民主法律時報

2018年6月号

エミレーツ航空事件報告

航空連・航空一般労組スカイネットワーク大阪支部 委員長 赤 田 克 彦

1 組合結成

エミレーツ航空西日本支店予約発券課に、2012年2月、5名の新入社員が配属されたが、その5名に対し、上司から皆の前で叱責などが繰り返された。そのため、体調不良やストレス疾患となり、パワハラに耐えられず、5名中2名が退職してしまった。残された3名は、この事態を打開するため、日本支社、さらには労基署にも相談した。翌2013年1月、航空連スカイネットワーク大阪支部に労働相談があり、労働組合を結成するに至った。

2 団交で要求前進

組合は、エミレーツ航空西日本支社に対し、労組結成通知と団交申し入れ書を提出し、パワハラ問題、サービス残業を議題とした第1回団体交渉が、2013年2月22日、本社の人事担当の責任者出席の下で開催された。3回の団交によりパワハラを認め、サービス残業改善にも一定の前進があった。また、2013年5月に中国・広州コールセンターが開設され、大阪コールセンターへの電話が転送されるようになり、組合は業務量減少に伴うリストラの可能性を危惧し会社に問いただしたところ、会社は「雇用は保障され、配転もない」旨回答した。

3 職場閉鎖―ロックアウト―解雇

しかし、この頃、日本支社長が来阪しスカイネットワーク大阪支部と懇談する機会があった際に、支社長は、「支社長は日本支社における総務全般の責任者で、人事、労務については本社の担当となっているので、労使間の問題については口出しできない。」といいながら、「予約発券課の3名は職場でわがままを言っている。」などと非難する一方、組合員には、労働組合(スカイネットワーク)を誹謗・中傷する言動で分断を図ってきた。

その後、労組との窓口だった日本支社の総務担当者が退職したころから、会社は、組合に対する立場を変えてきており、団交が開かれない状態が続いた。新しい総務担当者が着任し、2013年11月にようやく団交が開催されたが、団交には出ないはずの日本支社長が出席し、これまで諸問題を話し合ってきた到達点を覆してしまった。さらに、この直後支社長は退職し、パワハラ問題、サービス残業問題は宙に浮いた状況となってしまった。

問題解決のため労組としてたびたび団交を申し入れたが、開催されず、後退回答の状態が続いた。そして、支社長空席のまま翌2014年5月20日に、会社は、事前協議もなく突然「日本路線の赤字」を理由に3名の組合員が所属する職場を閉鎖し、希望退職等を提案してきた。その後、数回の団交を行うも、全く前進はなかった。雇用継続を求めた組合員3名に対し、会社は、閉鎖以降「就業する職場はない」とロックアウトを行った。そして、2014年9月1日付で解雇通知が届いた。

4 法廷闘争へ

労働組合は、ロックアウトそのものが不当労働行為に当たるとして労働委員会への申し立てを準備していたので、解雇も含め大阪府労働委員会に申し立てを行った。続いて、大阪地裁に仮処分申立、地位確認訴訟を行った。結果は、勝利の仮処分決定、地位確認は、解雇無効の勝利判決(会社は高裁へ控訴、その後取り下げ)、大阪府労委は、「自宅待機及び解雇は不利益取扱いとして解雇がなかったものとする」との勝利命令を出した(会社は中労委へ再審査申立、現在審議中)。

5 一刻も早く職場復帰させ正常な労使関係の確立を

会社は、大阪高裁判決直前に控訴を取り下げた。すなわち、会社は、自ら非を認めたことになる。あわせて、労働委員会において不当労働行為が認められている以上、会社は、原告を希望職場に復帰させ、労使関係の正常化のために、労働組合の解決に向けた要求を全面的に受け入れるべきである。

関西大学 アカデミック・ハラスメント事件

弁護士 安原 邦博

1 はじめに

本年(2018年)4月25日に大阪地裁で判決が言い渡された、関西大学・大学院におけるアカデミック・ハラスメント事件について報告をする。

2 事案の概要

本件は、指導担当教授の大学院生に対するアカデミック・ハラスメントと、当該ハラスメントにかかる大学の対応について、当該教授と大学の責任を問うている事案である。

原告は、2013年4月に関西大学・大学院社会学研究科社会システムデザイン専攻(博士前期課程)に入学した大学院生であったところ、指導担当教授より、2013年11月末頃から翌年(2014)年5月初旬にかけて、主に次の(1)のアカデミック・ハラスメントを受けた。

