民主法律時報

2020年12月号

コロナ禍だからこそ―― 2021年権利討論集会に ご参加ください!

権利討論集会実行委員長・民法協幹事長
        弁護士 岩 城  穣

 2021年2月13日(土)に権利討論集会を開催します。今回は、初めての試みとして、①2月10日(水)夕方と②2月11日(木・休)午後に2つのプレ企画を行います。(本集会は参加費2000円、プレ企画はなんと参加費無料!)。

新型コロナウイルス感染拡大の第三波が猛威を振るい、感染の収束が見えず、人と人との接触の機会の自粛により、事業者や労働者、市民が深刻な打撃を受けています。多くのイベントが自粛に追いやられる中、このような状況だからこそ、感染防止対策を行った上で、労働者、市民の権利について討論してきた権利討論集会を実施したいと考えます。

感染防止対策から、今回は初めて広い会場での間隔をあけたリアル会議とオンライン(zoom)の併用(ハイブリッド方式)で実施します(今後の感染拡大状況によっては、完全オンラインに切り替える可能性もあります)。

プレ企画①
2月10日(水)午後6時半~
エル・おおさか本館708号+zoom(オンライン)
「核兵器禁止条約 発効の意義と課題」 参加無料
2021年1月21日に核の製造・保有を包括的に禁止する世界初の国際条約が発効します。ただその内容や意義、条約発効に至った運動の経過等については詳しくご存じない方も多いと思います。そこで本プレ企画では、この問題を研究されてきた関西学院大学の冨田宏治教授に基調報告をいただき、さらに核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の活動について川崎哲さんに報告いただいて、意義と課題について共有、討論したいと思います。民法協での核兵器禁止条約についての初めての企画です。ぜひ多数の方にご参加頂ければ幸いです。

プレ企画②
2月11日(木・休)午後1時~
完全zoom(オンライン)
「諸外国に学ぶ 雇用によらない働き方」 参加無料
自公政権は、就労者を労働者保護法制の枠外におく「雇用によらない働き方」を進めようとしています。一方、時代の流れに即して、多様な働き方が現れているのも事実です。今回のプレ企画では、第一部として、今年7月に「ディスガイズド・エンプロイメント――名ばかり個人事業主」を上梓された龍谷大学の脇田滋名誉教授に、諸外国における「雇用によらない働き方」の規制や取組みついて基調報告をいただきます。それを受けて、第二部では、ユニオンや協同組合などの連帯した闘いや取組みについて、交流します。

権利討論集会(本集会)
2月13日(土)午前10時~午後4時
エル・おおさか+zoom
参加費2000円

午前の記念講演は、藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス理事)に「新型コロナが顕在化させた労働者の貧困と対抗する運動の必要性」というテーマでご講演いただきます。コロナ禍の収束が見込めない影響で、特に弱い立場にある非正規労働者やフリーランスの方が真っ先にしわ寄せを受け、格差・貧困が急激に拡がっています。「下流老人」や「貧困クライシス」の著者で、これまで生活困窮者支援の最前線で活動されてきた藤田孝典さんに、コロナ禍での貧困の実態、私たちの運動の課題について、お話しいただきます。まさに時機に適った講演で、多数の方にお聴きいただきたいです。

また午後の分科会は、今回は4つに絞ることにしました。①コロナ禍における整理解雇(裁判闘争)、②均等待遇、③コロナと労働・社会保障、④過労死・働き方で、いずれもリアル会議とオンラインのハイブリッド方式で行います。
①コロナ禍における整理解雇(裁判闘争)の分科会では、コロナ禍で拡がっている整理解雇に対して労働者、労働組合がどう闘うかについて討論します。黒字にもかかわらず会社を解散し全員解雇した東京美々卯事件、雇用調整助成金を受給しながら雇止めを行った京都和紙会社の雇止め事件、また民法協で弁護団を組んで取り組んだ外国人整理解雇労働審判事件の報告をいただき、パネル方式で討論します。
②均等待遇分科会では、今年10月13日、15日の旧労契法20条最高裁判決の到達点と課題を学び、その上で新たに施行されたパート有期法のもとで、非正規労働者の格差是正、均等待遇を実現する取組みについて交流、議論します。コロナ禍での非正規労働者の差別についても討論します。
③コロナと労働・社会保障の分科会では、藤田さんの記念講演を踏まえ、藤田さんにもご参加いただき、同じく貧困問題の最前線で取り組まれてきた小久保哲朗弁護士にも登場いただき、コロナ禍での生活困窮の実態と制度、取組み等について具体的に討論します。労働組合の雇用調整助成金を活かして労働者の雇用と生活を守る取組みについても報告いただきます。その上で、我々がどのような制度が必要で、それをどのようにして実現するかについて議論します。
④過労死・働き方分科会では、政府が推し進めるダブルワーク(兼業副業)、またコロナ禍で脚光を浴びているリモートワーク(テレワーク)について、現在の法規制やガイドライン等を押さえた上で、政府の狙いや実態、また危険性について討論します。POSSE代表の今野晴貴さんにもご参加いだだき、また過労死家族の会の方から事件の報告もいただく予定です。

