声を国会から締め出し、9条改憲に道を開く「国会法改悪」「比例定数削減」を許さない決議

民主・社民・国民新党の与党三党は、2010年1月18日から始まった通常国会において、政府参考人制度の廃止、内閣法制局長官を政府特別補佐人から外すことを柱とする国会法などの改正案を早期に提出しようとしています。
 国会法「改正」の背景には、「政府による憲法解釈は内閣が責任をもって行う。」という鳩山首相ら政府与党幹部の改憲志向があります。自民党政権時代に、内閣法制局は、内閣の法律顧問として集団的自衛権が憲法9条の下では認められないので、海外での武力行使や他国と一体となった武力行使は許されないと説明してきました。今回の国会法「改正」は、内閣法制局長官の排除によって、内閣部内でのブレーキを取り払い、政権の意図する解釈改憲を国会の場でゴリ押ししようとするものです。
また、官僚答弁禁止との触れ込みで、行政や法案作成にあたる官僚に対して、野党議員が疑義を質し、行政のあり方を批判して改善をさせる機会をなくそうとしています。これでは、与党側が官僚を審議の矢面に立たせないようにかばうこととなり、野党にとっては官僚の民主的コントロールの機会を失う結果となります。
 国会法「改正」の発信元は、2002年10月の経済同友会提言であり、その中では、内閣と与党を一元化して、首相のリーダーシップを確立することや、マニュフェスト選挙や単純小選挙区制の導入などが提唱されています。これにならった民主党は、選挙のマニュフェストの中で、衆議院比例定数の80削減を打ち出しています。
 民主党は、首相の強権的な政治の邪魔となる内閣法制局長官を国会から排除することで、政府部内の憲法解釈上のブレーキをなくし、官僚答弁禁止によって野党議員からの行政に対する批判・注文を封じたうえ、比例定数を80削減して中小政党を国会から排除し、国民の多様な政治的意見を国会から締め出そうとしています。前回の総選挙の結果を100の比例議席にあてはめれば、公明党は10議席、日本共産党は4議席、社民党は比例では0となります。まさに二大政党もしくは与党が圧倒的多数となる独裁的国会です。民主党および自民党のいずれもが改憲を口にする状況の中で比例定数削減は、間違いなく9条改憲への道にほかなりません。
 私たちは、日本の議会制民主主義が真に発展するために、国会のチェック機能を弱める国会法「改正」にも、国民の多様な意見を国会から締め出す比例定数削減にも反対し、与党三党が国会法「改正」を撤回することと、比例定数削減を行わないよう強く求めます。

2010年2月14日
民主法律協会権利討論集会
参加者一同
   
 
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