さらに原告は、関西大学に助けを求めて指導担当教授によるハラスメントの相談・申告をしたのに、大学から放置され、著しく遅滞した上に不十分な対応等をされるという更なるアカデミック・ハラスメント(次の(2) )を受けた。

原告は、これらアカデミック・ハラスメントにより、2015年度以降は休学、そして2017年6月には退学に追い込まれたため、担当教授及び関西大学を被告として、合計約600万円を(うち約100万円は関西大学のみに対し、次の(2) により原告が受けた精神的損害として)請求する損害賠償請求訴訟を提起し、闘っている。

(1) 指導担当教授によるアカデミック・ハラスメント
①労働組合活動の自由等の侵害
原告が、自身も務めていたTA(ティーチング・アシスタント)の交通費を関西大学が基本的に支給していないことに疑問をもったこと等をきっかけに、TAの交通費についての問題提起や労働組合活動等をしていたところ、指導担当教授が、関西大学の教育開発支援センター長としてTAを管轄するT教授より原告の活動についての情報提供や原告の活動への対応の依頼を受けて、原告に対する優越的な立場を利用し、原告を何度も叱責し、従わないならば指導担当教授自身が職を辞する(すなわち原告への指導を止める)などと原告を脅して、組合から脱退させる等した。
②不合理な理由による、一方的な、遠隔地滞在型フィールドワーク派遣・指導の中止
指導担当教授は、原告を、修士論文執筆のための研究の一環として、約1年の予定で遠隔地滞在型フィールドワーク(現地調査)に派遣していたところ、「多地点システム」(インターネットで原告(現地)と指導担当教授(大阪)が通信をするシステム)を通信前にテストしたか否かに関する認識の違いという、研究内容とは全く関係のない極めて些細なことを契機として、指導教授という地位・権限を利用し、2014年4月に派遣したばかりのフィールドワークを同年5月初めに一方的に中止して原告に帰阪を命じ、指導教官としての指導をも中止して、これにより、原告の修士論文の完成も不可能にし、最終的には退学に至らせたことで、原告に対し、大学院生・研究者として決定的な打撃を与えた。

(2) 関西大学による、原告のハラスメント相談・申告の放置・遅滞、不十分な対応等
関西大学は、原告から幾度も(1) のアカデミック・ハラスメントについて速やかに適切な措置をとるよう要求されていながら、数ヶ月も調査の放置・遅滞をし、さらに、指導担当教授の行為を、①「組合活動などの自主的な活動に対する干渉とも評価しうる」とか、②「一方的に研究中止を通告することは、指導教員として不適切な対応と評価せざるをえない」などと認定したにもかかわらず、ハラスメントに該当しないなどと結論づけるという不当な対応をした。

3 判決

大阪地裁判決は、(1)及び(2)のアカデミック・ハラスメントに関し、事実認定に少々不十分な点はあったものの、指導担当教授(及びT教授)による労働組合活動の自由の侵害、不合理な理由による一方的な遠隔地滞在型フィールドワーク派遣・指導の中止、並びに、関西大学による調査の放置・遅滞について、それぞれ違法性を認め、(1)につき指導担当教授と関西大学に連帯して約87万円、(2)につき関西大学に6万円の、原告に対する賠償責任を認めた。

なお、本事件を審理したのは、大阪地裁第5民事部の内藤裕之裁判官、甲斐雄次裁判官(結審後に異動)、大寄悦加裁判官である。

4 さいごに

アカデミック・ハラスメントに限らず、ハラスメントは「他者」に見えないところで行われることが多く、証拠が残りにくいという問題がある。しかし、本件では、指導担当教授のハラスメントが主にメールやサイボウズによる執拗なメッセージの送信によりなされており、原告がそれらを保存していた。また、指導担当教授とT教授によるハラスメントの共謀もメールで行われており、それらのメールを被告らに訴訟の中で提出させることにも成功した。これらの証拠が、裁判所の事実認定に寄与し、本件のいくつかの違法認定につながったのである。

