声明・アピール・決議
(権利討論集会 第2分科会アピール)

有期雇用は「解雇付雇用」であることを確認し、
解雇付雇用規制法の早期制定を求めるアピール

  1.  有期雇用は、長年の間、「労働者の雇用の選択肢を広げる」という掛け声のもと、企業が必要なときは有期契約を更新し続けることで労働力を確保し、必要としなくなれば解雇や雇止めを行うというように、雇用の調整弁として企業に利用されてきた。そのため、労働者は、解雇や雇止めの不安におびえ、有給休暇など労働者として当たり前の権利さえ行使しにくい状態に置かれてきた。
     有期雇用労働者は、解雇や雇止めの不安にさらされるだけでフルタイム、パートタイムを問わず正規雇用労働者と同等の仕事内容をこなしているにもかかわらず、基本給は正規雇用労働者より低く、昇給も退職金も賞与も手当も認められないなど、正規雇用労働者よりも悪い待遇を強いられている。その結果、有期雇用労働者は、働けども働けども貧困から抜け出せない、いわゆる「ワーキングプア」の状態に追いやられた。そして、このような低賃金労働者の増加は、少子高齢化や年金制度など社会政策上も憂慮すべき事態を招いている。
     近年、企業側は、企業利益を優先し人件費削減のため、恒常的な業務にまで有期雇用労働者の利用を拡大しており、公務職場でも任期付職員制度を導入するなどして、労働条件の引き下げを図っている。しかし、有期雇用は、当初から解雇を予定している点で、むしろ「解雇付雇用」と呼ぶべきであり、このような有期雇用労働が労働者にとって望むべき「選択肢」でないことは明らかである。そして、昨今、10年の有期雇用が提言されるなど、現状は、正規雇用労働者の雇用をも脅かすものであると認識されなければならない。
     
  2.  我々は、このような、人間の未来を描けなくする解雇付雇用を規制する法律(以下「規制法」という。)を作り、以下の内容を盛り込むことを求める。
     第1に、労働契約は、期間の定めのないものが原則であることを再確認し、解雇付雇用は限定された明確かつ一時的な業務遂行に必要な場合に例外的にしか認めない。解雇付雇用を恒常的業務に利用することを禁止する。
     第2に、解雇付雇用を導入する際には、労働組合(これがない場合は過半数を代表する労働者)と協議のうえ、その同意を得なければならない。
     第3に、例外的に解雇付雇用を利用する者が契約を更新する場合、及び期間を超えて継続して利用している場合、正規雇用労働者と同じ期間の定めのない労働契約が締結されたものとみなす、いわゆる「みなし規定」を設ける。
     第4に、使用者は、解雇付雇用労働者につき、比較可能な条件に関しては、期間の定めのない契約の労働者と均等な労働条件をもって処遇しなければならないという、差別禁止条項を設ける。なお、この労働条件には、賃金、休日・休暇、福利厚生その他異なる扱いが客観的に正当化されない労働条件がすべて含まれる。

  3.  誰もが解雇や雇止めにおびえることなく、等しくその労働に対して報われる社会を築くために、我々は多数の労働者と連帯し、今後も必要な活動を行う。

                                            以   上 

2010年2月14日
民主法律協会権利討論集会第2分科会
   
 
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