決議・声明・意見書

決議

憲法改正の発議に反対する決議

自民党は、衆参両院で改憲勢力が3分の2以上の議席を有していることを奇貨として、憲法改正の発議を目論んでいる。自民党憲法改正推進本部では、戦争の放棄を定めた憲法9条の後に「9条の2」を創設し、自衛隊の保持を明記する案が大勢を占めている。

日本国憲法は、その前文からも明らかなとおり、第2次世界大戦が産み出した惨禍に対する深い反省から、平和主義と国際協調主義を基本的態度としたものであり、憲法9条は、これらを具体化した規定である。憲法に集団的自衛権を行使しうる自衛隊を明記し、戦争を行えるようにすることは、平和主義と国際協調主義という憲法の基本的態度に反し、憲法改正の限界を超える。

自民党は、かつては中国の脅威を、そして近年は特に北朝鮮による武力攻撃が切迫していることをもって安全保障関連法の制定や憲法改正の必要性の根拠としてきた。
しかし、本年4月27日、板門店で、歴史的な南北首脳会談が行われ、6月12日、米朝首脳会談も行われるなど、北朝鮮は、対話路線へと舵を切った。
今や、自民党のうたう憲法改正は、その根拠を失っているばかりか、現在の国際的潮流である「対話による平和」に逆行するものである。
また、憲法改正の発議の後に行われる国民投票の手続についても、十分な議論や情報提供がなされていない。国民投票法の改正案は、本年7月5日、衆院憲法審査会で審議入りしたが、野党が、広告規制等に欠陥があり、資金力のある改憲勢力を不当に利するなどと指摘して反対し、本格的な審議は秋以降に先送りとなった。このように、憲法改正は、その手続面にも大きな問題がある。

日本国憲法が根幹とする平和主義と国際協調主義を揺るがす時代錯誤の憲法改正を、数の暴力により押し通そうとする自民党の姿勢は、厳しく非難されるべきである。民主法律協会は、平和を護り、再び戦争の惨禍が起こることがないようにするため、断固として、憲法改正の発議を阻止することをここに宣言する。

2018年8月25日
民主法律協会第63回定期総会

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