中労委「共立メンテナンス不当労働行為再審査事件」で、共立の再審査申立を棄却

2021年05月15日

弁護士 愛須 勝也

1 はじめに

2021年4月26日、中央労働委員会は、「共立メンテナンス不当労働行為再審査事件」について、共立メンテナンス株式会社(東京都千代田区。以下、「共立」という)の再審査申立を棄却する命令書を交付し、共立に団交応諾、文書手交、掲示(ポストノーティス)を命じた府労委命令を維持した。

本件は、守口市学童保育指導員労働組合の団体交渉の申入れに対し、共立が組合規約等の提出を求め、提出された規約に不備があるとして団交に応じなかったことが不当労働行為に当たるとされたものである。

守口市の学童保育をめぐっては、2020年3月末に、組合四役をはじめとする13人の指導員(12人が組合員)が雇止めされ、うち10名が大阪地裁に地位確認等を求めて提訴し、この雇止めも不当労働行為であるとして救済命令を申し立てているが、団交拒否に引き続く雇止めも組合活動を嫌悪した不当労働行為であることが一層明らかになった。

2 守口市学童保育の民間委託

守口市は、市直営で運営してきた学童保育を民間委託し、2019年4月から共立により運営が開始された。民間委託まで、指導員は非常勤職員として1年ごとの雇用を繰り返してきたが、共立との間でも1年更新の有期雇用契約が締結された。指導員組合は、守口市職員労働組合の分会として組織されていたが、民間委託に際し組織変更し、守口市学童保育指導員労働組合としてスタートした。

3 共立の団交拒否

組合は、民間委託が開始された2019年4月1日、団交申入れを行った。当初、共立は、日程を調整していたが、学童保育連絡協議会(学保協)に指導員が関わることに介入した共立に対し、組合が批判する申入れを行ったことをきっかけに態度を変え、組合規約の提出を求めてきた。組合が、団交開催を優先して規約を提出したところ、共立は、規約が労組法に抵触するから団交に応じないという態度に転じた。組合が、共立の態度を批判しつつ、どこが抵触すると考えるのかを問うたところ、具体的な指摘をしないまま団交拒否を続けた。

4 初審命令

そこで、組合は2019年9月11日、府労委に救済命令を申し立てた。共立は、弁護士も選任せず、繰り返し資格審査を求めるだけで実質答弁をせず、その後の期日は欠席し、最終陳述書も出さなかった。府労委は、申立てから7か月余りで団交応諾命令と文書手交及び掲示(ポストノーテイス)を命じた。

5 中労委における共立の主張

共立は、中労委に再審査を申立て、弁護士を選任した上で、①組合は、労組法に適合しない規約に基づいて運営されているので、民主的に運営されず独裁に陥っているから同法2条の自主性の要件を満たさない、規約不備について会社に教示を求めているから自主的運営の意思がない、規約改正手続において重大な瑕疵がある、②団交申入れの時点において、労組法2条及び5条の要件を満たさないから、労組法の保護は一切及ばないなどと主張した。

6 中労委の判断

中労委は、①組合の自主性を認め、規約不備がただちに同法2条の要件を満たさない状態にならないこと、教示を求めた点は、申入書は会社の対応を非難する内容となっているから自主的運営の意思がないといえないこと、団交拒否の時点では、組合規約に不備があり、改正手続も十分ではなかったが、命令交付の時点までには改正がなされて改正規約が成立しているとして、会社の主張を排斥した。

②また、同法5条1項の規定は、団交に先立ち、組合が使用者に対して規約の適合性を立証しなければならないことを定めたものではないこと、5条2項の規定に適合することは、救済命令発令の要件であって、発令までに資格審査の決定がされていれば足り、再審査における救済命令発出時点で規約不備が是正されている以上、救済命令を発することは可能であって、行為時点で規約に不備があっても不当労働行為は成立するとして、会社の主張をすべて排斥して、初審命令を維持した。

7 本命令の意義

府労委における雇止め事件の審理においても、共立が組合を嫌悪して雇止めを行った実態が明らかになったが、後続事件の調査・審問期日にも出席しないなど、労働委員会無視の態度が顕著であり、本中労委命令に対しても訴訟提起する可能性が高い。

一方、現場では、不利益を恐れて多くの組合員が組合を脱退しており、少なくない児童が学童保育を辞めている。
会社は、労組法をはじめとする法令を遵守しなければならないにもかかわらず、中労委において不当労働行為とされたのであり、学童保育の実施主体である守口市の責任が厳しく問われる。地位確認訴訟の審理も近く個別立証の段階に入ることが予想され、指導員らが一日も早く子ども達のところへ戻れるように、引き続き奮闘する決意である。

(弁護団は、城塚健之、原野早知子、谷真介、佐久間ひろみと当職)