記念講演や4つの分科会、そして2つのプレ企画も含め、現在の労働者や市民の権利、課題を取り上げた、充実した企画となること間違いなしです。ぜひ、各労働組合や団体から多くの方にご参加いただき、今後の取り組みに活かしていただきたいと思います。

なお、感染拡大防止の観点から、事前申し込み制をとり、リアル会場にはいずれも上限を設定します。申し込みはお早めにお願いします。オンラインで参加できる環境にある方については、オンライン参加にご協力をいただければ幸いです。
多くのご参加をお待ちしています!

コロナ雇い止め地位確認訴訟提起の報告

弁護士 中村 和雄(京都)

 新型コロナウイルス感染拡大に起因する解雇や雇い止めが増大していると言われる中で、京都市の書道用紙の加工・販売メーカーで色紙の製造や御朱印帳の表紙作りに従事してきたパート労働者が雇い止めを無効として裁判に立ち上がり、2020年9月7日京都地裁に提訴しました。

感染拡大の緊急事態宣言を受けた4月、会社の一部休業に伴い、原告は他の社員とともに休業となりました。会社には、全印総連京都地連傘下の組合があり、組合の交渉と協力により会社は休業中の社員の賃金保障については全額を雇用調整助成金の受給で賄っていました。

原告の雇用契約は1年間の期限付きで、原告の最初の雇用契約の始期は2018年8月7日でした。2019年の更新期には更新契約書の作成もされないまま、当然のように更新がなされました。原告は、雇用に不安を抱き今年6月に組合に加入しました。組合は、粘り強く会社と団体交渉を続けてきました。少なくとも、雇用調整助成金が受けられている期間については、原告の雇用を継続させるのが使用者としての責任ではないか、その間原告の雇用を継続させたとしても会社の負担はごく僅かなのであるから、あえて雇い止めにするべきではないとして交渉してきたのです。会社側の団体交渉出席者は取締役である京都弁護士会の会員です。

会社から納得できる説明がないまま、会社は、更新時期の1月前である7月5日に原告に対し、雇用契約を更新しない旨を通知してきたのです。

中小企業においては休業手当として支給する金額の100%が雇用調整助成金の対象です。従来の賃金額全額を休業手当として支給しても会社はその金額全額を助成金として受給できるのです。現在のところ、コロナによる雇用調整助成金は2020年12月まで存続するとされていますので、少なくとも今年いっぱいは会社は自己の負担がほとんどない状態で原告の雇用を維持することができるのです。コロナによる雇用調整助成金の特別制度は、解雇や雇い止めを防止するために制度設計したものです。今回の雇い止めは、こうした制度趣旨に逆行するものです。整理解雇においては、解雇回避努力義務を尽くしたことが解雇が有効であるための判断要件とされています。雇用調整助成金の利用によって本件雇い止めは回避できるのです。

裁判は、12月7日に第1回弁論期日を迎えました。会社の代理人の答弁には、厚労省の発表で6~7万人が解雇や雇い止めになっていることを持ち出して、「これらをすべて違法というのか」と開き直っている記載があります。しかし、そもそもコロナの経営危機の中で経営者が解雇や雇い止めをしないための制度として雇用調整助成金の特別拡充制度を創設しているのです。会社側の答弁は雇用調整助成金の拡充制度の趣旨に明らかに反するものです。

