決議・声明・意見書

決議

カジノ実施法の廃止を求め、大阪へのカジノ誘致に反対する決議

1 2018年7月20日、自民党、公明党、維新の会などは、特定複合観光施設区域整備法(いわゆる「カジノ実施法」)を通常国会で可決した。
カジノは、日本では刑法で賭博行為として犯罪とされており、カジノ解禁は、国民の約7割が反対している。カジノ実施法は、当時発生していた西日本豪雨の災害への対応を優先するよう求める国民世論を無視し、国会で十分に議論しないまま強行採決された。

2 同法は、我が国で初めて民間事業者が私的な利潤追求のために賭博場を経営する自由を与えるものである。政府は週3日の入場規制や6000円の入場料など「世界一の規制」というが、何ら実効性のある規制ではない。しかも、入場回数は「24時間で1回」とカウントされるため、施設に日をまたいで滞在すれば、利用者は、最大で週6日、72時間利用できることにもなる。そのほかにもカジノ事業者が利用者に賭け金を貸すことができるなど、ギャンブル依存症に陥らせる危険も大きい。しかも、カジノの合法化により、暴力団その他の反社会的勢力がカジノの運営に関与することは必至であり、犯罪の発生、治安の悪化、マネーロンダリング、青少年の健全育成への悪影響など、さまざまな弊害が懸念される。
カジノは、人を不幸に陥れ、市民生活・社会環境の悪化を招くものにほかならない。

3 大阪では、松井府知事と吉村市長が、カジノの大阪誘致にのめりこみ、来春の一斉地方選挙の争点とするとまで言い放っている。
維新の会の橋下徹前代表は、かつて「カジノが大阪都構想の試金石」と叫んでいた。大阪市民は、その大阪都構想を、2015年5月の住民投票で、明確に拒否した。
ところが、維新の会は、再び大阪都構想の住民投票を企てている。府民や市民を愚弄するものでしかない。維新の会は、大阪都構想という自らの野心のために、カジノと万博をセットにして巨額の税金を注ぎ、「大阪の成長の起爆剤にする」という。しかし、大阪万博を隠れ蓑にし、人の不幸を食い物にするカジノのために、多額の税金を投入し、夢洲地域の埋立などのインフラ整備を進めることは許されない。

4 私たちはカジノ実施法の強行成立に強く抗議し廃止を求めるとともに、全国のどの地域にもカジノをつくらせない闘いを広げて、カジノの大阪への誘致を阻止する運動の強化を呼びかけるものである。

2018年8月25日
民主法律協会第63回定期総会

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