本件は、被告らが判決直後に控訴をした(さらに、仮執行宣言付判決に対する強制執行停止の申立ても。関西大学は、原告のハラスメント相談・申告は放置しておきながら自己のことになると迅速に動いた、ということである)ことから、原告も、地裁判決の不十分な点を克服するため控訴をしており、現在、闘いの場は大阪高裁に移っている。原告代理人は、谷真介及び当職である。

遺族によるアスベスト労災記録の開示請求訴訟を提訴

弁護士 谷 真介

労働者が業務上災害を受けた際に、労基署に労災申請し、労基署が調査した事実等が記載された労災記録は、不支給決定に対する審査請求をしたり(審査請求時には一件記録を謄写したものは提供されないため)、あるいは企業の安全配慮義務違反による損害賠償請求等を検討する際には、極めて有用な情報となる。

労働者側で上記相談を受けた際には、まずその検討のために、労働局に対し、行政機関個人情報保護法(以下、本稿では単に「個人情報保護法」という)に基づく個人情報開示請求を行って、これを取得することとなる。特に、アスベスト労災では、病気を発症するまでの潜伏期間が長いため、どこでアスベストにばく露したか等の情報が被災者本人や遺族にはわからない場合が多く、労基署の調査によって判明する事実も多い。それだけに開示の必要性は高い。

しかしながら、例えば、被災者本人が労災申請をし決定を受けた場合、被災者の死亡後にその遺族(相続人)が被災者の労災記録について個人情報開示請求を行っても、原則として開示されない。これは、個人情報保護法による「個人情報」とは「生存する個人の情報」とされているからである。死者の情報はあくまで死者の情報であり、相続人が相続するわけではない(死者も相続人に対しても知られたくない情報がある)という考えからである。ただ、労災記録については、2009年以降の情報公開・個人情報保護審査会の答申以後、当該被災者の労災決定を基礎として、遺族が遺族年金や生前の未支給の給付決定を受けている場合に限って、被害者の労災記録の情報は「遺族本人の情報」でもある、という取り扱いによって、遺族に対する開示が認められるようになった。

しかし、相続人が上記の関係に立たない場合であっても、例えば企業に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権を相続している場合は当然ありうる。労災記録には、その損害賠償請求権の前提となりうる情報も存在している。実質的使途は同じであるのに、遺族年金等を受給しているか否かによって、開示請求権の有無の結論を分けるのは、やはりおかしい。

さらに、アスベスト労災においては、泉南アスベスト最高裁判決以後、国は、同一の要件に該当する被害者・遺族について訴訟提起をすれば、和解し賠償金を支払う方針を出しながら、その周知が不十分な状態が続いていた。そして、昨年10月には、ついに国自身が把握する労災認定・じん肺管理区分決定を受けた被災者・遺族に対し、国賠訴訟に関する通知を出すこととなった。しかしながら、同通知は、必ずしも国賠要件に合致していることを前提にしているわけではないため、通知を受けた方は、国賠要件に合致しているかどうかを検討するために、まず労災記録の開示請求をし、これを検討の上で国賠訴訟を提起するかどうかを決定することとなる。今回、本件開示訴訟の原告となった方(2名)も、この国からの通知を遺族として受け取り、相続人として労災記録の開示請求をしたにもかかわらず、上記開示要件を満たさないとして兵庫労働局から不開示決定を受けた方である。昨年11月以降、このようなケースについて積極的に事前に開示をするよう、全国のアスベスト被害者団体や弁護団から国に対して要請を続けてきたが、国の態度は変わらなかった。国の責任で被害者を出しながら、その情報について開示しないということがあってよいはずがない(医療過誤により死亡させた病院が遺族によるカルテ開示請求を「本人ではないから」といって拒否する不合理さを想像していただきたい)。そこで、これは捨て置けないということで、大阪アスベスト弁護団の弁護士により、本年5月 日、かかる労災記録不開示決定処分取消訴訟の提訴(大阪地裁)に踏み切った。

この死者と相続人の個人情報開示請求は、これまで争われた裁判例は少なく、労災記録だけではなくその他の情報開示の問題(医療機関のカルテや学校事故等各種事故の調査資料など)にも波及しうる問題でもあるため、何とか開示を認めさせる判決を勝ち取りたい。

(弁護団は大阪アスベスト弁護団から、馬越俊佑、安原邦博と当職)