原告代理人(当職と諸富建弁護士)としては、整理解雇と同様に「解雇(雇い止め)回避努力を尽くしていない本件雇い止めは無効である」との判決がなされるはずであると信じています。

裁判・府労委委員会例会報告 均等待遇と裁判闘争

弁護士 足立 敦史

1 はじめに

2020年11月30日、裁判・府労委委員会の例会がエル・おおさかで開催されました。今回は、旧労働契約法20条裁判の最高裁判決を踏まえた裁判闘争をテーマとしました。コロナ禍の下ですが、感染予防対策を徹底し、参加者は28名となりました。

2 均等待遇実現のために

例会は二部制で、第1部では河村学弁護士より「均等待遇実現のために」との題目で、有期雇用労働者の格差をめぐるこれまでの5つの最高裁判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件、大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件、日本郵政事件)について、判決の結果、内容、経過という3点から報告いただきました。

河村弁護士は、これらの判決結果が、「歴史上経験したことのないような有期労働者の格差是正であり、有期雇用労働者の不公正な処遇について最高裁が公的に確認したもので、雇用区分による差別は認められないという社会的意識の変革を生む可能性が広がるものである。」と分析されました。

判決内容について最高裁は、賃金の趣旨によって格差を設けることが不合理か否かを判断していること、賞与・退職金の格差を不合理としなかったことにつき結論ありきの判断で趣旨の解釈理由を示していないこと、事例判断にすぎないことを強調されました。

経過については、「非正規の闘いは常に負ける闘いであったが、旧労契法20条があったから最高裁も態度を変えざるをえなかった。同一労働同一賃金は相対的な規制であるため、安倍政権のもとでもすすめることが可能であった。日本の労働運動が勝ち取った成果であることを理解することが重要である。」と話されました。

最後に今後の取組みとして、「この論点は、一人が問題にすれば波及させることができるものであり、少数でも取り組むことできる。大阪医科大の最高裁判決が出たあと、名古屋地裁では賞与6割を下回るものを不合理とした判断も出ている。パート有期法を活かすため、取組みを「今やらずしていつやるのか。」」と呼びかけられました。

3 日本郵政事件と大阪医科大事件原告の思い

第2部は、西川大史弁護士と日本郵政事件、大阪医科大事件の原告の方にフリートークで裁判の経過を振り返ってもらいました。

日本郵政事件の提訴メンバーが12名に限定されたのは、会社からの雇止め等の報復を避けるために成績優秀で職場に不可欠な人材を選ぶ必要があったことが報告され、原告の方からは、提訴の経緯や配達先での励まし、「大げさではあるが、時代を動かしたかった。非正規の就業規則を変えさせる。」とのお話がありました。

大阪医科大の原告の方が一人で立ち上がった思いとして、「秘書として研究室で受け持っている人数が正職員の5倍であるにもかかわらず、基本給や賞与の有無等、労働条件にあまりにもひどい格差があった。提訴の不安はあったが、アルバイトで人件費を安く済ませようとする大学の働かせ方のひどさを社会に問題提起するために提訴した。」と話されました。

また、大阪医科大事件の運動として、SNS、ホームページ、電子署名等これまで労働組合が積極的でなかったネット上での運動に取り組み、誹謗中傷もあったが、多くの反響があったことが報告されました。その上で、最高裁判決につき「仕事内容は正職員と9割が一緒なのに、どうして賞与がゼロになるのか。判決の字面だけを読むとアルバイト秘書と正職員秘書の働き方が誤解されるように誘導して判示されており、アルバイトがクレームをつけているように読めてしまう。ひどい潰され方をしたが、今後も泣き寝入りせずに動いてほしい。私自身も自分一人のためでなく、非正規の方のためにも頑張っていきたい。」と話されました。

4 意見交換

労働組合から、「社会を変えて司法を変える。」「雇用形態で差別がされない社会に」との訴えがなされました。
つづいて、最高裁判決の枠組みを踏まえてどうやって賃金の趣旨を主張立証していくべきなのか質問があり、賃金の趣旨を記載するような就業規則等はなく支給要件等から主張すべきこと、実際には有為人材論が趣旨ではないとどうやって反論できるのか議論をする必要があることが確認されました。運動面では、当事者同士の横のつながりを含めた支援が大事で、特に非正規の方も立ち上がっていい雰囲気を作ることが重要であることが示されました。格差があれば合理性の立証責任を使用者に負わせる法整備の必要性も主張されました。

