民主法律時報

2016年3月号

2016年権利討論集会を開催しました

事務局長・弁護士 井上 耕史

 2月13日(土)、エル・おおさかにて、2016年権利討論集会を開催しました。全体会・分科会合わせて265名もの多数の方々にご参加いただきました。
全体会の記念講演は、今野晴貴さん(NPO法人POSSE代表)に、「ブラック企業問題と労働運動の課題」との演題で、ご講演いただきました。今野さんは、ブラック企業による若者を「使いつぶす」労務管理の手法を告発し、この解決には、法規制に加えて、労使関係の再構築が必要と指摘しました。そして、マタハラ防止労働協約締結の事例を紹介しつつ、事件を運動体が連携して発掘し、これを社会的問題としてアピールし、労働協約という継続的労使関係の設定により解決していくことが求められていることを示しました。豊富な実践に裏打ちされた講演は迫力があり、参加者から「社会全体で変えていくことが重要だ」「労働組合の大切さがよく分かった」などの感想が寄せられ、好評でした。

記念講演の後、日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎幹事長から、労働時間法制の改悪法案と、解雇の金銭解決制度導入の最新情勢について報告いただきました。今年7月の参議院選挙後に一気に強行してくる危険がある、労働法制改悪の問題を広く知らせて選挙の争点にすることが決定的に重要、と強調されました。
情勢報告を受けて、3本の集会決議(①労働時間法制の改悪に反対する決議、②「解雇の金銭解決制度」の導入を許さない決議、③憲法違反の安保関連法制(戦争法制)の廃止を求めるとともに、明文改憲による緊急事態条項新設、9条改悪に反対する決議)を、満場一致で採択しました。

午後からは、8つの分科会に分かれて、3時間以上にわたり熱心に討論が繰り広げられました。
午後5時からは、場所を大阪キャッスルホテル3階「錦城閣」に移して懇親会を開きました。こちらも94名が参加して、大いに盛り上がりました。法律事務所労組の「今年はストライキを!」との声に、弁護士はただ笑うしかない状況に(汗)。

今年の参加者数は6年ぶりに250名を超え、民法協会員外からの参加者も多かったことが特徴でした。この間の運動の広がりの表れと感じました。他方、他の行事と重なり参加できずに残念との声もあります。日程調整の点は次年度の課題です。
民法協では、できるだけ多くの方にご参加いただけるように、会場を交通至便なエル・おおさかとし、更なる参加費の引下げを実現しました。全体会報告の時間、分科会会場の受付場所の設営、懇親会場への移動等の課題もありましたが、皆様のご協力により大きな混乱なく終了することができました。次年度は更なる改善をはかります。
また、昨年に引き続き一時保育を実施しました。利用者からは、「散歩に連れて行ってもらって楽しかったようだ」「子どもがいても参加しやすいので本当にありがたい」など好評でした。利用者が少なかったのは残念ですが、小さな子どもを持つ若い弁護士・組合員などにもっと参加してもらうためにも、継続の方向で考えたいと思います。

この集会で学んだことを日々の実践に活かし、労働法制改悪を阻止しましょう。そして、来年の権利討論集会でまたお会いしましょう!

分科会報告

第1分科会 どうすれば勝てる? 労働争議に勝利するために(報告:大阪労連 嘉満智子)

第1分科会では、『労働審判の活用と解雇の金銭解決制度』『労働委員会・裁判のたたかい』ついて議論しました。43名が参加しました。
労働審判の現状について、①会社を不当に解雇され納得できない労働者がアクセスの簡単な審判を活用するケースが多い、②解決水準が全国的に低くなっていることが報告されました。討論では、中小企業での解雇事件について、「団交で解決しない場合や長引くと困難な当事者には短期で解決する審判を活用する。」「経営者にまともに労使交渉をしなければならないことを分からせるための制度として審判が活用されるべき。」などの意見が出されました。一方で、「労働審判が不当解雇の事件で一定の救済になっていることと、『解雇の金銭解決制度』は別物。労働組合員を職場から排除しようとする解雇で職場復帰を出来なくする制度は認められない」と金銭解決制度に対しては危惧する意見が大半でした。労働審判での解決水準の低下は、解雇の金銭解決制度を念頭に入れて相場を作ろうとしていることが懸念されます。
裁判・労働委員会での闘いについては、「労働委員会が労働者の地位向上、労働組合活動の助成という使命を帯びていることから、少数組合でも闘える制度として活用していくことは重要」との報告があり、労働委員会の活用について意見交換しました。裁判闘争とも合わせ、職場復帰・勝利解決した経験から、職場で組合活動を継続してきたことが大きな力となったことや、支援共闘会議を中心にした職場の外でのたたかいを重視したことが報告されました。
「職場に戻り、活動することが本来の姿だがうまくいかない。」、「審判でも職場復帰はあったが、職場に組合がある場合。」などの率直な意見も出され、職場に戻って活動することが運動を広げていくことであり、そのためにも組織化していくことが重要であると語られました。

第2分科会 派遣法改悪に負けるな!改正派遣法を活用して非正規 労働者の権利を守る闘いを!(報告:弁護士 古本 剛之)

第2分科会では、派遣労働、偽装請負等をテーマに22名が参加し、報告、意見交換が行われました。
1 改正派遣法
前半では、村田浩治弁護士より、改正派遣法の特徴や使い方についての報告がされました。
改正法は、常用代替防止・臨時的一時的であるという大原則は維持しながら派遣労働者保護は不十分であるという矛盾があるが、派遣労働は一時的労働であるという原則を強く意識して組合運動に活かし、みなし規定をどう活用するかが重要であると指摘されました。
2 事例報告
続いて、参加者から事例報告がされました。
①専門  業種の偽装があった読売テレビ労組のアシスタントプロデューサー雇い止めの事件、②読売テレビ労組における、数年前まで派遣であったが業務委託に切り替えられた事件、③川崎重工において7年間専門  業種を偽装した派遣がなされた事件、④K大学事務職の  業種偽装派遣のケースで労働局に違法派遣で申告した結果、期間を定めることなく当該派遣労働者の雇用するよう指導がなされた事件、⑤済生会泉尾病院で派遣で働いていたが、経理処理について内部告発などしたところ雇い止めをされ、労働局へ申告している事件の報告がなされました。
3 意見交換
続く意見交換の中では、組合が派遣労働者を組合員とする場合の問題について質問され、組合員資格はないが派遣社員の問題も組合の問題として扱っているケースも報告されました。
また、派遣社員の問題を扱いたいが、当の派遣社員が組合を敬遠するなど、組織化、組合活動の難しさも挙げられました。「正規社員の中には派遣の待遇を上げると自分たちの給料が減る」といった不安を口にする人もいるようで、組合の悩みが吐露されました。
4 模擬団体交渉
模擬団体交渉を予定していましたが、残念ながら時間がなくなってしまい、この場で実演することは出来ませんでした。模擬交渉を目当てに参加された方がおられましたら、申し訳ありませんでした。
模擬交渉の代わりに、村田弁護士が準備した組合からの要求項目案が示され、派遣法の建前、厚労省通達、国会決議を利用し、派遣社員の現状改善のための要求を積極的にしていくよう、呼びかけられました。
5 活発な意見交換がなされて、盛り上がった分科会になりました。

第3分科会 有期雇用労働者の差別をなくそう! 今こそ労働契約法20条を活用する時!(報告:弁護士 吉村 友香)

はじめに、有期・非正規雇用をめぐる情勢の報告があり、ここで参加者の方から鋭い質問・指摘がありました。「有期・非正規という言葉の後に何が続くと思いますか」という質問。「労働? 労働者?」多くの参加者が頭を傾げました。質問をした方の意見は、「労働の内容は有期も正規も同じ。使用者は、同じ労働を受けているのに、有期・正規で違いを設けるのはおかしい。非正規の言葉の後に『労働』という言葉をつけないで欲しい。『雇用』という言葉を使うべきだ」というものでした。これに対して、他の参加者から、「『雇用』というのは契約の形。『労働』というのは、実際に行っていること。使い分けが重要と感じた」等の意見が出されました。
続いて今回のメインテーマの一つである労働契約法20条の活用法と  条裁判の報告がありました。
20条裁判について、まず、大阪医科大学20条裁判の原告の方から報告がありました。裁判では、正規雇用の職員と同じ労働どころか、それよりも多忙で過酷な仕事内容にもかかわらず年収が正規の2分の1から3分の1、その他の労働条件にも相違があるとして、手当だけでなく基本給にも切り込んだ主張がされているとのことです。
この後、郵政産業労働者ユニオンの方から現在進行中の20条裁判の報告があり、「格差是正は有期労働者だけの問題ではない。全労働者、日本社会全体にかかわる問題である」と力強い言葉で締めくくっていただきました。
参加者からの指摘にもありましたが、20条は十分な規定とはいえませんが、裁判で勝てば使える条文です。20 条を労働者の武器にするべく、裁判で戦って、良い判決を勝ち取ることが何よりも必要だと思います。
この他、分科会では、寸劇で楽しく分かりやすく非正規雇用の問題を学びました。
さらに、今年は、公務の非正規雇用問題についても取り上げ、大阪府下自治体非正規公務員のワークルールの調査結果について報告をいただきました。ここでは今回の調査結果が労働条件改善に向けた交渉材料になることに期待したいという意見が出されました。
分科会参加者は29名でした。今年も多くの方から報告をいただき、議論を深めることができました。

第4分科会 帰ってきた「待ったなし! 外国人労働相談」~組合が知っておきたい外国人労働者問題~(報告:弁護士 安原 邦博)

第4分科会は、久しぶりに権利討論集会に帰ってきた、「待ったなし!外国人労働相談」です。外国人の労働に関する問題は、今後も、建設、家事支援、介護等の分野で外国人労働者の〝受け入れ〟が確実であるなど、私たちが取り組むべき喫緊の課題となっています。そこで、計27名の参加者(労働組合8名、学者1名、弁護士12名、法律事務所事務局2名、修習生2名、ロースクール生2名)で、次のとおり、この問題について学びました。
まず、仲尾育哉弁護士が、前提知識として、日本における外国人労働者の現状や政策について簡単に解説しました。
次に、首都圏移住労働者ユニオン書記長の本多ミヨ子さんが、「ご都合主義の外国人労働者政策は何をもたらすか―家事支援労働者・技能実習制度・EPA介護従事者に関連して―」と題して報告をしました。日本が、これまで、「単純労働者は受け入れない」というタテマエのもと、技能実習生を安価な単純労働者として使い捨てていること(技能実習生には過労死と疑われる死亡がとても多い!)等が紹介され、今後は、建設、介護の他、国家戦略特区で大阪府(関西圏特区)も 〝受け入れ〟る予定である家事支援等、労働環境が悪く、日本人の労働力が不足している分野において、更に多くの外国人労働者が使い捨てにされる危険があると指摘されました。
化学一般関西地方本部大阪合同支部書記長の原田清さんは、外国人労働者の労災が多発するメーカーでの現場報告をしました。出身国が様々で、労働者間の意思疎通が難しい職場において、ハイキング等で親睦を深め、定期大会の議案書も多言語で作成するなどし、コツコツと要求実現をして組合を作ってきており、今後も使用者に安全配慮義務の履行を強く求めていくという力強い報告でした。
組合からの報告の後、マイグラント研究会から、鶴見泰之弁護士が研究会の活動紹介をし、個別事件報告として、奥田愼吾弁護士が「中国人調理師不正雇用事件」、森俊弁護士が「強制貯金禁止の脱法行為」、仲尾弁護士が「中国人技能実習生未払賃金請求事件」の紹介をしました。
最後は、若手弁護士やロースクール生等による、外国人相談シミュレーションでした。これは、外国人労働者問題に詳しくない組合が相談を受けるという設定の寸劇です。①在留資格、②技能実習生、③労災という典型的な3つの場面でシミュレーションをやり、適時解説をするというスタイルで、外国人労働者の相談を受ける際に気をつけるべきこと等を学びました。
分科会に参加した組合の中には、今回はじめて外国人労働者問題について学んだというところもありました。今後は、この度作った繋がりを発展させて、組合、学者、弁護士等で連携してこの問題に取り組みましょう!

第5分科会 激論:どうなる・どうする労働時間制度(報告:弁護士 稗田 隆史)

第5分科会では、「激論:どうなる・どうする労働時間制度」というテーマのもと、39名の方に参加していただき、労働時間法制改悪阻止に向けて、今後どのような運動に取り組んでいくべきなのか議論を交わしました。
前半は、現在の労働時間制度の問題点を把握するため、参加者の方々から各業界の労働時間制度の実態について報告をしていただきました。松浦章さんのご報告によりますと、裁量労働制とエグゼンプションを先取りする損害保険業界では、「企画業務型裁量労働制」の適用対象が「営業職」や「保険金サービス職」にまで拡大化されており、実に40%以上の従業員が残業代支払いの対象外となっている会社すら存在するなど、労働基準法違反が蔓延しており、長時間労働が深刻な問題となっているとのことでした。その上で、労働時間法制が改悪されれば、違法な現場を「合法化」させることとなり、今まで以上に長時間労働が深刻化してしまう危険性があることを指摘されました。
また、自動車運転労働者の実態報告では、平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス転落事故を例に挙げつつ、厚生労働省が策定している「自動車運転労働者の労働時間等の改善のための基準(いわゆる「改善基準告示」)」が「過労死」認定基準を上回る長時間労働を認めており、運転労働者達が長時間労働による健康被害を起こし、「居眠り事故」につながってしまう危険性があることを指摘されました。まさに、一刻も早く改善基準告示の改正をすべきです。その他にも、医療、教員(公立・私立)、新聞業界、港湾業界などの各業界における様々な労働時間の問題点が数多く取り上げられ、各業界における労働時間制度について、深く勉強することができました。
後半は、前半に行われた各業界における実態報告を踏まえ、有識者の方々から労働時間法制の改悪の阻止に向けた手段として、どのようなものが考えられるか、議論を重ねました。その議論の中では、改悪阻止に向けた具体的手段の一つとして、過労死防止法の制定を受け、昨年7月に閣議決定された「過労死防止対策大綱」の内容を十分に勉強し、今後の労働組合における活動に活用することが挙げられました。そのためには、社会問題化している過労死の実態を国民で共有化させ、使用者による労働時間把握の徹底、労働時間の上限規制、インターバル規制、休暇の取得推進等の法整備を充実化させる必要があり、我々各人が一致団結し、労働時間制度の問題について取り組んでいくべきであることを認識させられました。
この分科会で得ることができた知識を活用し、私自身、労働時間法制改悪の阻止に向けて、一層取り組んで参りたいと思います。

