民主法律時報

2018年7月号

労働契約法20条最高裁判決について

弁護士 河村  学

1 はじめに

最高裁は、2018年6月1日、労働契約法20条の解釈が問題となる事案(ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件。以下、それぞれ「ハ事件」「長事件」)で、初めての判断を示した。
本稿では、判決内容の概略を述べるとともに、その意義と今後の課題を論ずる。

2 判決の内容

(1) 最高裁が示した労契法20条の解釈について、一般論として重要な点は次の7点である。
① 労契法20条の趣旨につき、有期雇用労働者(以下「有期社員」)は、無期雇用労働者(以下「正社員」)より、「合理的な労働条件の決定が行われにくく、両者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ」たものであり、「職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定である」とした。
② 同条違反の効力につき、同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効としたが、その場合でも労働条件が正社員と同じにはならないとした。有期社員は、本条違反を理由に賃金請求や地位確認請求をすることはできず、損害賠償請求をすることになる。
③ 同条にいう「期間の定めがあることによる相違」とは、労働条件の相違が「期間の定めの有無に関連して生じたものであること」とし、適用される就業規則の違いによって労働条件が相違する場合には、この要件を満たすとした。
④ 同条にいう「不合理と認められるもの」とは、労働条件の相違が「不合理であると評価することができるものであること」とした。
⑤ 不合理性の立証責任について、不合理であるとの評価を基礎付ける事実については20条違反を主張する側が、その評価を妨げる事実についてはこれを争う者がそれぞれ主張立証責任を負うとした。
⑥ 同条にいう「その他の事情」とは、職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定されないとし、有期社員が定年再雇用された者であることはこれに当たるとした(長事件)。
⑦ 賃金が複数の賃金項目から構成されている場合は、総額を比較することのみによるではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきとした。但し、「ある賃金項目の有無及び内容が、他の賃金項目の有無及び内容を踏まえて決定される」という事情も考慮されるとした。

(2) 最高裁は、個別事案について、①労働者側が挙げている正社員と比較し、②問題とされている賃金項目毎にその趣旨を判断し、③その趣旨と、職務の内容の異同との関連、変更範囲の異同との関連、その他の事情の有無及びその関連を順次検討して、不合理性を判断している。

例えば、ハ事件では、①請求している有期社員と同じ職場で同じ業務に従事する正社員とを比較し、職務内容は同じだが、正社員は転居を伴う転勤があるので変更の範囲は異なるとした。②次に、請求されている各手当毎にその趣旨を解釈し、例えば、無事故手当については、その趣旨を「優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得を目的として支給されるもの」とし、③各考慮事情について、職務内容は異ならないから、安全運転及び事故防止の必要性に差異は生じない、この必要性は変更の範囲が相違するという事情により異ならない、その他、不合理であるという評価を妨げるその他の事情もうかがわれないとして、相違を不合理とした。

また、住宅手当については、その趣旨を「従業員の住宅に要する費用を補助する趣旨で支給されるもの」とし、正社員については転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得るとして、相違を不合理でないとした。

(3) 結論として、比較対象の正社員と職務内容が同一で変更の範囲が異なるとされたハ事件では、皆勤手当、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の相違を不合理とし、住宅手当の相違は不合理と認めなかった。

また、比較対象の正社員と職務内容及び変更の範囲は同じだが、有期社員が定年後再雇用であるという事情が「その他の事情」で考慮された長事件では、精勤手当、超勤手当を不合理とし、能率給・職務給、住宅手当・家族手当、役付手当、賞与の相違については不合理と認めなかった。

3 両判決の意義と今後の課題

最高裁は、労契法20条がいわゆる均等待遇ではなく、均衡処遇を求めたものである点を明確にしたが、均衡を欠く労働条件の相違を無効・違法とすることで正社員と有期社員との格差是正を図りうることを認めた。これは同条の制定経過等からしても当然のことであるが、雇用形態の違いによる差別是正を頑なに拒んできた裁判所を変えさせた労働者の歴史的勝利であり、また、実際にも、例えばハ事件の場合、有期社員に全部の手当が適用されると月額3万3500円以上の賃金増になるのであって、格差是正の効果は極めて大きいものである。格差と貧困是正の要求を立法課題にし、政権交替まで引き起こした運動の成果が現れたものである点、法律による労働規制がいかに重要であるかを示した点を確認する必要がある。

ただ、労契法20条は、相対規制であり、最低賃金規制や労働時間規制のような絶対規制ではない。正社員の処遇を低めることによっても格差は是正されるのであって、現に、日本郵政では、第1審判決後に、不合理とされた相違について正社員の労働条件を引き下げること、無期雇用労働者の中で差別化を図ることが行われている。最高裁の判断も現政権の政策の許容範囲という面があるのであり、このことは、均等待遇・均衡処遇を求める運動は中核的正社員以外の多くの正社員の労働条件向上と併せて行わなければならないことを示している。

最高裁の20条解釈としては、「その他の事情」を無限定にしている点など種々の問題があり、また、両事件とも職務内容が同一とされた事案であった点(長事件は変更の範囲も同じ)、長事件は定年後再雇用という事案であった点など事案の特殊性があり、他の事案にどう適用されるかも今後の課題である。
今後とも、格差と貧困是正の運動との一つの手段として、各職場での労働条件の相違を総点検する取組み、 条を活用した差別是正の取組みを大いにすすめる必要がある。

フィンランド航空 配転無効事件 仮処分および本訴提起のご報告

弁護士 細田 直人

 2018年(平成30年)5月22日、フィンランド航空会社(以下、被告といいます。)を相手取り、配転の無効を求めて提訴しましたので、ご報告致します。

 被告は、フィンランド共和国が経営し、フィンランドの首都ヘルシンキ・ヴァンター国際空港を拠点に全世界130カ国以上に就航し、日本には、成田・中部・関空・福岡に拠点を置く航空会社です。

原告らは、被告に中途採用され、採用時から被告の名古屋ベース(中部国際(セントレア)空港)に所属し、名古屋―ヘルシンキ便(「名古屋便」)を担当してきた5名の女性客室乗務員です。原告らは、前職でも、各々異なる航空会社に勤務し、その拠点空港所属の客室乗務員として、全世界の便を担当していました。そのような原告らが、結婚などを機に日本国内に生活拠点を移すことを検討していた時、名古屋・関空―ヘルシンキ便の担当客室乗務員を被告が募集していたことから、応募し、被告に採用されることとなりました。

原告らは、採用面接において名古屋ベースの所属を希望し、中途採用に応募した経緯を説明しました。被告は、この原告らの名古屋ベース所属の必要性も認識した上で採用し、名古屋ベースの所属としたのです。

しかも、被告の代理人は、本件配転命令の約10年前の団交においても被告の代理人として出席し、客室乗務員らは勤務地限定契約である旨を説明していることから、原告らは、第1に勤務地限定契約を主張しています。

本件配転命令は、平成29年11月6日被告名古屋ベースの閉鎖を理由に、原告らが所属する日本人客室乗務員労働組合に事前協議等もなく、突然、原告ら名古屋ベース所属の客室乗務員らに対して、平成30年7月から成田ベースへの異動を命じるものでした。

被告は本件配転命令が名古屋ベースの廃止に伴うと主張していますが、実際のところ、名古屋便が就航取りやめとはなりません。むしろ、同便は今年から増便が決定しています。さらに、被告は、本件配転命令後の団交において、当初、配転の理由として、ヘルシンキ採用の日本語のできる客室乗務員と日本人客室乗務員との混乗を禁止する本国組合との協約があると主張していました。しかし、原告らが確認したところ、そのような協約は存在しませんでした。その後、被告は本件配転命令の理由を、混乗させる勤務編成を組むシステムがないという理由に変遷させています。

このように、原告らは、被告のヘルシンキベースで新規採用した、日本語を話すことができる客室乗務員に名古屋便を担当させるために、成田に配転させられたのです。

他方、本件配転命令により、原告らは勤務のたびに、スーツケースなどの荷物をもって、名古屋周辺の自宅から最寄りの駅までタクシーで向かい、在来線の始発に乗り、名古屋駅で新幹線に乗り換え、品川駅で特急に乗り換えるなど、その片道の通勤時間は4時間です。1本でも遅れれば、搭乗する飛行機に間に合いません。しかも名古屋駅からは全て通勤ラッシュ中の乗り換えです。その後、約10時間のフライトに従事します。フライト業務は、年間900時間の勤務時間制限がなされ、フライト後は2日間の休養が義務付けられるほどの重労働で、その疲労は著しいものです。

原告らは、育児や介護に従事しており、ヘルシンキに長期滞在する便に従事することは難しく、ヘルシンキ到着後、ホテルですぐ休み、翌日の10時間のフライトに備えます。翌日のフライト後には、4時間かけて帰宅し、すぐに育児・介護に従事するのです。

名古屋ベースでは、会社が定める2時間以内で通勤できる居住地であったため、帰宅後、仮眠をとる時間もありましたが、4時間の通勤となればそのような暇もありません。

しかも被告は、交通費を1年間は全額支給するが、2年目は75%、3年目は50%、4年目以降は成田ベースの客室乗務員の程度とすると通知し、団交により何度改善を求めても一切応じない始末です。

 原告らへの不利益はほかにも様々ありますが、身体的・精神的・経済的に著しい不利益を発生させる本件配転命令を、勤務編成の手間という理由で行い、虚偽の理由を述べ、補償の水準を一切上げない態度からしても、被告は原告らを退職に追い込もうとしているといわざるを得ません。

本件配転命令は、新規採用労働者に業務を提供し、現職労働者の従来の仕事を奪い、著しい不利益を課すものです。このような配転命令を受け容れることはできないとして、原告らは、仮処分および本訴を提起しました。

現在は、仮処分手続きが先行し、勤務地限定の合意の有無、不利益の程度が争点となっています。また、東亜ペイント事件の判例変更も求めています。
名古屋地方裁判所に係属している事件ですが、ご支援のほどよろしくお願いします。

(弁護団は、豊川義明、佐々木章、細田(大阪)、樽井直樹(名古屋))

日本の労働状況に思うこと ―― 改革のチャンスを生かせるか

大阪市立大学 チャールズ・ウェザーズ

 安倍政権のこの5年間、日本の労働状況はある程度、改善してきた。賃金が上昇傾向にあり、失業率も過去最低のレベルにある。多くの企業が非正規の雇用条件を改善しており、さらに、無期雇用に転換している。非正規雇用比率は依然高いが、少なくとも上昇は止まっている状態である。

首相は自らの政策が労働環境を改善すると自負している。森友/加計学園問題のスキャンダルの追求を受けている最中でも、首相は多くの雇用の創出と賃金の上昇を成し遂げたことを強調した。

実際、優れた政策というよりも、安倍首相は友人のドナルド・トランプ大統領と同様に、経済成長の入り口に就任するという、絶妙なタイミングを掴んだ、ということに他ならない。3・11の大震災が起きた時、民主党が政権党であり、多くの批判を浴びた。そして、安倍晋三が首相に就任した12年12月、この時正に現在に至る経済成長が始まった。

労働市場の状態はバブル期以来の売り手市場で、労働者にとって有利な状況にある。今が労働改革の絶好のチャンスである。特に、労働時間削減、非正規労働者の待遇改善、また、女性の機会均等を促進する大きなチャンスになっている。

しかし、安倍政権は基本的にコスト及び賃金を抑制するような新自由主義的な政策を重視している。また現在、日本の労働組合運動は弱いし、左派政党は崩壊しそうな状態にある。そのため、右記のビッグチャンスにあるにもかかわらず、雇用状況が後退する危険すらあるのではないかと懸念される。この報告では3つの課題について探る。第1では安倍首相の賃上げと法人税削減、第2では働き方改革、第3では公共サービス労働問題を取り上げる。

賃上げと法人税削減

首相に就任した直後、安倍首相は、経済成長を刺激、そしてデフレからの脱却のため、賃金の引き上げを提唱した。賃上げを成し遂げるため、主に日本の大企業の経営者に働きかけ、ある程度成功を収めたようである。賃上げの額は微々たるものだったが、新聞などマスコミはこれを「官製春闘」と呼び、政府主導の賃上げとして報告している。

経営側は首相が規制緩和への期待を全面的に支援しているため、賃上げに協力した。とにかく、少々の賃上げは企業にとって大きなコストにはならなかった。また、多くの大手企業別組合は、雇用主が支払える能力程度の賃上げを要求することをしない、ということも明らかになっている。

実際、最も重要な経営側の期待は、法人税削減だった。安倍首相は法人税を2014年の37.1%から2016年に29.97 %に下げた。しかし、企業の留保利益は過去最高額となっているので、この政策は本当に必要か、有用か、疑問が残る。もっとも、これについての議論が殆どされないまま、政府はできるだけ注目を浴びないように法人税削減を実現した。経団連は法人税の必要性を強調しながら、消費税の大きな上昇を常に要求している。

安倍首相は賃上げの実現を自負しているが、国民にはあまり実感がない。額が少ないし、大手企業以外への波及効果が見られない。また、2018年の春闘では、人手不足問題が明らかに最も重要な賃上げの要因になっていた。

働き方改革

世論の変化により、働き方改革関連法案の採決が可能になったようだ。2000年代に派遣労働関連のスキャンダルや非正規雇用の悪用についての報告が次々と出され、国民の労働規制強化への要求が高まった。当時、第一次安倍政権(2006―2007年)がホワイトカラーエグゼンプション法案を成立させようとしたが、即座に反対グループからこれを「残業代ゼロ法案」と名付けられ、安倍政権は法案を撤回した。

働き方改革関連法案の高プロと裁量労働制はホワイトカラーエグゼンプションの新しいバージョンといっていいが、今回、首相は労働側へのいわゆるメリットを全面的に強調した。言い換えれば、マーケティングの戦略を強めた。菅義偉官房長官は記者会見で「働く人の立場に立って、多様な働き方を選択できる社会を実現するための大改革だ」と述べた(日経新聞)。マーケティングを成功させるため、安倍首相と加藤厚労大臣は厚労省の調査について嘘ともいえるやり方を選んだようである。

公共サービス労働

公共サービス労働問題は安倍政権の最も大きな政策矛盾と言える。女性が輝く社会を築くため、働く女性を支援すると公約したが、実際は、女性比率が高い公共サービスで働く労働者の利害を軽視している。多くは、賃金及び労働条件が悪い中で働いている状況である。

一つの策として、保育士と介護士の賃金を引き上げたが、実際の金額が小さかったのでインパクトに欠ける。あるユニオンの役員は、「絵に描いた餅」とコメントしている。

また、規制緩和が公共サービスの労働条件もサービスの質も悪化させている事例もある。特に、保育業では民間企業の保育業界への参入により、保育士の賃金が抑制される。さらにコスト削減のため、貴重な経験を持つベテラン保育士が辞めさせられることもある。

結論

現在、求人倍率1.6倍以上、完全失業率2.2%であり、売り手市場の状況である。労働側がもっと重要な改善を要求すべき時である。しかし、安倍政権の新自由主義型の政策に押され、改善できる機会を掴めていない。このままでは働き方改革により、長時間労働問題が更に悪化する可能性が高いし、また多くのケアーワーカーの労働条件も悪化し続けるだろう。安倍政権のマーケティング・プロパガンダに対して、ユニオンや民法協の努力を今後も続けていって欲しいと願っている。

大阪教育集会2018 ―どうなる教育と教科書―

弁護士 楠  晋一

 2018年6月2日PLP会館にて、大阪教育集会2018が行われました。
基調講演では、元裁判官の森野俊彦弁護士に、「家庭教育支援法と憲法24条」についてお話しいただきました。
裁判官にとって教育の問題は近くて遠い問題で、行政訴訟で扱うのは教科書検定や教職員の懲戒処分等の訴訟であるため、関心を持っても関与する機会は多くないのだそうです(弁護士も同じです)。

森野先生は、普段法律家も関与する機会が乏しい家庭教育支援法について、細かい条文の内容に深入りするのではなく、憲法24条制定の意義(戦後の日本で女性と子どもの権利を保障するために必須であった家制度の解体)、憲法24条が教育関係法に与えた影響(個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的、個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及する)と、第1次安倍政権で実施された教育基本法の改悪(公共の精神の尊重と伝統の継承を強調し、真理と平和を希求する教育から真理と正義を希求する教育へ)、教育勅語を肯定しようとする企み、自民党憲法改正草案(24条1項に家族の尊重規定を盛り込む)という、家庭教育支援法が登場する背景から丁寧に説き起こしてお話しくださいました。そして家庭教育支援法については、本来自由で私的な事柄であるはずの教育が、「支援」の名前の下に行政が介入する口実を産む、また介入するために監視をする口実となると批判されました。

この後、教科書大阪ネット21の有志が中学校道徳教科書について検討した、各社の問題点を発表しました。8社申請した中で、安倍首相のブレーンである八木秀次麗澤大教授が設立し、「マンガ嫌韓流」等のヘイト本を多数出版する晋遊舎の代表取締役会長の武田義輝氏が代表取締役を務めている(現在は上間淳一氏に交替)日本教科書株式会社が一番問題が多いと紹介されました。特に問題があると指摘されたのは、2年の教科書148頁にある題材「白菊」の後の読み物「和解の力」です。これは、安倍首相が2016年12月27日に真珠湾で行ったスピーチを編集したもので、全体の趣旨は日米同盟の強化を唱える内容であるにもかかわらず、一部を編集することであたかも平和、和解を謳うスピーチであるかのように誤解させる読み物になっている点、また、現職の自民党総裁である安倍首相のスピーチを肯定的に取り上げる点で、特定の政党の主義、主張に偏ることなく適正かつ公正であることを求める義務教育諸学校教科用図書検定基準や政治教育を禁止する教育基本法14条2項に反する疑いがあることが紹介されました。

このニュースが発行される頃には、全国各地で中学校道徳教科書の採択が行われています。日本会議系の団体も、大量に動員をかけて日本教科書の採択に向けて行動すると予想されます。ぜひ、民法協会員の皆さんには教科書展示会に足を運んでアンケートを記載し、問題の多い日本教科書が採択されることのないように、皆さんの声を教育委員に届けることを強く呼びかけます。

憲法で保障された「表現の自由」を 最大限にいかそう――大阪街宣懇第6回総会

大阪自治労連 小山 国治

2018年6月5日、大阪街宣懇(街頭宣伝の自由確立をめざす大阪各界懇談会)の第6回総会が国労大阪会館で開催され、47名が参加しました。大阪街宣懇は、2012年に労働組合などの街頭宣伝に警察が干渉する事案が増えたことから再開され、干渉や妨害の事案を共有するとともに、街頭宣伝を円滑に行うための取り組みをすすめています。

総会の前には、安倍政権が憲法改悪を目論んでいるもとで、「安倍9条改憲と国民投票」と題して杉島幸生弁護士による学習会を行いました。安倍9条改憲の危険な中身とともに、「国民投票法」の問題点などについて指摘されました。いざ、国民投票が実施されることになれば、2015年の住民投票の経験と教訓をいかすとともに、大阪街宣懇の日常活動が重要であることを強調されました。

総会では、この間の具体的な干渉事例が報告されました。「許可を取っているのか」という干渉が増えています。「宣伝に許可は必要ない」ことを堂々と言うことが重要です。また、民間人からの干渉・妨害が増えています。干渉・妨害には様々な事例があり、「市民から共感が得られる・支持される宣伝」のあり方の工夫が必要になっています。街宣懇が作成した「街宣活動Q&A」を活用し、憲法で保障された「言論の自由」を最大限にいかしましょう。

討論では、神奈川県内で、駅頭などに「ビラ配布禁止」などの看板があることに対して弁護士が法的根拠を問い合わせると、管理者が撤去するケースが相次いでいることが紹介されました。大阪でも、法的根拠もなく同様の看板や掲示などがないか調査し、もし根拠のない掲示があれば、撤去させる必要があります。

安倍政権が、憲法を踏みにじるもとで、国民が声をあげ、行動しています。誰もが自由にものを言い、行動できる社会を守っていくためにも、大阪街宣懇の活動が重要になっています。多くの個人・団体が大阪街宣懇に加入し、干渉事例の情報を共有し、有効な対応策を身につけましょう。

総会では、代表幹事として、川辺和宏・大阪労連議長、篠原俊一・国民救援会大阪府本部会長、萬井隆令・民主法律協会会長、岩田研二郎・自由法曹団大阪支部長が選出され、事務局長には遠近照雄・大阪労連幹事が選出されました。

SNS活用法講座⑤ 情報発信のコツと注意点

弁護士 清水 亮宏

1 はじめに
SNS活用講座、第5回は“情報発信のコツと注意点 ”です。

2 写真・画像付きで投稿しよう
写真・画像付きの投稿をおすすめします。SNSでは多くの情報が飛び交っているため、興味を引かない投稿は読み飛ばされてしまう傾向にありますが、写真・画像付きの投稿は、一瞬でイメージを伝える効果があり、人の目に留まりやすいです。ぜひ、写真・画像付きの投稿を検討してみましょう(毎回付ければ良いというものでもありませんが…)。直接関係する写真・画像がない場合には、イメージ画像でも良いと思います。

3 動画も効果的!
上級者向けですが、動画の投稿も有効です。Facebookなどでは、あえて再生ボタンを選択しなくとも、自動で動画が再生される仕組みになっており、はじめの数秒間で興味を引くことができれば、最後まで見てもらえる可能性が高まります。動画を投稿する場合は、開始3秒間にインパクトを持たせるようにしましょう。なお、Facebookで再生されている動画の多くは無音で再生されているそうなので、字幕を付けることをおすすめします。

4 Facebookに投稿する際の注意点
Facebookでは、記事の文字数が多い場合、全体の一部が「もっと見る」「続きを読む」と省略されてしまいます。せっかく思いを込めて記事を書いても、「もっと見る」「続きを読む」に進んでもらえなければ意味がありません。どこから省略されてしまうかは、使用している端末や改行の位置などによって異なってくるため、一概には言えませんが、スマートフォンで表示した場合に 行以内に収まるよう心がけておきたいところです。
それ以上の記事を投稿する場合には、冒頭に記事の概要を記載する、リード文を入れるなど、読ませるための工夫を心掛けましょう。
なお、パソコンとスマートフォンでは見え方が異なります(改行の位置がずれてしまうことも…)。パソコンから投稿する場合は、パソコンで作成→下書き保存→スマートフォンで確認→スマートフォンで投稿という流れで投稿することも検討してみるとよいでしょう。

5 Twitterに投稿する際の注意点
TwitterはFacebookよりも情報量が多いです。そのため、目に留まる投稿を心掛ける重要性が高いです。ポイントを絞る、改行の位置に気を配る、画像を付けるなど、一目でポイントを把握できる工夫をしてみましょう。Twitterは1投稿140字までという文字制限がありますが、分割して投稿するなど、ぎっちり詰め込まないように注意したいところです。
また、Twitterは情報量が多いため、投稿が読み飛ばされてしまうこともあります。表現を変えて同様の内容を投稿してみるなど、複数回投稿することも有効です。