最後に原告の方から、「どういう社会にしていきたいかを描いて運動することが重要。」「途中で何度もやめようと思ったが、何度も励まされて裁判を続けることができた。非正規の方は声を上げることができない方がたくさんいるので今後もより一層の支援をお願いします。」との形で締めくくられました。

有期雇用労働者の格差是正の現状と課題、当事者の思いや背景、今後の運動の在り方を考える充実した例会となりました。

労働法研究会 労組法における「使用者」について

弁護士 中西  基

2020年11月28日に労働法研究会がオンラインで開催されました。参加者は30名でした。

オンラインでの開催は前回に引き続いて2回目となります。コロナ禍において多人数が一堂に会することを避けるために、やむを得ず始めたオンライン開催ですが、遠方からでも参加しやすい、家庭生活と両立させやすいなどのメリットが大きいと感じました。膝をつき合わせた方が議論が深まるとのご意見もありますが、オンラインでの議論の仕方(機器操作や司会進行役の技量を含む)に習熟してくれば、十分に実りのある議論ができるのではないかと思います。

今回の労働法研究会のテーマは、「労組法上の使用者性」でした。
はじめに京都府立大学名誉教授である中島正雄会員から、従来の理論動向と問題状況を分かりやすく整理した基調報告をいただきました。朝日放送事件・最高裁判決の意義を再確認するとともに、この最高裁判決を曲解し、その射程範囲をねじ曲げていると言わざるを得ない中労委の判断基準(ショーワ事件・中労委平24・9・19、中国・九州地方整備局事件・中労委平24・11・21、パナソニックホームアプライアンス事件・中労委平25・2・6、日本電気硝子外一社事件・中労委平26・2・19)の問題点が指摘されました。

その後、会員が関与した最近の4つの事件(①堺・学童労組事件・大阪府労委平31・1・8、中労委令2・8・5、②全港湾日検事件・大阪府労委平31・2・12、③東リ事件・兵庫県労委平31・4・25、④朝日放送ラジオスタッフ事件・大阪府労委令2・2・3)について、各弁護団・当該労組から詳しい事件報告と労委命令の問題点などが報告されました。

①は、委託事業における受託者の変更にともない、旧受託者に雇用されていた労働者が新受託者に継続雇用を拒否されたという事案、②③④は偽装請負事案であり、②③は発注者への直用を要求した事案、④は発注者に雇用の保障を要求した事案です。

今回の報告と議論をお聞きして、25年前の朝日放送事件・最高裁判決の時代と比べて、派遣や委託などの間接雇用形態が広く蔓延している現代において、あらためて不当労働行為制度の目的に立ち返って、不当労働行為の主体と不当労働行為の形態を類型化しつつ、労組法7条の使用者性の判断基準を具体化・明確化する必要を強く感じました。また、具体的な事案においては、団交申入れ先の類型に応じて、団交要求事項をどのように工夫するのかも重要ではないかと感じました。

中島先生は、今年3月で京都府立大学を定年退官されました。研究会を企画した時点では、中島先生の慰労会をさせていただく予定だったのですが、コロナ禍で断念せざるをえませんでした。やはり慰労会はオンラインではなく対面でやりたいですね。

なくそう! 官製ワーキングプア大阪集会「コロナがあぶり出した、公共サービスのあやうさとエッセンシャルワーカー」に参加して

吹田市関連職員労働組合 長谷川  文

2020年11月7日(土)、「なくそう!官製ワーキングプア第8回大阪集会が開催されました。

いつも「他の地域の状況を知らなければ」と思い参加させてもらっています。今回からは実行委員会から参加させてもらいましたが、ほとんど参加できず、毎回のメールのやり取りもついていくだけで精一杯でした。私が働いているのは学童保育の現場です。自分自身が“エッセンシャルワーカー ”だと、認識しておらず改めて考える集会となりました。コロナ禍でより一層必要とされ、また「同一労働同一賃金」と言われているのにもかかわらず、全国的に学童保育をはじめとしたエッセンシャルワーカーとされる労働者が大切にされていない実態が明らかになって、疑問と憤りを再認識しました。特に同じ仲間の守口市や堺市の実態は本当にひどいものです。私が働いている自治体も交渉はすれど中身は一向に改善されず悶々としてしまいますが、他市では交渉すらされずという自治体も少なくないようです。「同一労働同一賃金」は一体なんだったのでしょう。「厚労省のマニュアルも解釈次第」なんてそんないい加減なことがあっていいのでしょうか。

