民主法律時報

Q:人件費と定員は削減すべき?

Q:条例案では、人件費の総額と職員定数の削減目標を設定することとされています(16条)が、そもそも大阪府では、人件費が高額であったり、職員数に余剰があるのでしょうか。

A:大阪府職員の給料水準は、橋下改革の名の下に大幅に削られ、都道府県公務員の中で最低レベルです。大阪は他の地域より物価も高いので、金額の差以上に給料水準は低いといえます。
 その一方で、大阪府職員の時間外労働手当支給額は全国でトップ5に入るなど、職員数に大きな余剰があるわけではありません。
 公務員の給料水準が民間に比べて高いから引き下げるというのは民間人の心情的には受け入れられやすいのかもしれません。しかし、公務員の給料水準の引き下げは、必ずと言っていいほど「あの公務員でさえ給料が下がるご時世なんだから…」と民間の給料の引き下げ圧力に利用されます。
 公務員の待遇が民間よりよいと感じるならば、民間の待遇を公務員並みに引上げることが必要です。民間企業での働かせ方で、労働時間が長いと感じている人や、給料が安い、待遇が悪いと嘆く人は自分たちの待遇を上げて人間らしい働き方ができるように目指すべきであって、公務員の働かせ方を民間並みに非人間的な働き方にすればいいという問題ではありません。
 また、平成22年の統計によれば、大阪府職員の数は、橋下知事が就任する前の平成20年から比べると、一般行政職員は既に10%、人数にして900人も減少し、教員も500人以上減らされました。
 その結果、都道府県の一般行政職員1人が抱える住民の数は全国で2番目に多くなりました(1位は神奈川県)。
 職員基本条例のように、公務員の数は減らさなければならないとして、削減することを前提に目標を定めることは、かえって手段が目的化してしまい、住民サービスがきめ細やかに行き渡らなくなります。例えば、今でさえ、ケースワーカーのように法律で目指すべき1人当たりの受け持ち数80人を遙かに超える120人を受け持たされた結果、ケースワーカーの業務に支障が出ています。数減らしありきの姿勢では他の職場でも同様のケースが増えることになるでしょう。

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