民主法律時報

派遣労働問題研究会が大阪労働局との懇談会を開催

弁護士 高 橋 早 苗

 2013年7月29日、大阪労働局と派遣労働問題研究会の懇談会が実施され、大阪労働局から4人、派遣労働研究会から8人が出席しました。大阪労働局との懇談会は約2年ぶりの実施である上、特に今回は昨年の派遣法改正後初めての懇談会ということで、予定された時間を超えて、活発な意見交換がなされました。

 まず初めに2011年及び2012年の統計に関する質問では、是正指導の件数については資料を提示のうえ数が示されましたが、そのうち業務偽装が行われていた件数については統計をとっていないとのことでした。また、申告から是正指導までの期間については、統計をとっていないものの、申告から1週間以内に対応し、是正までは1~2か月とのことでした。さらに、是正指導の際の直接雇用の推奨に関しては、明確な法的根拠がないため指導書に明示はできないとしつつも、雇用の安定を図るべきという指導をする際には、全てについて直接雇用の推奨をしているとのことでした。

 次に、昨年10月1日施行の改正派遣法に関しては、新設された条項の違反事例などはまだ蓄積されていないようですが、2015年施行予定の改正派遣法については、40条の6のみなし規定の労働者への周知を行っていくとのことでした。また、派遣受入期間制限違反の派遣については、派遣元会社が変わっても派遣先の受入開始時期から通算して期間をカウントするとのことでした。もっとも、当該みなし規定は、違法状態が解消してから1年はみなし規定が発動するとされているため、労働者派遣契約解除後の元派遣労働者も申告することができないのか、派遣法40条の4や40条の5においても、既に就労していない元派遣労働者であっても、当該規定を活用すべきではないかとの疑問を投げかけましたが、派遣法49条の3により、現に派遣労働者でない者は申告できず、情報提供という扱いになるとのことでした。労働局側は、その場合でも門前払いはせず話を聞くとのことでしたが、こうした規定を元派遣労働者も活用できるよう運用していくべきではないかとの意見が出ました。

 以上のように、現状の派遣労働に関する事例や対処、改正派遣法の施行に伴う報告などをもとに、意見交換がなされ、大変有意義な懇談会となりました。今年の懇談会は、2年ぶりとなりましたが、来年には改正派遣法の事例もある程度集積されることと思いますので、今後も労働局との懇談会を継続し、派遣労働者の保護の取り組みに活かしていきたいと思います。

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