第6分科会 いまこそ自由闊達な労働組合活動を!(報告:弁護士 谷 真介)

第6分科会では、権利討論集会では初めて、労働組合活動をテーマにしました。
第1部では、「便宜供与と労働組合の権利」(組合事務所や掲示板、チェックオフ)を取り上げました。昨今大阪府の自治体労組で大きな問題となっており、民間にも波及する問題です。民間の少数組合がチェックオフや掲示板を勝ち取ったという、元気の出る報告もありました。
第2部では、争議における街宣活動を取り上げました。ストライキがほとんどなされない現在、街宣の重要性が増しています。労働組合がどの場面で何を目的に街宣を行うのかにつき、大阪市での区役所宣伝の経験等が報告されました。また使用者や警察からの介入と対処法について、各参加者から悩みや工夫を出していただいた上で、街宣懇や救援会から豊富な実例の紹介、弁護士から近時の損害賠償請求や差し止めの裁判例の報告を行い、議論しました。「何を目的とした街宣なのか」から離れないこと、妨害には毅然と立ち向かうこと、損害賠償等については恐れる必要はないが最近の裁判の傾向を把握した上で行うこと等の意見が出されました。
第3部でテーマとした団体交渉では、3つのケース設例(団交人数・時間の制限、合理化提案について十分な資料が開示されない、使用者側に弁護士・社労士が出てきた)を元に、参加者の悩みや工夫を出し合い、議論しました。特に使用者側に弁護士等が出てくるケースは、近年の弁護士増や労働問題への業務範囲拡大傾向に伴って増えており、参加者の関心が高かったようです。
最後に遠藤昇三島根大学名誉教授からまとめの発言をいただきました。中でも、ストライキなしの交渉で「勝ち取った」と思っている権利は、実は誤解ではないか、との点には、はっとさせられた方も多かったのではないでしょうか。
労働組合活動の分科会は新たな試みであり、議論がまとまらなかった側面もありましたが、各参加者の悩みや実践例を共有できただけでも実施した甲斐がありました。企画した私自身にとっても大変勉強になりました。

第7分科会 社会保障問題 労働組合は何に取り組むか (報告:弁護士 岡 千尋)

第7分科会には、23名にご参加いただきました。
第1部では、木下秀雄教授(大阪市立大学院法学研究科)から、社会保障の現状と課題と題してご講演いただきました。木下教授は、社会保障の問題について、①具体的な事実を〝リアル〟につかむことが出発点、②戦略的に社会保障問題を考え、こちらから問題提起していくことが大切だということを強調されました。社会保障が貧弱化されていく状況だが、私たちとしては、防戦一方ではなく、こちらから積極的に求めていく場面が必要ではないかとお話されました。
講演後は、参加者から、国は社会保障費の財源を確保できないから削減するといって、国民を諦めさせようとしているが、社会保障の充実を求める私たちから、財源はこう確保できるはずだ、という具体案を提示した方がいいのではないか、という意見も出され、熱のこもった議論ができました。
第2部では、喜田崇之弁護士から生活保護引き下げ違憲訴訟の意義と展望について、高橋早苗弁護士から年金引き下げ違憲訴訟の意義と展望について、報告があり、それぞれの訴訟の原告からも発言いただきました。
報告後は、たくさんの参加者から発言がありました。一部ですが、以下紹介します。
・組合として社会保障闘争をどう盛り上げていくのか、具体的に何ができるのか、悩ましい。
・一昔前は、就職すれば定年まで働いて、マイホームがあって、退職金があって、というのが一般的だったが、現在は、国民年金保険料すら支払えない若者がたくさんいる。あと  年後になったらどうなってしまうのか、組合としても全体で考えていかないといけないところまできている。
最後に、木下教授から、地道な活動でネットワークをつくり、介護の現場などで起こっている問題を具体的にとらえ、その具体的解決策としてこちらから要求して制度を作り変えさせていけるようできたら、と提案され閉会しました。

第8分科会 憲法を守る取り組みについてみんなで語り合おう!(報告:弁護士 長瀬 信明)

第8分科会では、「憲法を守る取り組みについてみんなで語り合おう!」というテーマの下、20名の方が参加し、活発な議論がなされました。
まず、明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)の弘川欣絵弁護士から、実際に「憲法カフェ」の一部を再現していただき、「憲法カフェ」のなんたるかを教えていただきました。憲法に「愛」という文字はあるか?といったクイズを織り交ぜたり、紙芝居仕立てで「立憲主義」について説明したりと、これまで憲法を敬遠していた人やまったく知らないという人にも、優しくわかりやすいよう工夫されていました。是非参加してみたい、近くに呼んでみたいと思わせる内容でした。弘川弁護士によれば、戦略的に「憲法カフェ」を開催しているそうで、例えば、まず、母親層の共感を得ることが大事で、そうすれば父親層の理解を得やすくなるとか、保守王国地元福井でどうしたら「憲法カフェ」を成功させることができるか等々興味深い話ばかりでした。
次に、同じくあすわかの遠地靖志弁護士から、見守り弁護団についての紹介、その意義、やりがいについてお話しいただきました。
そして、ティーンズソウル関西の高校生からも話をしてもらいました。自衛隊から直接メールが届いたことでリアルに実感したというエピソードなど交えながら、「戦争になったら人間が軽く扱われる。」、「友人、家族が被害を受けたらと思うと他人事とは思えなくなった。」、「もちろん他にもやりたいことはたくさんあるけど、デモに参加しなければならないと思った。」等々、既に他人事ではなく、自分のこととしてデモに参加していることは、彼の言葉の端々から伝わってきました。
その後、各参加者にこれまでの取り組みを語っていただくとともに、今日の議論を踏まえて、今後の取り組みについて語っていただきました。
誰だって殺されたくないし、殺す側にもなりたくないです。親としては、子供を戦場に送りたくない。そうした思いを共有しつつ、憲法、そして、平和を守るための運動はこれからも続けていかなければならないということを再確認することができたとてもよい分科会でした。


クイズ

会長 萬井 隆令

 権利討論集会の後の懇親会で、クイズを出しました。奇妙な判決がでたので、それを紹介し、裁判所を告発しようと考えてのクイズでしたが、解答は示しませんでした。

甲から乙、乙から丙へと業務を下請けに出し、しかし、実際には甲が乙、丙の従業員を指揮命令して就労させているという典型的な2重の偽装請負で、派遣切りにあった丙の従業員が甲を相手取って、黙示の労働契約の存在確認を請求したDNPファイン事件です。

光学機能フィルムのプリント基板製造業務を大日本印刷KKから請け負っているDNPファイン(甲)は、勤務体制は3組2交替で、工場全体のシフト表を定め、工程―班ごとに甲社員が管理職として就いて、人員体制表に基づき混在して就労する甲、乙、丙3社の社員各人に毎日、作業位置を示した 設備配置版を確認させ、「作業予定表」に従い「製造指示書」に基づいて作業させ、終わると、「生産実績表、作業時間表、設備日報及び引継ぎ連絡シート」を作成させ、それを次の班が引継いで作業に入るというものでした。

さいたま地裁は、甲は「作業上の具体的な指揮命令をしていた」から労働者供給事業にあたるが、労働者と甲の間に「事実上の使用従属関係」があったとは認められない(から、黙示の労働契約の成立は認められない)、と判示しました。
控訴審で東京高裁は、地裁の事実認定をほぼ全面的に下敷きにしながら、「基板を製造する過程の一部として前後関係にある」が「それぞれ独立して作業することができる」、人員体制表は所属の班、担当する工程を記載しただけで、甲による班編成を意味しない、労働者は「作業に当たって作業予定表及び製造指示書を参照する」だけで、「ほかに逐一指示を要しない」等と指摘して、甲の具体的な指揮命令はなかったと判示しました。

さて、この地裁、高裁の判決の理由付けを推理してくださいというクイズなのですが、正解はありません。それだけの事実が揃い、地裁のように、労働者供給事業と認めながら使用従属関係はなかったとか、高裁のように、人員体制表、作業予定表、製造指示書といった文書は「指示」を意味しないなどとは、まともな常識を備えた人は思いつかないからです。「こんな判決、アリか?」

裁判所による「正解」は、労働法律旬報の2月下旬号に掲載されています。「面白うて、やがて腹立つ…」です。私は判例評釈をしています。

建設アスベスト訴訟大阪地裁判決の報告

弁護士 高橋 早苗

1 4年半にわたる裁判、ついに判決を迎える

2016年1月22日、建設アスベスト訴訟の大阪地裁判決がありました。建設アスベスト訴訟は、建設作業従事者が石綿建材を建築現場で直接または間接に扱ったことにより、中皮腫や肺がん、石綿肺などに罹患したことについて、国と建材メーカーに対し損害の賠償を求めるものです。
本判決は、東京地裁、福岡地裁に次いで、国の責任を認め、その内容も一歩前進したといえるものでした。しかし、建設作業従事者の多くを占める一人親方を救済せず、石綿建材を大量に生産し販売してきた被告企業の責任は認めないといった点で大きな問題を残すものでした。こうした点や責任期間の問題で、国の責任との関係でも、被害者19名のうち、7名については請求が認められない結論となっています。

2 三度国の責任を認める

本判決が国の違法を認めた点は次の3点です。① 昭和50年~平成18年の間、防じんマスクを労働者に着用させるよう事業主に義務づけなかった点、② 昭和50 年~平成18年の間、石綿建材に警告表示を行うよう製造業者に義務付けなかった点、現場に警告表示の掲示を行うよう事業主に義務付けなかった点、③ 平成7年~平成18年の間、青石綿、茶石綿だけでなく、白石綿の製造等禁止をしなかった点です。
このうち、①及び②の点については、国の違法期間につき大阪地裁に先行して出された東京地裁が昭和56年から、福岡地裁が昭和50年から平成7年としていたところ、大阪地裁は昭和50年から平成18年と、32年間という長期間にわたる国の違法を認めました。また、③の平成7年のクリソタイル(白石綿)の製造禁止については、主張していたもののこれまでの先行する判決では認められていなかった点を新たに認めたものでした。

3 判決の不当性①――「一人親方」の救済はせず

このように、国の責任を一歩推し進めた点では評価しうるものの、「一人親方」については労働関係法規によっても、建築基準法によっても保護の対象ではないとして、国の責任を認めませんでした。建築現場においては、労働者であるか一人親方であるかで行う作業の内容は何ら変わらず、また誰が労働者であるか一人親方であるかなども全く分からない状態で作業に従事しています。今回、労働者性を多少緩やかに判断したために、労働者と認められた原告もいますが、逆に言えば、そのようなさじ加減ひとつで、一人親方にも労働者にもなり得るような曖昧な違いしか労働者と一人親方との間にはないのです。
全く同じように働いてきて、同じように苦しんでいる一人親方を救済しない理由はありません。国の責任が問われる中、労働関係法規、建築基準法という国が作った法律の保護対象じゃないから、という理由だけで一人親方が救われないというのはあまりにも国に都合よく国の責任を免れさせる判決です。

4 判決の不当性②――企業責任の否定

また、企業については今回一人一人の原告について、主に取り扱った建材や企業を可能な限り分析し、各原告につき主要な企業を特定するなどの作業を行ったものの、本判決はそのような主張にもまともに向き合うことなく、十分な検討をしないまま、結論ありきで企業の責任を否定しました。被告企業らは、石綿の危険性を認識しながら、企業の利益のために現実に石綿建材を流通させ、建設作業従事者の手元まで行き渡らせました。企業の製造・販売という加害行為があったからこそこれだけ広く石綿建材が出回り建築物に使用されたのです。現実の被害が生じたことについて企業の責任は重大であり、その責任を否定する本判決は不当としか言いようがありません。この点、大阪地裁判決の1週間後の1月29日に出された京都地裁判決では、企業の責任を認めました。京都も大阪も、建設現場の実態や被害の程度には何の変わりもありません。大阪地裁判決が不当判決だということは京都地裁判決からも明らかです。

5 石綿被害にあった全ての建設作業従事者の救済を目指して

建設アスベスト大阪訴訟は2011年7月に原告17名(本人原告4名、遺族原告11名)、被害者10名で提訴し、その後順次追加提訴を行い、判決時には原告33名(本人原告6名、遺族原告27名)、被害者19名となっていました。提訴から判決までの4年半の間に、4名の本人原告の方々が亡くなりました。当初は期日にも集会等にも、石綿による疾患を患いながらも意欲的に参加されていた方々が、その後家から出られなくなり、あるいは病院に入院し最期を迎えてしまったことは、本当にやるせなく悲しいものでした。このような現実を目の当たりにし、よりいっそう石綿建材の使用を推進し、放置してきた国と企業に対する怒りが込み上げてきました。
本判決については、前述した点をはじめ、不当な判断がいくつもあります。建築作業従事者の石綿被害についての国の責任、そして企業の責任を正しく認め、原告、そして全ての石綿被害にあった建設作業従事者が救われる判決を勝ち取れるよう、原告団、弁護団とも控訴審でも力を尽くして戦っていきたいと思います。

百数十日に及ぶ職場占拠を伴うストライキに争議行為の正当性を認めた事例~きょうとユニオンiWAi分会(仮処分)事件

弁護士 塩見 卓也

 現在、京都市山科区では、160日以上(2016年2月22日時点で169日)にわたり職場占拠を伴うストライキを継続している労働争議が行われている。その争議に関し、大阪高裁において、争議行為の正当性を正面から認める決定が出されたので、報告する。

 事案は以下のとおりである。京都の廃棄物処理業者の社長が廃棄物処理法違反で2015年5月に逮捕された。そのことで、京都市から事業許可を取り消されるおそれが強まり、従業員に雇用不安が拡がったため、従業員15名が地域労組である「きょうとユニオン」に加入し、職場で分会を結成し、8月に雇用維持と残業代支払い、仮に雇用維持が困難となった場合には退職金を支払うことなどを求め、団交を2回行った。団交で社長は、従業員を解雇せざるを得なくなった場合の退職金支払約束の誓約書に署名し、少なくとも10月度までは賃金支払を保障すること、残業代を支払うようにすることなどを内容とする労働協約も、会社側社労士も在席する中で締結された。その余の交渉事項は、9月に継続交渉することになった。

しかし、9月5日、社長は「体調不良」を理由に雲隠れし、組合に対し団交拒否及び労働協約等の破棄を通告した。
そこで組合は、9月7日、スト権行使通告の上、職場占拠(社長の出入りは拒んでいない職場滞留)を伴うストライキに入った。
このストライキ突入直後あたりから、私はきょうとユニオンから本件についての相談を受けるようになった。

 それに対し会社は、9月11日、京都地裁に社屋への立入禁止等を求める仮処分を申し立てた。さらに同日中に、事業許可取消を理由に組合員に対し解雇通知文を送付した。9月14日、京都市は、会社の事業許可を取消した。
9月15日、上記仮処分の申立書と、仮処分審尋期日の呼出状が組合に届いた。呼出状には、審尋期日は2日後の17日と指定されていた。組合に対しほとんど準備期間を与えない期日指定であり、この時点では、京都地裁は仮処分を認める決定を出すつもりだったのではないかと思われる。

私は、組合から15日の深夜に電子メールでこの呼出状が届いたことの連絡を受けた。私は17日の審尋期日に出席するのはスケジュール上無理だったが、とにかく審尋期日までにやれることはやらなければならないと思い、翌16日の午前に組合との打合せを入れることにした。
打合せでは、2度の団体交渉や会社からの説明会については、全て録音が残っており、第1回団交については映像も残っているということを聞いた。しかし、1日ではこれらの反訳等を準備している時間がない。証拠に基づく詳細な認否・主張は間に合わないので、私は、答弁書では事実経緯と主張の主要部分のみを述べ、裁判所に対し改めて第2回審尋期日を指定し、詳細な認否・反論を行う機会を与えることを求めることにした。16日夜は徹夜で、事業継続が不可能となるおそれが生じ雇用不安が拡がったことについてもっぱら会社経営者の落ち度であること、組合側の要求事項は使用者側の落ち度で雇用不安が生じた状況では当たり前の内容であること、2度の団体交渉は至って通常の団体交渉であったこと、それら団体交渉を通じて労使間で協約が締結され、退職金支払いが約束されたこと、にもかかわらず会社が協約や約束を一方的に破棄し団交拒否を通告したこと、会社に交渉継続させ締結済みの協約等を守らせるために争議行為を行うことはやむを得ない状況であることを述べ、この状況での組合の争議権行使は憲法  条で保障された当然の権利行使であり、それに付随して職場に滞留することも憲法で保障された争議権の範囲内であるという筋道を述べる答弁書を作成した。さらに、会社の事業許可が既に取り消されているから、保全の必要性もない旨を主張した。

9月17日、仮処分審尋期日では、私が出席できないまま、組合員のみ出席で開催された。裁判所からは、第2回審尋期日は開かないものの、10月9日までを期限に、双方の追加主張を出すという訴訟指揮が行われ、この日の期日は終わった。徹夜で頑張った甲斐あり、ひとまずはすぐに打ち切られて仮処分を出されることは避けることができた。

 10月9日、仮処分手続に、組合、会社の双方が主張書面を提出した。この主張書面においては、2回の団交や会社説明会の録音反訳や団交の映像などを証拠提出し、8月31日までは通常の労使交渉が行われていたにもかかわらず、会社側がそれまでの積み重ねを一方的に破棄し団交拒否していることを十分に立証できた。
京都地裁は、10月16日、「営業許可が取り消されている状況では保全の必要性が認められない」との理由による却下決定を出した。

しかし、10月27日、会社側は仮処分の却下決定に対し即時抗告した。会社側は、抗告審に入ってから、この会社が廃棄物処理事業者であったことから、会社の事業は「公益事業」であり、組合がストライキに入るためには労調法37条1項に基づく10 日前までの労働委員会に対する通知をすべきところ、それを怠っているので違法ストであるという主張を追加した。即時抗告答弁書では、この論点に対する反論も書く必要があった。

この論点は、仮に通知義務違反があったとしても、労調法37条1項が公益事業において争議行為を行う当事者に予告義務を課すことの趣旨は、公衆の不利益の軽減という政策目的に基づく技術的制限にすぎないから、予告義務に違反する争議行為も一般的な民事・刑事免責を失わず、使用者との関係ではスト突入と同時に通告していれば違法とならないというのが労働法学上の通説だといえる(西谷敏『労働組合法』第3版410頁)。しかし、昭和30年代の判決では反対説に立ったものもあることや、近年はそもそもストライキ自体が珍しいためこの論点についての先例に乏しいことから、どう書くか悩ましいところだった。

私は、原爆症訴訟の弁護団会議のため民法協事務所にいた際に、事務所内に置いてある集団的労働法に関する文献をあさった。そこで、『労使関係―労働委員会・裁判所―協議資料』(1974年、公報資料センター)という、昭和40年代において、最高裁及び高裁、地裁のそれぞれから裁判官、地労委及び中労委のそれぞれから労働委員会公益委員の参加の下に開催されていた、「裁判所と労働委員会との連絡協議会」の議論内容を収録した本を発見した。この本では、1969(昭和44)年7月に大阪で開催された協議会において、この論点につき議論されたことが記録され、最高裁裁判官らも上記通説を支持している旨の発言が収録されていた。
これらの記録も証拠として提出し、使用者との関係で労調法の通知義務は問題にならないと主張する内容で、12月18日、仮処分事件の即時抗告答弁書を提出した。

 そして、年が明けた2016年2月8日、大阪高裁から仮処分事件の抗告棄却決定が出た。
この決定では、京都地裁が争議行為の正当性については判断せず保全の必要性の問題で仮処分申立を却下したのに対し、「抗告人代表者…と連絡が取れない状況下において、抗告人に対し、それまでの間行われてきた労働条件を含む退職金等についての話し合いを目的とする団体交渉を引き続き求めるためにやむを得ない手段であると評価することができ…本件不動産における職場滞留が争議行為として直ちに正当性を欠くということはできない」と、争議行為の正当性につき正面から論じた上で、その正当性を認めた。

また、労調法37条1項の論点については、通説に従い通知義務違反があったとしても使用者との間では争議行為の正当性を欠くことにはならないと判示した。この点の判断は、本格的なストライキ闘争が極めて少なくなっている現在において、改めて通説の立場が確認されたという点で意味があるのではないかと思われる。

 ストライキは現在も継続中である。今回の決定は、長きにわたり職場に居座って闘い続けている組合員を非常に強く勇気づけるものといえる。
今後については、組合側から京都府労働委員会に不当労働行為救済命令申立を行うなど、さらなる積極的な闘争を行うことを準備している。終局的な勝利に向けて頑張っていきたい。

「3歳の壁」をなくす実効性ある育休法改正を!!―京阪ステーションマネジメント配転命令無効確認事件 訴外で和解

弁護士 西川 大史

1 はじめに

夜間などの不規則勤務を含む業務への配転命令を受け、育児との両立ができなくなり休職に追い込まれた女性が、勤務先である京阪電鉄の子会社である京阪ステーションマネジメントに対し、配転命令の無効確認を求める仮処分を大阪地裁に申し立てたことについて、民主法律2015年3月号でご報告しました。今般、会社と訴外での和解が成立しましたので、ご報告します。

2 仮処分申立に至る経過

A子さんは2011年に2人目の子どもを出産しました。2012年5月に産前産後休業・育児休職から復帰して、育児短時間勤務として本社で事務職などの勤務をしていました。
ところが、会社は、2014年10月に、子どもが3歳を迎えたことに伴い、A子さんの育児短時間勤務を終了させて駅改札業務への配転を命じました。配転後の勤務時間は、午前8時から午後9時45分までのうち8時間勤務という不規則勤務であり、子どもらの保育園への送迎ができなくなります。A子さんは夫婦で時間調整しましたが、夫も早朝勤務や深夜勤務があり、保育園への送迎ができない日が出てきます。

A子さんは、会社に、勤務時間の配慮や配転命令の撤回を求めましたが、男性管理職から、「皆、事情抱えてるやん、そんなん。あなたの都合で勤務できへん」、「個人的な事情で特別に便宜図るいうのは無理やわ」、「家庭の事情は色々ある、僕は両親の介護のために嫁さんに会社辞めさせましたよ」、「(子ども持ちながら働くの)難しいな。うちの嫁はんも辞めやったけどな」、「今はそういう世の中や」などと言われ、勤務シフトの変更には応じてもらえませんでした。

そこで、A子さんは、当職らに相談に来られ、2014年11月から会社と交渉を開始し、大阪労働局の雇用均等室にも紛争解決援助を求めて相談に行きました。しかし、会社は、勤務時間帯の改善には応じないという姿勢を崩しませんでした。また、労働局の雇用均等室に至っては、育児介護休業法が3歳以上の子を養育するに労働者への措置として使用者に課しているのはあくまでも「努力義務」であり、会社が努力しているといえばそれ以上のことは言えないなどと、会社の代弁者のような応対に終始しました。
そこで、A子さんは、配転命令の無効確認を求めて仮処分申立に踏み切りました。

3 訴外での和解

裁判所は、第1回審尋期日から和解を勧試しましたが、A子さんに対して「何とか保育園の送迎できませんかね」などと問うなど、解決に向けて積極的に対応する姿勢ではありませんでした。
我々としては、裁判所での法的な主張のみならず、社会全体に向けてのアピールが重要だと考え、A子さんのマタハラネットでの記者会見や、各メディアへの取材要請など、さまざまなアピールをしてきました。また、他の電鉄会社では、3歳以上の子どもを養育する労働者に対しても、さまざまな配慮をおこなっていたことから、京阪グループの努力がいかに不十分であるかについても訴えてきました。

そのような中、会社から訴外での和解申し入れがあり、その内容は、①A子さんが平成28年4月より復職すること、②会社が、育児・介護により早朝及び夜間における勤務が困難となる労働者を対象とする新たな勤務シフトの導入に向けての協議を開始するというものです。
A子さんにとってはけっして十分な合意内容ではなかったのですが、A子さんの復職が叶うことや、会社が制度を導入することの意義、さらには育児と労働が両立する社会の実現の一助になればとの思いから、2016年2月1日に会社と合意をすることとなりました。

4 さいごに

育児介護休業法は、3歳未満の子を養育する労働者に対して所定労働時間の短縮措置等を講じなければならない法的義務を課していますが、3歳以上の子を養育する労働者に対しては、努力義務を定めるのみです。いわゆる「3歳の壁」があります。
厚生労働省の調査によれば、育休法の規定に従い、育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度を導入している企業は約6割にとどまります。また、育休法の規定をこえて、3歳以上の子どもを養育する労働者に対して所定労働時間の短縮措置等を講じている企業は、そのうちの約6割とのことです。
A子さんのように、子どもが3歳に達した途端、会社が所定労働時間どおりの通常労働を命じることは多いでしょうが、子どもをもつ労働者にとっては事実上の退職勧奨でもあり、「マタハラの進化系」でもあります。
この「3歳の壁」が取っ払われ、実効性のある育児介護休業法の改正こそが女性の社会進出、育児と労働の両立に不可欠です。この裁判が育児介護休業法改正の一助になればと強く願います。

(代理人は、有村とく子弁護士と当職です)

大企業の身勝手許さない―シマノ「雇止め」争議で勝利和解

全国一般労働組合大阪府本部 書記次長 竹口 登美

自転車、釣具で世界的に有名な(株)シマノで起こった有期契約社員の雇止め事件が、2015年12月22日、大阪地裁堺支部で和解しました。2012年に会社が行った雇止め意思表示の撤回、同年12月31日付けでの合意退職、解決金支払いという、原告勝利の内容です。

(株)シマノの基幹業務である自転車部品のプレス作業に従事していた原告・多炭さんは2006年から派遣社員として、09 年からは(株)シマノに直接雇用される有期契約社員に。1年ごとの契約を反復更新し、5度目の契約を前に雇止めされました。
12 年10月、雇止め通告直後に多炭さんは全国一般労働組合大阪府本部に加入。団体交渉で、職場責任者が「来年は忙しくなる」など更新期待の発言があったことや、同年8月10日施行の「労働契約法19条」(雇止め法理)を示し雇止め撤回を求めました。しかし会社側弁護士も出席する団体交渉で「1年ごとの契約なので、一方的に通知すれば雇止めできる」と、まったく要求に応じないため、大阪地裁堺支部・第2民事部合議係(高橋善久裁判長)に雇止め無効・地位確認を求めて訴えました。

会社は「減産で4人余剰になる。多炭さん以外は自主退職の予定」と雇止めを通告。しかし団交で、他に退職者が出たため5人減ることになると指摘すると「人数の問題ではない」と言い、「他部署への配転など雇用確保をはかれ」と要求すると「検討したが無かった」と言っていたものの裁判の途中からは「検討の余地は無かった」と、会社主張に一貫性がありません。そもそも(株)シマノは毎年順調に売上を伸ばす黒字経営で株主への特別配当も続いており、人員削減の必要はありません。このように合理的かつ具体的な雇止め理由を示さない対応が裁判でも続いていました。

ところで、多炭さんは11年3月、労災事故で後遺障害が残るケガを負ったため、会社の安全配慮義務違反による損害賠償請求訴訟を起こしました。これは会社が解決金を支払うことで和解しました。ところが雇止め裁判が進むと会社は労災事故を多炭さんの不安全行動だと強調し、雇止め理由として言い出しました。非正規労働者の多くが、「文句を言えば契約更新されないかも」と泣き寝入りするのが実情です。そのような中で、勇気を出して会社の非を改めるべく労災補償裁判に立ち上がったことを嫌悪し、職場から排除しようという会社のネライは明らかです。

裁判ではこれまでの勤務実態や更新の期待を証明し、会社主張の矛盾を追及する中、裁判所は証人尋問を前に和解を提案。最終的に双方代理人による和解が成立しました。雇止めからちょうど3年。解決金は3年間の闘いに見合うもので、有期契約・非正規雇用労働者ということをみれば画期的な内容の勝利和解です。

労働者の4割が非正規雇用でその多くが低賃金かつ雇用不安を負っています。「契約社員はいつでも一方的に雇止めできる」と断言する経営者が増えれば、さらに雇用情勢が悪化し、格差と貧困が広がることになります。私たちは引き続き、大企業の横暴許さず、非正規労働者の権利向上と均等待遇実現、そして「非正規だから」の泣き寝入りをなくすために奮闘する決意です。

(弁護団は、山﨑国満、井上耕史、南部秀一郎)

労働相談懇談会に参加して

弁護士 清水 亮宏

1 はじめに
本年1月21日に開催された、2016年度第1回労働相談懇談会に参加したので、同会の内容について簡単に紹介する。

2 労働情勢報告
当会会員の西川大史弁護士から、昨年10月からの労働情勢について報告があった。大阪地裁で勝訴が続いていた大阪市の入れ墨訴訟や組合事務所退去訴訟について、大阪高裁において厳しい判決が下されていることや、和民の過労死裁判における和解の内容などについて報告があった。

3 大阪弁護士会開催の外部労組対応の研修を受けて
当会会員の安原邦博弁護士から、昨年末の大阪弁護士会の研修「外部労組に対する対応一般に関する相談対応」の内容や、これを踏まえた組合側の対応などについて、報告があった。(研修内容については、「民主法律 2016年権利討論集会特集号」に、同弁護士による詳細な報告がある)
(1) 講師について
研修の講師は、使用者側として、外部労組の「対応」に数多く携わっている弁護士であり、団体交渉に代理人が出席するメリット・目的は、早期の紛争解決にあると繰り返し主張していたとのことである。
(2) 第1部 はじめに~外部労組とは
第1部では、いわゆる外部労組についての説明があった。労使紛争自体が事業活動にとってマイナスである、外部労組とは継続的信頼関係の構築が困難である、非組合員との関係で安易な妥協が困難である等の説明が印象的であった。
(3) 第2部 背景としての基礎知識
第2部では、労働組合の定義・目的・活動等について説明があった。ここでは、「組合が入ると勝負の土俵が対等ではなくなる」という学者の言葉を紹介する場面もあった。
(4) 第3部 団体交渉対応
第3部では、使用者の団交応諾義務、支配介入の意義、団交には応じないが協議の場には参加するという対応もあり得ること、使用者の事務所で団交をすると交渉が長引くおそれがあるので貸会議室等を借りるべきであること等についての説明があった。
そのほか、誰が使用者側の団交の交渉担当者として望ましいのか、義務的団交事項の内容、団交前の準備、団交中は誠実な対応が求められること、外部労組の交渉担当者に花を持たせることが重要であること、安易な妥協は禁物であること等についての説明があった。
(5) 第4部 団交後の対応
第4部では、団交を1、2度経た後に担当者同士の「事務折衝」によって解決を図るのが一般的であること、労働組合の活動等を調査するために組合事務所を積極的に訪問すべきこと、組合の街宣活動への対応等についての説明があった。

4 地域・産別からの事例報告
参加した地域・産別労組から、使用者側の弁護士が団交に立ち会った事例についての報告があった。
弁護士が同席して良かった点については、会社の法律違反の問題では是正することを約束せざるを得ないこと、知識のない社長を説得することによって比較的早期に円満解決できたこと等が指摘されたが、弁護士が同席して良かった点はないと回答した組合も半数近くみられた。
一方で、法律論からしか回答しない、会社との打ち合わせが不十分で質問・要求に回答できない、遠隔地の弁護士の場合は団交日時が大幅に遅延する、刺激的・逆上的発言を行う等の問題点も指摘された。
その後の質疑では、組合側で、使用者側弁護士が団交に出席した場合の対応策を検討・集約すべきとの意見も出された。

5 最後に
研修により、外部労組の「対応」に数多く携わっている弁護士の団交対応を知ることができたことはマイナスではない。団交に使用者側弁護士が出席した場合に、組合側としてどのように対応すべきかを検討し、今後に繋げることが重要であると思う。

「運転従事者の過重勤務・過労死緊急110番」を行いました

弁護士 上出 恭子

 未来ある大学生らが多数犠牲になった長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故を受けて大阪過労死問題連絡会では、平成28年1月30日に運転労働者の方に向けて緊急の電話相談を実施しました。その後、全国過労死弁護団の主催で同年2月12日にも全国21都道府県で「過労運転・過労死110番」を行い、大阪でも実施しました(全国で51件の相談があり、そのうち37件が運転労働者の相談だったようです)。

1月30日の相談では、約30件の相談が寄せられ、そのうち約20件がタクシー、バス、トラック運転手の方からの相談でした。
法律で定められている始業前の点呼がきちんとなされていない、定期健康診断が10年近く実施されていない、運転手が足りないということで厚生労働省が勤務条件改善のために策定した「改善基準」告示に違反した勤務実態で、自分もいつ事故を起こすか心配でならないといった相談がありました。
中でも、貸し切りバスの会社で運行管理等で内勤をしていた元労働者の方からは、①バスの保有台数との関係で運転手が少ないと過密勤務を疑われるということで労働者名簿に勤務実態のない従業員や死亡した元従業員の名前が入っている、②実際には2時間以上かかる距離であるにもかかわらず、30 分で運行する前提で指示書を作成して、労働時間規制をクリアしているかのように偽装している、③運転手に16時間拘束の勤務の後、3時間洗車業務をさせたりしている、④ 点呼もしていないのに点呼したことにしたり、点呼する人間が酒に酔っていたこともある、⑤ 民家等を営業所に偽装し、偽営業所から出庫する指示書を作成して労働時間規制をクリアしているかのように偽装している等々のいくつもの深刻な法令違反がある会社の相談がありました。

平成26年度の脳・心臓疾患の過労死(救命分も含む)の労災認定件数は277件ですが、バス・トラック・タクシー運転者等自動車運転従事者の認定件数は85件と全体の3分の1近くに及び認定件数からしても、運転労働の過重性は裏付けられるところ、電話相談の内容からは、業界全体の過酷な労働実態がより明らかになりました。
連絡会では、必要な事案に対しては、弁護士が違反通告者として労基署へ改善を求める申し入れを行うなどの取り組みを今後行う予定です。

「緊急事態条項」にご注意!

弁護士 諸富  健

 みなさん、「緊急事態条項」って聞いたことがありますか? 現行憲法にはない規定ですが、政府与党は、災害やテロを口実にしてこの条項を新設する憲法改正を目論んでいます。災害やテロの備えとして必要なのではと考えているそこのあなた、だまされてはいけません。「緊急事態条項」には猛毒が含まれているのです。

2012年に発表された自民党改憲草案の中に、「緊急事態条項」が含まれています。これによると、外部からの武力攻撃や大規模な自然災害などが発生すると、内閣総理大臣が緊急事態の宣言を発することができます。すると、内閣は法律と同じ効力を持つ政令を定めることができるようになります。これはつまり、法をつくる人と動かす人が同一になることを意味します。これでは、基本的人権が侵害されないよう権力分立の仕組みを採用した憲法の大原則が根底からくつがえされることになります。まさに、戦前の戒厳令に等しい代物なのです。1923年に関東大震災が発生したときに戒厳令が発せられましたが、悪質なデマが流布され、外国人や思想家が弾圧されました。このように、「緊急事態条項」は内閣の一存で基本的人権を著しく侵害することを可能にするもので、立憲主義の考え方とも相容れないものというべきです。

そもそも、災害対策については災害対策基本法や災害救助法といった法律がすでに制定されていますし、テロ対策についても警察官職務執行法や自衛隊法で十分カバーできます。災害やテロに備えるためには、予め各法律に基づいた準備をしておくことが何よりも肝要で、緊急事態が発生してから内閣があたふた動いたところでかえって現場の混乱を招くだけです。そうしたことから、震災を経験した岩手、宮城、福島、新潟、兵庫をはじめとして各地の弁護士会が、「緊急事態条項は災害対策にとって不要であるだけでなく有害だ」として反対する会長声明をあげています。

また、衆院選と災害が重なった場合に政治空白が生じることも、「緊急事態条項」を新設する理由に挙げられていますが、そうした場合に備えて、現行憲法は参議院の緊急集会を開催することができる規定を設けているのです。こんな些細な理由で猛毒を飲まされてはたまったものではありません。

現行憲法制定時の審議において、当時の憲法担当大臣は次のように述べています。
「緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」
こうした議論を経て、現行憲法は「緊急事態条項」を定めませんでした。「便利」よりも「民主政治の根本の原則」を選んだのです。もし、「緊急事態条項」が新設されることになれば、「民主政治の根本の原則」が破壊され、政府にとって実に「便利」な道具として使われることは間違いありません。独裁政治の始まりです。

夏の参院選(場合によっては、同日選挙がささやかれている衆院選)は、明文改憲への道が開かれるかどうかの天王山の闘いとなります。是非とも、「緊急事態条項」の恐ろしさをできるだけ多くの人に伝えていただきますようお願いします。


《 参考 》自民党・日本国憲法改正草案(平成24年4月27日決定)より
第九章 緊急事態
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

『企業誘致の闇 ―住民訴訟6年―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言』を発行しました

弁護士 牧  亮太

 シャープに対する大阪府・堺市の公金支出差止(10年間にわたり、大阪府は補助金262億円を支出し、堺市は184億円の減税を行うことへの差止を求める)訴訟は、2009年7月の訴訟提訴から6年以上が経過しました。2016年1月に尋問を終え、佳境を迎えています。

このタイミングで、シャープへの公金支出差止の住民訴訟と運動を記したブックレット『企業誘致の闇』が発行されました。ブックレットでは、この6年に及ぶ訴訟の内容のみならず、シャープ工場誘致が決まった当時の各地域での多額の補助金を使った誘致合戦とその失敗の模様や、地域経済の発展を大企業誘致に頼ることの誤りが明らかになった今でも総合型リゾート(IR、カジノ)を誘致しようとする大阪の問題にも言及しています。

ブックレットを手にしていただく前に、この住民訴訟の特徴についてお伝えさせていただきます。
本訴訟の最大の特色は、2009年7月の提訴(住民監査請求は2009年4月)以降、シャープ工場誘致を正当化する根拠としての「公益上の必要性」がなかったことが次々と明らかになったことです。
この6年間のシャープの凋落は、改めて述べるまでもなく、多額の公金が流れている「シャープ工場」も今や、実質的には台湾資本である鴻海の所有となっています。また、大阪府も堺市も企業を立地するための条例を改正し(大阪府は、補助金の交付対象を1企業ではなく、1地域に変更。堺市は、減税期間を  年から5年に制限。)、企業誘致に多額の税金をつぎ込んだ自治体(三重県亀山市、兵庫県尼崎市・姫路市)では工場閉鎖が相次ぎ、企業が自治体に補助金を返還する事態も起きています。
そして、最も重要なことは、大阪府・堺市が多額の公金を支出する根拠として掲げた「経済的波及効果(シャープを誘致すれば、府民・市民にも経済的な効果が及び、それが公益に資するという意味)」が全く明らかにされていないことです。シャープ工場は訴訟をしている6年間も稼働し続けているわけですから、液晶パネルを作成するための労働者の雇用、材料の仕入れ、パネルの出荷等、どのように地元の企業に恩恵があり、府民・市民が経済的に恩恵を受けたのか、本来であれば明らかにできるはずです。
しかし、訴訟がはじまり6年以上経過した今も全く明らかにされていません。
上記で述べた明らかになった事実は、決して結果論ではありません。私たちは、一企業に膨大な税金をつぎこみ、優遇することの危険性を6年前から指摘しており、その指摘が正しかったことが時の経過とともに明らかとなったのです。

訴訟の内容を知り、結果にご期待いただくとともに、今後の地域経済やまちづくり、企業誘致のあり方を改めて考えるという意味でも、是非、本ブックレットを読んで下さい
ブックレットは、定価600円ですが、民法協会員の方は500円で購入していただけます。購入希望をされる方は、堺総合法律事務所までご連絡ください(電話:072―221―0016) 。