民主法律時報

新年も・・・ブラック企業対策! 労働判例研究ゼミに学ぶ

弁護士 西田 陽子

1 新年のゼミ開催!
2018年1月17日、新年のブラック企業対策!判例ゼミが開催されました。今回から新しい試みとして、お菓子を用意する等、なごやかなムードを大切にすることにしました。
当日は71期修習予定者や 期の新人弁護士にもご参加いただき、「契約更新時の不利益変更」をテーマに、活発に議論が行われました。責任者の中西基弁護士が残念ながらインフルエンザに罹患し欠席でしたが(皆様、まだまだ感染にはお気を付けて!)、谷真介弁護士が率先して議論を引き締めてくれました。今回も、その勉強内容をご紹介します。

2 ゼミの内容
①日本ヒルトン事件(東京高判平成14年11月26日・労判843号20頁)
担当は清水亮宏弁護士。契約更新時において、使用者から労働条件引下げの申込みがあり、労働者が異議をとどめて承諾したものの、申込みを拒絶したと評価され雇止めとなった場合につき、労働条件引下げがやむをえず、社会通念上合理性があることから、雇止めが有効とされた事例です。留保付き承諾の有効性につき、労働者側に有利な解説も紹介しました。
②河合塾事件(最三小判平成22年4月27日・労判1009号5頁)
担当は西田陽子弁護士(本稿執筆者)。学習塾講師の出講契約更新の際に、担当コマ数が削減されることにつき合意に至らず、出講契約が更新されなかったことは、雇止めにあたらず、不法行為にもならないとされた事例です。1審、2審、最高裁と判断が異なり多数の論点を含むため準備は大変でしたが、議論が盛り上がりよかったです。
③ドコモ・サービス(雇止め)事件(東京地判平成22年3月30日・判タ1361号165頁)
担当は安原邦博弁護士。就業規則の変更等の手続を取ることなく、労働条件の引下げ(賃金減額等)に同意しない労働者を雇止めしたことは、手段・経緯に合理性を欠くことから、雇止めは無効になると判断された事例です。就業規則の不利益変更により労働条件を変更できたと読める判示にひっかかり、皆で悩みました。

3 終了後懇親会
新人弁護士による事件相談等も行われ、懇親だけでなく仕事にも有意義でした。
4 今後の日程等について
次回は3月20日(火)の開催を予定しています。判例ゼミは、予約不要、参加費無料であり、終了後に懇親会がございます(新人弁護士、修習生、法科大学院生等は無料)。お菓子の持ち寄り歓迎です。是非いらしてください。

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP