民主法律時報

2014年12月号

守口市非常勤職員(国保収納推進員)雇い止め事件

弁護士 愛 須 勝 也

1 守口市における国保収納推進員制度について

 守口市では1965年以降、国民健康保険料について、国民健康保険料収納推進員(当初は、徴収員)が戸別訪問による徴収業務を行ってきた。国保料が口座振替などへ切り替えられた結果、徴収業務の対象世帯は年々減少してきたとはいえ、収納推進員は、2013年度末で国保加入世帯の5%、約1000世帯の徴収業務を担当してきた。徴収実績は同年度で1億5000万円を超える。収納推進員は、守口市内全体で定員 名と定められていた。
 原告は、2006年6月に採用試験を受けて合格し、同年から1年更新の非常勤職員として「任用」された。その際、当局からは、「年齢制限は65歳とする」と明記された書面を示され、「1年更新だが、65歳までの雇用を保障する」という説明を受けた。 そして、採用後、就職説明会、研修を経て、1年ごとの更新を繰り返してきた。
 収納推進員が担当する世帯は、生活困窮で国保料の分納をしている世帯が多く、口座振替に切り替えが進む中でも独自の存在意義を有していた。
 市当局もその存在意義を認め、年2回定期的に行われる団体交渉のたびに、「収納推進員制度をなくすことはない」と言明してきた。
 また、市職労との年2回の労使合意においても、「65 歳定年制の恒常職種として制度を確立し、雇い止めはしない」ことを繰り返し確約し、交渉の確認事項として市職労に交付してきた。
 2010年12月、枚方・茨木における非常勤職員の給与条例主義に関する最高裁判決を受けて、守口市においても収納推進員制度を含む非常勤職員について条例・規則を制定した。その結果、学童保育指導員、パート保育士、消費生活相談員及び国保料収納推進員の恒常職種について、「労働時間なしの歩合給制」から、「週 時間の所定労働時間を設定した手当、成績給制」に移行した。

2 維新新市長の誕生と制度廃止

 ところが、2011年8月、維新の会・西端勝樹氏が市長に就任した。
 新市長は、戸別訪問による国保料の収納制度を廃止し、自主納付を促す旨の「改革ビジョン」を打ち出した(過剰サービス、不公平を理由)。
 これに対して、市職労は、12年10月から、収納推進員の雇用について団体交渉を行った。市職労は、従前の労使合意に基づき、収納推進員の雇用確保を要求したが、13年1月31日の第2回団体交渉において、当局は、収納制度廃止、収納推進員を14年3月31日をもって雇い止めすることを表明した。
 13年2月26日の第3回交渉においても、収納制度は同年3月31日で廃止し、原告については、今回1年限りは再任用するが、1年間は移行業務に見合った業務を担当してもらうとして、同年3月22日をもって団交を打ち切った。
 市職労は、その後も、再三、団交を申し入れたが当局は団交を拒否した。

3 雇い止め

 2013年4月1日の再任用に際して守口市は「その後の雇用の更新はいたしませんので、念のため申添えます」という「確認書」を一方的に交付している。原告は、同年4月から7月までは、守口市役所保健課において、市民に対し、口座振替等への切り替えを周知し、自主納付を促す業務に従事し、7月以降は、市の健康診断を勧誘する電話かけなどの業務を行ってきた(この間、給料はほとんど変動なし)。
 この間も、収納課自体はアルバイト職員を継続して雇用するなど原告が担当する業務は存在しているにもかかわらず、配置転換等の検討など解雇回避の努力を一切することなく2014年3月31日付で雇い止めを強行した。

4 更新に対する合理的期待

 原告は、採用にあたり、「1年更新だが65歳までの雇用を保障する」という文書を示され更新に対する合理的期待を有していた。実際にも7回(7年10ヶ月)の更新を繰り返してきた。また、05年、当局側から収納推進員(当時は、徴収員)に定年制を設けたいという申し入れがあった際、当時、最長27年の継続、最高齢は75歳を筆頭に65歳以上の者が6名雇用されている状況で、市職労は雇用継続を主張して当局と交渉した結果が、「年齢制限は65歳とする」という規定であった。原告が採用の際、示されたのは、その合意文書である。原告が、65歳まで雇用継続されると考えたのは当然である。

