民主法律時報

真夜中の労働ホットライン 報告

弁護士 清水 亮宏

2016年10月上旬に報道された電通事件、同時期に厚労省から発表された過労死白書などを受け、過労死問題に対する社会的関心が高まっています。また、過労死そのもののみでなく、その背景にある過酷な長時間労働やパワハラなどの問題についても社会的関心が集まり、議論を呼んでいます。

 このような情勢を受け、本年11月4日21~26時に、過労死の背景にある長時間労働・ハラスメントの問題に焦点を当てたホットラインを開催しました。東京との同時開催で、大阪では、民主法律協会とブラック企業被害対策弁護団の共催で行いました。会員約10名が参加しています。電通事件の衝撃から約1か月経過していましたが、過労死問題(特に長時間労働の問題)に対する社会的関心は高く、多くのメディアに事前告知や当日のホットラインの様子について報道いただきました。また、会員の皆様方にも、SNS等での発信にご協力いただきました。誠にありがとうございました。大阪で行われたホットラインの結果を簡単に紹介いたします。

当日は、相談が殺到し、21時から26時まで電話が鳴り続ける状態で、全体として38件の相談が寄せられました(東京の35件と合わせると合計73件)。相談内容としては、長時間労働(17件)、過密労働 (15件)、残業代不払い(13件)、労災(8件)、いじめ・差別・ハラスメント(8件)についての相談が多く寄せられました(複数回答です)。

あくまで確認できる範囲内のものですが、過労死ラインを超えていると疑われるものが16件あり、そのうち、残業時間が月120時間を超える危険な状態にあるものが6件ありました。また、20代、30代の若者からの相談が半数を占めている点も特徴的でした。若者が長時間労働で使い潰されている実態を読み取ることができます。

個別の内容を見ても、「朝から晩までの長時間労働」「休みたいけど休めない」「有給が取れない」「残業代が一切払われない」「固定残業代」「精神疾患を発症している」など、ブラック企業で見られる典型的な問題が多く含まれていました。

今回のホットラインは、過労死問題が社会的関心を集める中で行われたものです。個別の相談で終わらせるのではなく、得られた結果を元に、長時間労働やハラスメントの問題について社会に発進していきたいと思います。

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