関西大学を報復的解雇で提訴

弁護士 須井 康雄

1 裁判の概要

2018年5月17日、関西大学併設校の教員のAさんは、関西大学に対し、地位確認、未払賃金、慰謝料の支払いを求める裁判を起こした。主張の骨子は、次のとおりである。①本件解雇は、残業代未払の問題につき労基署申告、団交での追及、府労委への不当労働行為救済申立をしたことに対する報復的解雇であり、労基法104条2項、労組法7条1号、4号に該当し、公序良俗違反で無効である。②客観的合理性、社会的相当性がなく、労働契約法16条により無効である。

2 事実の経過

関西大学は、労働時間を適正に把握せず、本俸の8%にあたる教育職員調整手当を払っていることなどを理由に、残業代を払ってこなかった。労基署は、2016年3月8日、法定の休憩時間の付与、労働時間の適切把握、未払残業代の支払などを指導した。Aさんは、組合役員として、団交でこれらの問題を追及する中心的役割を担っていた。

そのようなさなか、関西大学は、2017年10月24日、Aさんに対し自宅待機命令を出し、懲戒手続が開始した。Aさんと組合は、2017年1 2月25日、自宅待機の撤回等を求め、府労委に不当労働行為救済申立を行った。

Aさんや当職らは、関西大学に対し、調査対象となる具体的事実関係の告知を再三にわたり求めた。しかし、関西大学は、たとえば「Dに対する指導」と言った程度の箇条書きからなる11項目しか示さず、あとは、懲戒手続におけるヒアリングでの質問内容から分かるだろうという回答に終始した。

2018年2月22日、関西大学併設校の懲戒委員会は、11項目のうち4項目を懲戒事由にあたると判断したが、懲戒処分の選択につき意見が分かれ、議決できないまま、関西大学の理事会に判断がゆだねられた。

2018年3月23日、労基署は、再度の是正勧告を関西大学に行い、主要5紙により大きく報じられた。

2018年4月に入っても自宅待機命令は解除されず、関西大学が説明する自宅待機の根拠も変遷し、自宅待機命令を継続する合理的理由は全くないと考えられた。府労委も、2018年4月17日の調査期日で、期限を切って、それまでに懲戒処分が出ないのであれば自宅待機命令を解くという和解案を双方に打診するに至った。

そのような状況で、関西大学は、2018年4月26日、Aさんを解雇した。解雇の通知には、解雇の根拠となる就業規則の条項しか示されず、その条項に該当する具体的事実関係は一切書かれていなかった。Aさんの要求により交付された解雇理由通知書にも、「Dに対する指導(2016年度及び2017年度)」という程度の記載しかなく、どのような事実認定をもって本件解雇の根拠とされたのかが全く不明であった。

3 本件の裁判の意義

教員の長時間労働が社会問題になっている。その是正を求める活動を行ったことを理由とする報復的解雇は、長時間労働の抑制により労働者の生命、健康を守るため奮闘しているすべての労働者・労働組合の取組に大きな萎縮的効果を与える。

また、関西大学が、懲戒手続における調査対象や解雇を基礎づける具体的事実関係の告知を、一貫して拒み続けてきたことも重大な問題である。関西大学は、提訴後の取材に対し、解雇理由を裁判で明らかにしていきたいと述べたと報道されている。不当な解雇に泣き寝入りする労働者も非常に多い。裁判を起こさなければ、具体的な解雇理由を説明しないというやり方が広がると、とりあえず解雇して、裁判を起こされなければラッキーだという社会になってしまう。

さらに、関西大学は、当該学年の全生徒にアンケートまで実施して、Aさんの問題点を掘り起こそうとした。当初示された11項目の中には、すでに解決済みの案件や、いったいなぜAさんの責任になるのかが不明なものも含まれていた。解雇理由として残された案件のうち、事実関係がある程度分かるものについても、教師として指導の必要性があった案件である。一定の文脈においては、時に強く生徒を指導することも必要であり、生徒に対する指導を理由とする解雇は、慎重になされなければならない。にもかかわらず、関西大学は、Aさんを自宅待機にしたまま、Aさんの指導のありかたについてAさんと話し合うこともなく、Aさんを解雇した。

本件は、報復的解雇か否かが主要な争点となるが、教員の働き方、生徒指導のあり方、解雇における理由明示のあり方も問われる裁判である。

(弁護団は中西基弁護士、鶴見泰之弁護士と私である。)

覚悟をもって TPP関連法案の阻止を

全大阪消費者団体連絡会 事務局長 飯田 秀男

 6月2日、「ほんまにええの? TPP大阪ネットワーク」は、鈴木宣弘東京大学大学院教授を講師に学習会を開催した。鈴木氏は、TPP(環太平洋連携協定)が国民生活に及ぼす影響を縦横に語って警鐘を乱打し、「強い覚悟をもってTPP を止める」運動が求められていると強調された。以下はその大要。

TPPの本質はグローバル企業への便宜供与

鈴木氏は、TPPの本質は、グローバル企業が儲けられるルールをアジア・太平洋地域に広げようとする「お友達」への便宜供与であると指摘。米国大統領選挙では、「TPPで儲かるのはグローバル企業の経営陣だけで、賃金は下がり、失業が増え、国家主権が侵害され、食の安全が脅かされる」とのTPP反対の米国民の声は世論調査で78%に達した。日本政府は、「なぜ米国民にTPPが否定されたのか」について冷静に本質的な議論をしていない。日米のグローバル企業のためにTPP11(米国抜きのTPP)を推進し、TPP型の協定を「TPPプラス」(TPP以上)にして、日欧EPA(経済連携協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)にも広げようとする日本政府の異常さを国民も気づくべきである。

「3だけ主義」で儲けるグローバル企業

国家戦略特区に象徴される規制緩和は、ルールを破って特定企業に便宜供与する国家私物化であり、TPP型協定に象徴される自由貿易は、国境を越えたグローバル企業への便宜供与であって世界の私物化である。つまり、自由貿易=グローバル企業が自由に儲けられる貿易であり、グローバル企業の経営陣は、命、健康、環境を守るコストを徹底的に切り詰めて、「今だけ、金だけ、自分だけ」(3だけ主義)で儲けようとする。投資・サービスの自由化で人々を安く働かせ、命、健康、環境への配慮を求められてもISDS(投資家対国家紛争解決)条項で阻止し、新薬など特許の保護は強化して人の命よりも企業利益を増やそうとする。利権で結ばれて、彼らと政治、メディア、研究者が一体化する。これが規制改革、自由貿易の本質である。

食と暮らしの共助・共生システムへ

3だけ主義の対極に位置するのが食と暮らしを核にした共助・共生システムである。一部に利益が集中しないように相互扶助で農家や地域住民の利益・権利を守り、命・健康、資源・環境、暮らしを守る共同体(農協、漁協、生協、労組など)は、「3だけ主義」にとっては存在を否定すべき障害物である。そこで、「既得権益」「岩盤規制」と攻撃し、ドリルで壊して市場を奪い、自らの既得権益にして私腹を肥やそうとする。例えば、郵貯マネーに続き、貯金・共済のJAマネーもほしい米国ウォール街は、農協改革を日本政府に要求する。私たちはこうした策略に負けるわけにはいかない。
今、覚悟を持った運動が求められている。

第2回労働相談懇談会「退職トラブルの相談」に参加して

おおさか労働相談センター 中平 和明

 5月17日(木)に、国労大阪会館で第2回労働相談懇談会が開催され、産別2組織、地域9組織、職対連から26名の参加があった。

主催者あいさつの後、西川大史弁護士から「最近の労働裁判に見られる特徴」について、事例をもとに説明をしていただいた。特徴的な点では、労働契約法20条に関する事例で、通勤手当や住宅手当などを正社員には支給しているが、派遣社員など正社員以外の従業員には支給されていないなど、不合理な差別に対する訴訟が多くみられた。雇止め問題では、裁判で撤回させるというのはなかなかきびしい状況であるものの、国立研究開発法人理化学研究所の職場に見られるように、団体交渉で無期転換権を勝ち取るケースもあり、安易に司法の判断に頼らず労働組合の交渉力を高め、自ら解決していくことがより一層求められるようになってくるのだと思う。そのことが、労働組合をより大きくしていくことにつながっていくのではないか。

学習会では「退職トラブルの相談について」と題して、中西基弁護士を講師に学習と意見交換を行った。まず、はじめに「退職とは」について話があった。辞職の意思表示をして、それが使用者に到達した時点で効力を生じるので、それ以降は撤回することができないなど、気分感情だけで簡単に「退職」などと発言することは、やめるべきだということがよく分かった。

