民主法律時報

真夜中のブラック企業ホットライン報告

弁護士 野 条 健 人

2015年1月16日(金)、民法協のブラック企業対策判例ゼミに参加する若手弁護士を中心にして、「真夜中のブラック企業ホットライン」を実施しました。
このホットラインは、「ブラック企業被害対策弁護団」が長時間労働を強いられている労働者が電話を掛けやすいように、夜中まで相談を受け付けるというもので、大阪でも19 時から夜中24 時までホットラインを実施しました。
あいにく告知不足もあってか、相談件数は1件しかありませんでしたが、この1件の相談は、典型的なブラック企業による被害を訴える内容でした。
その相談内容の概要は、以下のとおりです。
・「会社を辞めさせてくれない。」「社長から『君が退職するなら君のミス(相談者に身に覚えのない内容)による営業損益数百万円を支払ってもらう』と凄まれる。」
・「月約  時間程度の残業はあるが、残業代は勤続  年で一度も支払われたことがない。」それどころか「会社への不満を言うと同意なしに賃下げされた。」
・「待遇改善の上申をしたところ、会社から種々のパワハラを受け適応障害になった。」「診断書を持っていても辞めさせてくれない。」等々でした。
ブラック企業は法律遵守の姿勢すらなく、労働者を喰い潰すものであることをこの相談からあらためて実感しました。これらの相談を受けて、ホットラインの相談員と協力しあって正確に回答しました。
最後に、相談者が、「本当に安心しました。誰にも相談できなくて・・・」と声を振るわせていた様子に、権利救済にこぎつけたと思うよりも、改めて「人間らしい生活」さえ失わせているブラック企業の恐ろしさを実感しました。(その後、相談者は無事に会社を退職でき、会社を相手に裁判するか否かは検討中である。)
今回のホットラインの問題点は、相談が1件(相談時刻は  時台)しかなかったことです。今後は、どのようにしてホットラインの情報を届けていくかが課題です。ブラック企業の労働者は、長時間勤務で心身ともに疲弊していることから、日頃から新聞やテレビも見ずに生活を営んでいます。そのため、自らの権利救済に接する機会すらないのが現状です。今回の相談者も偶然フェイスブックでの告知を目にしたため、ホットラインに電話をかけてきたとのことでした。
今後もこのようなホットラインを定期的に実施して、ブラック企業の労働者の権利救済のため、引き続き、ブラック企業と闘っていきたいと思います。

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP