決議

さらなる有期労働契約規制を求める決議

2012年08月30日

 2012年8月3日、有期労働契約に関する労働契約法改正案が参議院で可決・成立した。
 改正法は、全体として見れば、法案提出直後の2012年4月9日に当協会が会長声明を発表して、国会審議を通じて改善を求めた箇所の多くが、実現されていない。この点は極めて遺憾という他ない。

 そもそも有期労働契約の規制は、恒常的に仕事があるにもかかわらず、雇用調整の際の便宜と人件費節減目的のために有期契約労働が野放図に利用されている現状を、規制を通じて改め、雇用の安定と正規労働者との均等待遇を実現してほしいという有期契約労働者の願いが出発点であった。労働者が人間らしい働き方をするためには、恒常的な業務に関して締結される労働契約は期間の定めのないものとする常用雇用を原則とし、有期労働契約は合理的理由がある場合にのみ例外的に認められるという入口規制が採用されねばならない。

 改正法第18条は、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みによって無期の労働契約に転換させる仕組みを定めた。しかし、この規定は、施行日以降に締結される有期労働契約にしか適用されず、これまでどれだけ有期労働契約が反復・継続されていようとも、施行日以前の契約期間は一切考慮されないのであり、労働者の雇用の安定を犠牲にし、企業側に過度に配慮した規定となっている点で批判を免れない。
 加えて、労働者の雇用安定の観点からは、反復・継続の上限5年は長すぎる。また、労働者の申込みも不要とすべきである。

 今後、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図るという改正法第18条の趣旨を周知させるとともに、使用者が、有期労働契約が無期労働契約に転換することを嫌って通算契約期間到達前に雇止めを行うことのないよう、転換抑制目的の雇止めは原則無効とするなどの具体的方策が改正法第18条の施行までに定められなければならない。

 就業形態を変更しない典型的なクーリング期間偽装は通達によって禁止されたが、クーリング期間中だけ就業形態を変更する形による脱法行為の余地は引き続き残っている。クーリング期間は撤廃すべきである。

 他方で、今回の改正法には、不十分ながらも有期契約労働者の雇用の安定と均等待遇の実現のために重要な規定が設けられた。
 改正法第20条は、有期労働契約の労働条件と無期労働契約の労働条件とが相違する場合において、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止する規定である。この規定は、民事的効力のある規定であり、不合理とされた労働条件の定めは無効となり、不法行為として損害賠償が認められうる根拠となる。当協会は、この規定を積極的に活用して、均等待遇の実現に取り組まなければならない。

 使用者側が有期契約を利用する理由の1つはそのコストの低さにあり、有期契約規制の実効化には均等待遇の実現が欠かせない。わが国は、同一職務に従事していれば、同一の処遇とすべきであるとの原則を規定したILO100号条約を批准しているのであるから、同原則に従い、同一職務に従事している者は同一の処遇を受けることとすべきである。

 当協会は、引き続き有期契約労働者の雇用の安定と均等待遇実現のためのさらなる法規制を実現すべく運動を継続することを改めて表明する。

2012年8月25日
民主法律協会第57回総会