Uber Eats (ウーバーイーツ)の 労働問題

2019年05月15日

弁護士 加苅  匠

 「UBER EATS」とロゴの入った四角い黒と緑の大きなバッグを背負って自転車を走らせている人々を見かけたことはないでしょうか。彼らは、米配車大手ウーバー・テクノロジーズが手掛ける料理配達サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員です。

Uber Eatsとは、スマートフォンのアプリを利用して、近くのレストラン等から料理を注文することができるサービスです。注文した料理は、自宅など指定した住所へ配達してくれます。

いわゆる「出前」サービスとは、注文した料理の配達をレストラン等の従業員ではなく、「Uber(ウーバー)」という仲介者(シェアリングエコノミー:インターネット上のウェブサイトを介して、相手方に特定の労務やサービスを提供するサービス)を介して集められた配達員が行う点で大きく異なっています。利用者から注文が入ると、ウーバーイーツはアプリを介して注文の入った店の近くにいる登録配達員に対して、店と配達先を示して配達を依頼し、配達員がこの依頼に応じれば業務が発生するという仕組みで、時間や場所に縛られない新しい働き方として注目を集めています。一方、配達員とウーバーは直接的な雇用関係になく、ウーバーも配達員を請負契約の個人事業主として扱っています。そのため、配達中に交通事故に巻き込まれても労災保険は適用されず、医療費は自己負担、休業補償も出ないなど、働く人に対する保障が存在しないのが現状です。

はたしてウーバーイーツの配達員に労働者性は認められないのでしょうか。配達員の実態をみますと、ウーバーイーツからの配達依頼に対して応答率が一定の率( %前後といわれている)を下回るとアプリが利用停止又は自動登録抹消されてしまうため、実際上配達の依頼に対する諾否の自由はほとんどありません。配達物や配達先、配達までの時間など、仕事の内容の特定や進め方は全てウーバーイーツが決定し、配達員はそれに従わなければなりません。当然、依頼を受けた後は、時間的・場所的拘束力を受けます。また、報酬についても、固定単価に加えて配達距離に応じて一律に増額されるなど、ウーバーイーツがあらかじめ一律的に決定しています。配達人がウーバーや顧客(レストラン等)と報酬や配達料金について交渉することはできません。

以上のような実態から、ウーバーイーツ配達員は個人事業主ということはできず、労働者性が認められる可能性は十分あるのではないかと思われます。実際、諸外国でもウーバーの下で働く就労者の労働者性が大きな社会問題となっており、フランスでは2016年にウーバーのようにアプリで仕事の仲介を行う企業に対して直接的な雇用関係がなくても労災保険や職業訓練の費用分担、団体交渉に応じることを定めた法律を制定するなど、一定範囲において労働者性を認めたり、労働者類似の法的保護を与えることが試みられています。

なお、民法協研究会の一つである中小零細事業主のための独禁法研究会では、ウーバーイーツの配達員をはじめとした「雇用によらない働き方」で働く人々の保護の在り方について研究しております。雇用によらない働き方に関してトラブルがありましたら、お気軽にご相談ください。