横行するハラスメント。毎回この集会でそんな話を耳にします。これは解決したり収まることはないのでしょうか。実際身近なところでも起きています。労働者が安心して働けないのは社会の仕組みそのものが歪んでいるからと感じずにはいられません。

保健師さんは組合にもいて仕事内容はなんとなく知っているつもりでした。しかし今回の報告を聞かせてもらい、いかに自分が知らなかったかということと、そんな風に自分たちの仕事を知ってもらおうと様々な奮闘をしていらっしゃる姿を知りました。皆さんそれぞれに自分の生活があり、日々暮らしていくだけでも大変な世の中なのに、共通しているのが自分の仕事にやりがいと誇りを持ってされていることが何より勇気づけられることでした。利用者の声というのは時にお叱りを受け落ち込むこともありますが、やっぱり仕事を続けていける励みになるもの。聞いていてそのように感じました。誇りを持って働いている職員がいる現場を、上層部はちゃんと見るべきですね。

記者の方の話は、自分たち以外でもこんな形で奮闘している方がいて、とても心強く思いました。印象に残ったのは「あきらめずにやり続ければ誰かの目にとまる」「私たちは無理難題を言っているわけではない。当たり前の権利が欲しいだけ」という言葉でした。暗い話ばかりで落ち込んでしまいますが、こうして多くの仲間が「当たり前の権利」のために日々奮闘している姿を思い出しては、あきらめずにがんばろうと思います。

職場、地域で今こそ労働組合を広げよう!  北河内第36回権利討論集会を開催しました

大阪労連北河内地区協議会 事務局長 青山 一見

2020年11月29日(日)大阪労連北河内地区協議会は、民主法律協会の協力を得て、北河内第36回権利討論集会を守口市役所1階会議室で開催しました。この権利討論集会は、北河内統一労組懇時代の1983年 月6日に第1回を開催以降、今年で36回目となります。

従来は休日を一日つぶして午前・全体会、午後・分科会を行ってきましたが、今回はコロナ禍の下で、広い会場を確保しつつ午前中の全体会のみとし記念講演と労働争議を闘うなかまの特別報告を行い 名の参加者でした。

記念講演は、「今こそ労働組合の力を 権利侵害と闘う勝利の方程式とは―裁判・労働委員会闘争を念頭に―」のタイトルで学習。講師を谷真介弁護士(民主法律協会事務局長)にお願いするとともに、菅義人大阪労連議長から連帯のあいさつを頂きました。

講演では、労働者の権利侵害や闘いにおける労働組合の役割、過去の事例を挙げながら、労働組合も社会の一員として、企業や労使間の枠を超えて、地域や市民とつながる活動をする事も大切ではないかと強調されました。

講演に対するアンケートには、「労働組合のあり方、支援する側、される側の心得と運動のバランスが難しい」「改めて労働組合はなぜ存在し闘うのか考えさせられた」「弁護士の立場でのお話に同感できる点、なるほど、そうは云ってもと思う事など興味深い講演だった」などの感想が寄せられました。

特別報告では、エミレーツ航空争議団の解雇から職場復帰を果たすまで、守口市の学童保育指導員解雇撤回の取り組み、関西外大スト権裁判、JAL不当解雇撤回闘争、ABCラジオスタッフユニオンの不当解雇撤回裁判から闘いの現状や教訓が報告されました。さらに、困窮する青年・学生向けのフードバックの取り組みをすすめる日本民主青年同盟北河内地委員会から報告をいただきました。

報告では、「争議団の真の団結」「悔いを残さない」「行動する目的、タイミング、メリハリをもって」「弁護士・支援者を支えに」など闘いの前進や悩み、教訓が報告されました。

報告に対するアンケートには、「労働組合はいろんな形で攻撃され、他人ごとではないと感じた」「目の前の闘いと、国政レベルの制度改善の闘いを同時に展開」「若者を取り巻く状況、それを作りだしている社会・世論、その中でも変化が起きている話を聞け、世代を超えて頑張らなければと感じた」などの感想が寄せられました。

コロナ禍の下で、一層生活と雇用環境の悪化が予測されているもとで、労働組合と地域と連帯した取り組みが求められています。大阪労連北河内地区協議会は、“一人の首切りも許さない ”を合言葉に労働者に寄り添った運動を強化していきます。

今後とも、民主法律協会のご協力をよろしくお願いいたします。
※参加いただいた弁護士、谷真介弁護士、愛須勝也弁護士、小林徹也弁護士

日本労働弁護団2020年全国総会の報告

弁護士 安原 邦博

2020年11月13日~14日、日本労働弁護団2020年全国総会が開催された。今年は、コロナ禍のため完全オンライン(現地会場なし)開催である。長時間のオンライン会議は集中が切れやすいからか、各日とも予定開催時間はほんの2時間 分ずつであった(実際には両日とも終了時には3時間程経過していたが)。

さて、1日目(11月13日)は、和田肇名古屋大学名誉教授による記念講演「労働法・社会保険法の持続可能性」があった。法律上または事実上労働法や社会保険法(各種社会保険の法制度)の保護の「枠外」に置かれた就業者に特に大きなコロナ禍の影響が出ていることを受け、これら制度に係る諸々の問題を明らかにして提起をする講演であった。また、この日に、フジ住宅ヘイトハラスメント事件の第一審判決(2020年7月2日言い渡し)について原告弁護団が日本労働弁護団賞を受賞したため、同弁護団長である村田浩治弁護士及び原告本人が受賞スピーチをおこなった。

2日目(11月14日)は、労働者性に係る問題について報告と討議がなされた。日本労働弁護団労働者概念研究会の2020年10月21日付「『雇用によらない』働き方と労働者概念に関する提言(第一次試案)」等について報告がされ、討議においては、同提言における「独立事業者」や「使用従属性」の扱い等に関して特に議論がなされた。また、均等均衡待遇問題に関し(旧)労契法20条裁判の各弁護団から報告があり、大阪医科薬科大事件については当会の谷真介事務局長が報告をした。その他、パワハラ防止法及び指針の活用や、教員、医師の働き方等について報告がなされ、「解雇の金銭解決」問題については当会事務局である冨田真平弁護士が報告をした。

ところで、今年は、例年開催されているスタディーグループの代替として別日に「プレ企画」も実施された(11月3日に「技能実習生の労働問題」、11月7日に「コロナ解雇事件への対処」)。各地から大勢が一か所に集まる催しで別日にプレ企画を設けるのは難しいので、これはオンラインの利点であろう。また、通常の集会では同時に複数の者が発言するのは難しいが、この度の労働弁護団総会では、報告者等が発言をしている最中にチャット上で質問や意見等が書き込まれ、総会出席者間で議論をすることができたり、それら書込みを執行部が取り上げることができたりしていた。これらオンラインの利点は、コロナ禍が落ち着いた後も活用し続けるべきであろう。

《寄稿》平等と能力・競争主義について考える

島根大学名誉教授 遠藤 昇三

新自由主義的改革により生じた貧困・格差社会の克服に向けて出版されたのが、「脱〈自己責任=格差社会〉の理論」という副題の付いた竹内章郎(岐阜大学)等『平等主義が福祉をすくう』(青木書店、2006年)であった。その問題意識の一つとして示されたのが、第二次大戦後の日本においては、自由と平等を対比して平等の方がより不十分・少ないというものである。その点の評価をするつもりはない(また、自由と平等の非対立的捉え方についても触れない)。貧困・格差社会とは、言い換えれば不平等社会であるから、それの克服の理念として「平等」を対置することには、異論はない。

しかし、戦後日本の平等とは、能力主義(言い換えれば競争主義)と両立しうるという限界を抱えていたこと、能力・競争主義から脱却した平等の確立が求められるのではないか、ということを、ここで論じたい(これは、『民主法律時報』568号の拙稿「大企業労働者の主体形成について」の補足でもある。以下、大企業労働者を念頭に置いて議論する)。