5 訴訟の状況

 原告は、地位確認と、雇用継続に対する期待権侵害の損害賠償を求めて、2014年6月17日、大阪地方裁判所に提訴し、すでに2回の口頭弁論が開かれた。公務職場の非常勤職員は、民間労働者以上に無権利状態に置かれているにもかかわらず、期限付任用の雇い止めについては公法私法二分論という形式的議論によって、一層、不安定な立場に置かれている。吹田市(福祉会館の障がい者を対象とするデイサービス事業)、東大阪市(学童保育指導員)とともに、非常勤職員のたたかいに連帯して勝利を勝ち取りたい。

(弁護団は、城塚健之、河村学、中西基、中峯将文と当職)

読売テレビ放送労働組合訪問記――職場非正規実態レポート①

弁護士 原 野 早知子

 民法協では、非正規実態調査の一環として、各労組を訪問するなどしてのヒアリングをスタートしました。調査報告書は別途まとめる予定ですが、一端をニュースでお伝えします。第一弾は読売テレビ放送労働組合です。

 2014年10月15日、京橋にある読売テレビ本社内の労組事務所を村田浩治弁護士・鶴見泰之弁護士・原野で訪問した。読売テレビ労組では、平岡さん・小田嶋さん(ネクストライ労組)に対応いただいた。
 読売テレビでは、短期アルバイトも含め1300人の非正規労働者が働いている。正社員が600人から500人に減少する一方、非正規労働者が増大している。
 読売テレビでは、派遣(26業務以外)は3年毎に交代する。このため、しょっちゅう引継ぎばかりしなければならない事態が発生する。3年で交代するため、チーム内で「一緒にやる」、「育てる」感覚が互いに無くなってしまうという。
 特に、営業部門の派遣社員の業務は、外勤の補助、制作との取り次ぎ等の一般業務で、一年を越えて派遣を受け入れられない業務である。現行派遣法では、明らかに直接雇用申込義務が発生している違法状態である。
 「業務委託」も増大している。タクシーの手配をする配車室や、図書室・ライブラリー(映像資料の保存)の担当者が業務委託となっている。ライブラリーの業務は、以前は正社員がしていた仕事である。派遣にしたり、業務委託(個人請負)にしたりが時期によって代わる場合もある。これらは偽装請負の可能性が高い。正社員が関わらなくなり、正社員の中にノウハウがなくなってしまう恐れもある。
 まさに違法状態が蔓延しているが、職場では、正社員と派遣の混在が当たり前になりかけている。派遣社員にとって「直用」は例外的な事態であり、労働組合も正社員のものだと思われている部分があるという。
 放送の現場を非正規が担う実態。一方、読売テレビは、5年後に近隣に社屋移転の予定である。現社屋を所有したまま、無借金で18 階のビルが建とうとしている。違法状態に放置された非正規労働者を直用する余裕のなかろうはずがない。一方、派遣法「改悪」法案が通れば、派遣社員の固定化が可能になり、期間超過の「違法状態」を「無」にしてしまうことは確かである。
 読売テレビ労組には、派遣・偽装請負の直用や非正規の組織化に取り組んできた実績があり、担当弁護士からは、労働法制の学習会や継続的な相談を呼びかけた。今回の調査をきっかけに、労組と民法協の有機的なつながりが深まることを願う。

過労死救済元年から過労死防止元年へ――過労死等防止啓発月刊シンポジウム開催

「過労死等防止大阪センター」(仮称)結成準備会 事務局長 柏 原 英 人

 11月20日、エルおおさかで「過労死等防止啓発月間シンポジウム」が開催されました。主催は「過労死等防止大阪センター(仮称)」結成準備会で大阪労働局、大阪府から後援をいただき、大阪労働局、連合大阪、大阪労連、大阪全労協から挨拶を受けました。
 行政、労働3団体が一堂に会し挨拶をしていただくという画期的な集会となりました。集会の参加者は141名で、開会挨拶、来賓挨拶、基調講演、過労死を考える家族の会訴え、基調報告、閉会挨拶はいずれも迫力、臨場感あふれるもので大阪における過労死防止にむけての大きな第一歩となりました。

 過労死問題のスタートは、過労死を救済するために1981年7月に大阪で「急性死等労災認定連絡会」が結成されたことでした。30年間の取り組みにもかかわらず、その後も過労死がなくならず高止まりし過労自殺が若者に広がるなかで2011年11月18日「過労死防止基本法制定実行委員会」が結成されました。
 3年にわたる立法制定運動の結果、55万筆を超える賛同署名が集まり大阪府議会を含む121の地方議会で法制定を求める意見書が採択され、2013年6月には法制定を求める超党派議員連盟が発足し130名の議員が参加するまでになり、2014年6月20日に「過労死等防止対策推進法」(略称過労死防止法)が成立しました。
 法律の施行は通常は成立後半年以降ですが、過労死防止基本法制定実行委員会、特に過労死を考える家族の会の「一刻も早く過労死をする人を救いたい…」という強い思い、要請で過労死防止法はこの11月1日より施行実施されることになりました。11月 20日のシンポジウムは、この11月が最初の「過労死等防止啓発月間」となっているなかで全国的な啓発行事の一環として開催されました。

 最初に関西大学名誉教授・過労死防止全国センター代表幹事の森岡孝二先生より「国、地方自治体と民間団体が手をたずさえて過労死防止に取り組んでいく新しいページが開かれた」と開会の挨拶があり、その後高井吉昭大阪労働局労働基準部長と労働3団体の代表より過労死防止にかける熱い思いのこもった来賓挨拶をいただきました。
 基調講演で松丸正弁護士は1981年からの大阪の過労死救済の歴史を振り返り、1981年7月の「急性死等労災認定連絡会」の発足や田尻俊一郎医師の先駆的な取り組みの話をされその中で何よりも「過労死防止には使用者による労働時間管理・把握が不可欠である」ことを強調され「過労死救済元年から過労死防止元年へ」と結ばれました。
 過労死を考える家族の会7名の訴えは、「何としてもこの日本から過労死をなくしたい、自分たちのような悲しい思いをする家族をこれ以上つくらない」という強い思いの臨場感溢れるもので参加者の涙をさそい「過労死はあってはならない」と全員の心を一つにするものでした。わたしはあらためてこの過労死防止運動は過労死を考える家族の会とともにあることを痛感しました。
 岩城穣弁護士の基調報告では、過労死防止法は、(1)過労死のない社会の実現を目指して過労死防止対策の効果的な推進を国と地方自治体の責務としたうえで(2)①過労死に関する総合的な調査研究、②国民に対する教育・広報を通じた啓発、③過労死に関する相談体制の整備、④過労死問題に関わる民間団体の支援の「4つの防止対策」をおこなうこととし、(3)その推進のために過労死遺族も加わった「協議会」の意見を聞いて「過労死等防止対策大綱」を作り毎年「過労死白書」を出し、(4) 調査研究の結果必要と認めるときは法制上・財政上の措置を講ずることなどを定めていると説明されました。したがってわたしたちのこれからの具体的な過労死防止の取り組みが大変重要になると結ばれました。
 集会宣言が採択された後、閉会の挨拶があり林裕悟弁護士が「法律は出来たけれども過労死防止を具体的にどうすすめていくかはまだ何も決まっていない、法律を実効性のあるものにするためにぜひ皆様の過労死防止大阪センターへの参加をお願いします。」と締めくくりました。

 過労死防止法は労働法の戦後始めての改善といわれる画期的な法律です。しかしこの法律を活かし過労死をなくしていく取り組みをすすめていかなければ意味がありません。過労死防止法に「魂」をいれ、国民の意識改革と具体的な制度改革につなげていくためには、幅広い民間団体や専門家が力をあわせ、国や地方自治体と連携して、調査研究、教育・広報活動を通じた啓発や相談体制の整備を推進していくことが求められています。まだ準備段階ですが、近く「過労死防止大阪センター」も正式にスタートする予定です。
 過労死防止を願うすべての労働組合、市民団体、経済団体などに呼びかけて、国や地方自治体が行う過労死に関する調査研究の推進、教育・啓発、過労死の予防・救済のための取り組みに連携していきたいと考えています。過労死がない社会を実現するための活動に、立場を超えて多くの人々に賛同してもらい、共同してこの大阪から日本から過労死という言葉が死語になるよう取り組んでいきたいと思います。

