民主法律時報

大阪弁護士会における秘密保護法反対の取り組み

弁護士 向 井 啓 介

1 7月6日扇町公園での野外集会

2014年7月6日の雨が降る日曜日、扇町公園にて、秘密保護法の廃止を求める集会が大阪弁護士会主催で行われました。これに先立つ5月15日には、集団的自衛権の行使を容認すべきであるとの安保法制懇の報告を受け、安倍首相が集団的自衛権の行使容認に向けた法整備を検討するとの記者会見を行い、それを受けて7月1日に、集団的自衛権の行使を容認するとの憲法解釈の変更を閣議決定しました。扇町公園での集会は、閣議決定直後の大規模な集会ということもあり、秘密保護法の反対にとどまらず、閣議決定による集団的自衛権の行使容認に対する反対する人々も多数参加されました。
そのため、この日の集会は、政党関係者、秘密保護法の廃止に向けて行動している市民団体、宗教団体、環境団体、医療関係者、消費者団体等多岐にわたる団体がアピールをし、また、5000人を越える人々が集い、集会としては成功したと言ってもよいと思われます。
もっとも、大阪弁護士会としては、これまで5000人規模の屋外集会をした経験がなく、集会の企画段階から、運動団体の協力をえながら進めていきました。集会自体に参加された各種団体はもちろんのこと、集会の企画段階から協力していただいた団体には、この場を借りてお礼を申し上げます。

2 大阪弁護士会の秘密保護法反対の動き

大阪弁護士会では、2010年8月に出された有識者の報告書を受けて、政府(当時は民主党政権)が法案準備に取りかかろうとした時期の2011年2月に、秘密保全法プロジェクトチームが設置されました(座長は大江洋一弁護士)。
その後、4月に元毎日新聞記者の西山太吉さんらをお招きしてシンポジウムを行い、5月には弁護士会主催でデモ行進を行いました。その後、年に2回のペースでシンポジウムを行い、弁護士会の会員及び市民に向けて、秘密保護法の問題点と危険性を訴えてきました。
そして、プロジェクトチームは対策本部に格上げされ、秘密保護法が国会に上程された2013年秋の臨時国会の期間中には大規模なデモ行進を行うことができました。残念ながら、法律は成立してしまいましたが、その後も法律の問題点や危険性について研究し、その成果を市民に向けて発信し続けています。

3 10月30日の中央公会堂での集会

現在、大阪弁護士会では、10月30日の夕刻に中央公会堂の大ホールをお借りして、市民集会を開催することを企画しています。現時点では、どのようなゲストをお招きするかとか、どのように進めていくかについて企画段階ではありますが、12月の法律施行前の大規模な集会になるように知恵を絞っています。折しも、閣議決定で集団的自衛権の行使容認を決めた直後の臨時国会の開催期間中であり、また、秘密保護法の運用基準等もとりまとめられ、いよいよ秘密保護法が実際に運用されようとしている時期でもあり、もう一度、昨年の11月から12月にかけて全国各地で秘密保護法の成立に反対するとの声がわき起こったような運動の起爆剤になることを期待しています。
この記事をお読みになられた皆様も、お忙しいとは思いますが、お時間の許す限り、10月30日の中央公会堂の集会にご参加されますよう、お願いいたします。

なお、現在の情勢においては、秘密保護法の単独の法律に反対するだけにはとどまらず、7月1日の閣議決定や法律レベルで憲法が標榜する戦争の禁止や平和主義が踏みにじられようとしていることへの対応が必要です。秘密保護法も、戦争準備のための統制の法律の一部であり、また、秘密保護法の次は共謀罪の成立とも言われており、こちらの法律は、市民運動や労働運動を抑圧する手段として利用されかねず、治安立法の強化の動きには弁護士会のみにとどまらず、運動団体においても敏感に対応していくべきであると思われます。

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