第二次大戦前の日本は、{一君万民=天皇を除く国民(=臣民)は平等とされつつ}実質的には貴族・官僚・臣民・その他(アイヌ民族、日本国籍外国人等)という身分制社会即ち不平等社会であった。その歴史を踏まえ、日本国憲法は、第14条により、平等を原則とするに至った。しかし、その平等とは、いろいろに解釈されるものであり、さしあたり機会の平等即ちスタートラインの平等を、最低限の意味内容とするものであった。実質的な平等や結果としての平等は、理想論としてはともかく、現実的に意味のある平等論としては、社会的に定着しなかった。そして、同じスタートラインからスタートして以降の競争は、全くの自由であり、かつあらゆる意味で平等(即ち、国籍・性・信条等の違いによる差別を否定する)であるに拘わらず否それが故に、能力の差異そしてその結果による違いを、承認するものであった。その上で押さえておくべきことは、第一に、その「平等」は、建前であって本音ではなかったのではないかということである。つまり、平等という主張に対して、正面からは異論を唱えず同意する、しかし本音においては、必ずしも不平等を排斥しないものであった。第二に、平等に関する考え方が多様であり、平等についての合意形成が不十分であったように思われる。以上から帰結するのは、「平等」として異論なく合意されたのは、結局は機会的・形式的平等即ちスタートラインの平等でしかなかった、従って平等の意味内容が、貧困であったと思われる。

そして、そうした平等観を労働者も容認していたが故に、企業社会が進める能力主義的・競争主義的な人事・労務管理に対抗出来ず、受容して来たのである。出発点は、工員(=ブルーカラー)と職員(=ホワイトカラー)の身分差別の撤廃としての平等要求であった。それは、ただちには能力・競争主義を容認するものではなかった。しかし、企業の人事・労務管理の労働組合による統制が出来ない限り、企業の支配が貫徹する、従って企業が能力・競争主義を導入するに到ると、労働者はそれに対抗出来なかった。しかし、それ以上に問題となるのは、労働者が、進んでそれを受容したことである。労働者は、能力・競争主義に対抗しそれを克服する原理を、持ちえなかったのである。そこから、いわば無制限の「労働者間の競争、昇進・昇格をめぐる競争、さらに企業間競争等」に、労働者は、巻き込まれて行くのである。その上に、企業による差別と分断が重なり、相互に促進・強化し合うのであるから、労働者は、労働者間の連帯・団結から遠ざかって行かざるをえないのである。

では、その能力・競争主義にいかに対抗し克服して行くべきなのかが、問題である。まずは、能力主義的競争を肯定した場合には、三つのことが考えられる。一つは、形式的平等即ちスタートラインの平等が、必ずしも成立しないことの自覚の形成である。企業による労働者間の差別・分断により、既にスタートラインにおける格差が生じているのであって、言い換えれば、公正・公平な競争にならない状況にある。そこから、(その上に加わる)能力主義的競争を制限すべきことが、帰結される。もう一つは、過度の競争の制限である。労働者の権利・利益の擁護・増進にとって、競争は、マイナスに作用する。そうとすれば、最低限、競争の過度性を緩和することが、目指されねばならない。さらに、能力評価の恣意性や不公平性の排除、公正な評価の確立である。評価の基準ややり方次第によって、労働者の納得を得た競争にまでは改善することが、可能であろう。

次に、能力・競争主義それ自体の克服が、やはり目指されねばならない(今直ちに克服に向かうことは、不可能であろう。従って、能力・競争主義の肯定の上での制限、という道の延長線上のことになろうが)。競争とは、簡単に言えば、労働者間の差別・分断の促進・強化であるが、労働者は、自らの権利・利益の擁護・増進のためには、相互間の連帯・団結が欠かせない。競争の肯定は、連帯・団結の否定であり、連帯・団結には開かれていないしそれに向かわないのである。しかも、強調すべきなのは、競争の否定は、ただちには連帯・団結に結びつかないことである。連帯・団結に結びつくには、「大企業労働者の主体形成」が、不可欠である。本稿が、上述の前稿の補足となる所以である。