二つ目の「退職の自由」については、憲法18条で退職の自由が保障されているということ。無期契約の場合、退職を申し出てから二週間を過ぎれば雇用契約が解約される、法的に退職したことを理由に訴えられることはないなど、労働者には退職の自由があることを詳しく話していただいた。しかし有期雇用の場合、やむを得ない場合を除いて、契約期間中の退職はできないなど、無期雇用と有期雇用では大きな差があることも分かった。しかし、逆にみれば、使用者側は有期雇用者に対して契約期間中は解雇できないが、労働者側は退職を願い出て会社が認めた場合や就業規則および労働契約次第で辞職できるなど、若干事情が違っていることも分かった。

「よくあるトラブル相談」では、相談センターの相談にもよく見られる「退職したいが会社が辞めさせてくれない」ケースの対応についても話があった。退職の意思表示をする場合「退職願」は会社の合意を求めたもので、会社が認めない場合退職がむずかしいこと。何月何日で辞めると決めたら必ず「退職届」を提出することなど、辞職の意思表示を明確にすればトラブルも少なくなるなど詳しく話していただいた。

また、退職したが最後の給料を振り込んでくれないで「欲しかったら会社にとりに来い」と言われたというケース。この件についても民法484条で書かれているように、お金を払う側が持っていくのが大原則で、就業規則などに特段の定めの無い限り、従来の支払方法に基づくことが分かった。

この学習会を終えて、労働相談を受ける側の構えとして、どのような退職なのか、どのような雇用形態なのか、など本人に関する情報を正確に聞き取る必要があることが分かった。また、単に退職の相談だからこうしたほうがいいよ、ああしたほうがいいよというだけでは、よけいに当事者が不安になってしまうかもしれないなと感じた。当事者の不安をどれだけ取り除くことができるか、どう労働組合の値打ちを語れるか、相談される側の力量が問われることになる。

初夏も・・・ ブラック企業対策! 判例ゼミに学ぶ

弁護士 西田 陽子

1 初夏のゼミ
5月23日(水)も、ブラック企業対策! 判例ゼミが開催されました。今回のお菓子は、風月堂の神戸限定商品、神戸異人館巻という和菓子です。
和菓子をリクエストしたのは、ほかでもない、当会副会長の豊川義明弁護士です。本ゼミは主に若手を対象としていますが、議論を発展させるには上の期の弁護士の参加が必要なので、特別にお願いしてお越しいただきました。また、ゼミの創始者である中西基弁護士もかけつけてくださいました。
テーマは「パワハラの事実認定」。今回の参加者も 名程度であり、ほぼ満席となりました。

2 ゼミの内容
取扱った判例・裁判例は、①関西電力事件(最三小判平成7年9月5日労判680号28頁。冨田弁担当)②A保険会社上司事件(東京高判平成17年4月20日労判914号82頁。加苅弁担当)③日本ファンド事件(平成22年7月27日労判1016号35頁。稲生弁担当)④医療法人財団健和会事件(東京地判平成21年10月15日労判999号54頁。安原弁担当)の4つです。

さて、通常であれば、ゼミで取り扱った裁判例を順番にご紹介するのですが・・・何と言っても、豊川弁護士が参加なさっているとのことで、①の関西電力事件を中心にお話しします。

関西電力事件は、共産党の構成員・支持者に対して行われた監視・ロッカーの無断点検・仲間はずし行為などが彼らの人格的利益を侵害する不法行為とされた著明な事件です。1971年に神戸地裁に提訴され、1995年9月5日の最高裁判決までの長きにわたり、裁判闘争が行われました。豊川弁護士は、当時、弁護団員としてご活躍でした。
長い裁判闘争のご経験から、権利主張のあり方や立証の仕方についてのためになるお話あり、証人尋問に関する人情味のあるエピソードあり。貴重なお話をたっぷり拝聴することができました。

②ないし④の裁判例の発表も、事実関係や判例・裁判例の解釈につき丁寧に調べられたレジュメに基づいており、豊川弁護士や中堅の弁護士の参加により、普段に増して活発な議論がなされました。全ての参加者の方に厚く御礼申し上げます。

3 今後の日程等について
次回開催日程は、7月末頃を予定しています。今後は、第3水曜日から変更になる予定です。ご参加予定の方は、日程を、事務局の西田(TEL:06-6311-9180)までお気軽にお問い合わせください。