決議・声明・意見書

決議

憲法違反の安保関連法の廃止を求めるとともに、安倍政権など改憲勢力がすすめる緊急事態条項等の明文改憲に反対する決議

政府与党は、これまでも憲法改正を目指し、憲法改正国民投票法を制定するなどしてきた。昨年9月、安倍政権は、憲法を改正することなく、わが国のほとんどの憲法学者、弁護士会、労働組合などの各種団体、そして、老若男女を問わず多くの市民が反対の声をあげる中、安保関連法(戦争法)を強行成立させた。安保関連法は、自衛隊が「いつでも、どこでも、切れ目なく」他国の戦争に介入し、海外で武力行使をすることを可能とするもので、憲法9条に真っ向から反する。さらに、憲法改正手続によらずに憲法よりも下位規範の法律によって憲法を破壊するという点において立憲主義にも反する。

そして、本年7月10日の参議院選挙の結果、政府与党やおおさか維新などの改憲勢力が国会の3分の2を占めることになり、いよいよ憲法改正が現実味を帯びている。

安倍首相は選挙戦を通じて憲法についてほとんど語らなかった。しかるに、参院選が終わるや否や、 「憲法改正するとは、ずっと申し上げています。選挙公約にも書いております。また、どの条文を変えていくかについては、谷垣総裁時代に憲法改正草案をお示ししている」「前文から全てを含めて変えたい」(開票当日のテレビ東京でのインタビュー)、「わが党の案をベースにして、どう3分の2を構築していくかが、政治の技術だ」(日本経済新聞7月11日付)と、自民党憲法改正草案(2012年4月27日)を基に明文改憲を推し進めることを明言した。

自民党改正草案は、政府による戦争の反省・平和的生存権を削除し、現行憲法9条2項を廃止して国防軍の創設を目指し、「公益」の名の下に人権制限を認めるものであり、およそ「憲法」の名に値しないものであって、かかる改憲を許すことはできない。

また、安倍政権・与党は再三にわたり、災害対策を口実とした「緊急事態条項」の創設に言及している。緊急事態条項は、戦争・内乱・恐慌・大規模な自然災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力が、立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限を政府に認めるものであるが(自民党改正草案99条参照)、かかる条項は、ナチス・ドイツの例を見るまでもなく、立憲主義・民主主義を破壊する危険性をはらむものであり、到底、受け入れることはできない。

過去の大戦を経て、戦争の惨禍を二度と起こすまいと誓ったはずの日本が再び戦争を行なう国となろうとし、日本国憲法によってわが国にもたらされている平和と民主主義、立憲主義は、今、かつてない危機に瀕している。

そのような状況下の今こそ、我々は歴史に学び、一人一人が戦争法廃止、緊急事態条項新設等に断固反対との声を上げていなかければならない。

平和憲法を擁護し、労働者と勤労者の権利擁護と民主主義の前進を目的とする民主法律協会は、安保関連法の廃止を求めるとともに、憲法9条2項の改変や緊急事態条項の新設等、平和主義、民主主義、立憲主義を破壊する明文改憲に断固反対する。

               2016年8月27日
民主法律協会 第61回定期総会

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