労働審判支援センター総会のご報告

弁護士 西 川 大 史

1 はじめに
2014年11月26日、おおさか労働審判支援センターの第9回総会が国労会館にて開かれました。参加者は19名です。

2 労働審判を使いこなそう!!
 総会では、今年の8月にエイデル研究所から発行されました「労働審判を使いこなそう」の著者の一人である村田浩治弁護士から、これまでの豊富な労働審判の経験を踏まえて、いかに労働審判を使いこなすかについての報告がありました。
労働審判法が施行された2006年当初、労働審判に適している事件は、労働者が金銭解決を希望する解雇事件、事実関係にあまり争いがない事件などに限定されるのではないかと言われていましたが、村田先生はこれまで派遣労働や事案複雑で難解な事案についても、労働者の希望を踏まえて積極的に労働審判を申し立て、勝利解決を導き出してこられました。村田先生からは、労働審判を利用するにあたっての心構えやテクニック(詳細は、著書「労働審判を使いこなそう」に書かれています。)に加えて、「労働審判は、これまで裁判官主導で行われてきた労働裁判とは異なり、労働者主導で行う手続」、「当事者が参加する手続」であることから、労働者の権利救済のために積極的に申し立てて活用していくことが重要であるとのお話しをいただきました。

3 労働審判の解決水準は低い?
労働審判支援センターでは、会員の皆さまに事件調査への協力をお願いして、集計分析に努めてきました。
この間、会員が担当された事件には、地位確認や残業代請求のみならず、いじめ・パワハラ、請負労働などの事案も多く、労働者の権利擁護に向けて、労働審判が利用されているようです。他方で、労働審判の解決水準の低下も窺えるようです。たとえば、解雇事件などでは、調停成立時までのバックペイに加えての、いわゆる+αの解決金が認められる事案が極めて少ないのが実情のようです。事案や裁判官の心証にもよりますが、解雇無効が明らかな事件でもバックペイのみの解決金しか認められないという事案も多々見受けられます。解決水準をいかに高めるか、今後の検討課題になることでしょう。
今後も権利討論集会や民法協総会などで労働審判の解決水準など分析結果を報告させていただきたいと思っておりますので、会員の皆様、引き続き労働審判事件調査へのご協力よろしくお願いします。

第2次安倍政権による労働法制の大改悪を振り返って

事務局長・弁護士 中 西   基

1 アベノミクスの「成長戦略」

2012年の総選挙で誕生した第2次安倍政権は、「デフレからの脱却」、「日本経済の復活」を目的とする「アベノミクス」と称する経済政策を打ち出しました。①金融緩和、②財政出動、③成長戦略の「3本の矢」がその中身です。3本目の矢である「成長戦略」については、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」、2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂版」にメニューが列記されています。しかし、そのほとんどは抽象的なスローガンにすぎません。12月1日にアメリカの格付け会社が日本国債の信用格付けを引き下げましたが、その理由の1つが「成長戦略に具体性が欠けている」というものでした。
「成長戦略」のなかで、唯一、具体的なメニューとして書かれているのが、労働法制の規制緩和です。「柔軟で多様な働き方の実現」という名の有期雇用や、派遣労働の拡大、解雇規制を緩めるための「多様な正社員」構想、「時間ではなく成果で評価される働き方」という名の残業代ゼロ制度、「予見可能性の高い紛争システムの構築」という名の不当解雇金銭解決制度などなど、きわめて具体的な労働法制の大改悪が並べられています。
そして、この2年間、安倍政権は「異次元のスピード」でこれらの大改悪を進めようとしてきました。

2 安倍政権による労働法制の大改悪

(1) 有期雇用
有期雇用の5年無期転換(改正労契法18条)を骨抜きにする「研究開発力強化法改正」は2013年12月に成立し2014年4月から施行されています。さらには、先の臨時国会の解散直前に「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が成立して2015年4月から施行予定となっています。

(2) 派遣
常用代替防止原則を撤廃して派遣を永続化・固定化する労働者派遣法大改悪法案については、2014年3月に国会に上程されましたが、通常国会では一度も審議入りすることなく6月に廃案となりました。9月からの臨時国会に再上程されましたが、11月21日の解散によって再び廃案になりました。政府提出法案が2度も廃案となるのは異例のことです。

(3) 解雇
2014年7月に「多様な正社員の普及・拡大のための有識者懇談会」が報告書を取りまとめています。いわゆる限定正社員の導入を推奨し、結果的に、解雇規制の緩和が狙われています。さらに、現在、解雇事件における金銭和解の水準についての調査が進められており、2015年1月頃にも報告書が取りまとめられる予定です。これを受けて、2015年中に労政審で法案化作業をすすめ、2016年の通常国会に金銭解決制度法案を提出するというスケジュールです。

(4) 労働時間
第1次安倍政権のときに世論の反対で頓挫せざるを得なかったエグゼンプション(残業代ゼロ制度)について、2014年8月から労政審で審議が進められています。2015年1月にも建議が取りまとめられ、2015年春にも通常国会に法案が提案される可能性があります。

(5) 外国人労働
奴隷制ともいうべき技能実習制度について対象拡大と期間延長を2015年度中に実施する計画です。また、オリンピックに向けた時限措置という名目で、建設分野・造船分野における単純労働者の受け入れが2015年1月にも始められようとしています。さらには、大阪を含めた国家戦略特区において、外国人の「家事支援人材」を受け入れる計画もあります。

3 民法協の取り組み

労働法制の大改悪が、同時並行で、しかも、「異次元のスピード」で進められている中、民法協では、他の在阪法律家団体と共闘して、2014年4月に「STOP!! 派遣法大改悪」集会(380名参加)を、10月には「STOP!! 残業代ゼロ」集会(210名参加)を開催しました。
 また、 民法協と大阪労働者弁護団の共催で、10月以降に大阪市内各所で合計5回の街頭宣伝を行いました。ハンドマイクや宣伝カーで宣伝をおこなうとともに、日本労働弁護団が作成した労働法制改悪反対のチラシやリーフレットを配布しました。
派遣法の国会審議が緊迫した状況にあった11月6日には、派遣法改正法案の問題点を街頭宣伝で通行人に分かりやすく伝えるために、フリップボードなども用意しました。大阪府職労の皆さんは、「生涯ハケン!!   そんなバナナ」、「派遣法改悪はイカんぞ!!」、「労働者の使い捨て、もうケッコー!」と書かれたボードを掲げつつ、バナナやイカやニワトリのかぶり物で参加し、大阪労連、大阪争議団共闘会議、自交総連、JMIUなどなど多数の民法協会員にも参加していただきました。

 経済活動は、すべての市民が豊かに暮らしていくための手段にすぎません。経済成長のために労働法制を破壊して、市民の暮らしを犠牲にするなんて、本末転倒です。
「人間らしく働き生きる」、そんな当たり前の世の中を目指して、引き続き、労働法制の大改悪を許さない取り組みを続けていきましょう。

書籍紹介 前澤檀著『あなたと家族は大丈夫? ブラック企業に泣き寝入りしないための労働相談Q&A』

弁護士 中 森 俊 久

 民法協会員である前澤檀さん(東京地評 東京労働相談センター所長)が書かれた著書をご紹介します。
 本書は、「パートⅠ トラブルは、法律でこう解決できる」「パートⅡ しゃべり場 労働組合って一人でも入れる?」「パートⅢ 労働組合これまで・これから」の3部構成に分かれている。大部分の頁数をパートⅠが占めており、労働に関する様々な疑問につき、Q&Aで回答している。何と言っても分かりやすいのが特徴で、実践の場で直ぐにでも役に立つツールといえる。筆者によると、前著「すぐに役立つ 元気の出る労働相談 一問一答」の活用・実績を踏まえ、ブラック状態の下で苦しむ多くの当事者とそのご家族および関係者、さらにこの問題に取り組まれる全国の多数の労働相談担当やオルグの方、これに連帯される法律家、さらに学生や生徒の補助テキストとして、多年の労働相談と労使交渉の実践の中からの、時機に合った情報を届け、問題解決への一助としたいと考えたとのことである。
 私としては、上記の「多年の労働相談と労使交渉の実践の中からの情報」に大きな魅力を覚える。また、単なるQ&Aだけではなく、言葉の定義や条文を明記したり、コラム等の形で実は重要な情報をちりばめ、挿絵や表の掲載など視覚的な点にも配慮した本書の随所からは、読み手の立場に立って、実践を分かりやすく「形」として伝えようとする著者の思いが伝わってくる。そして、その思いの根底には、日々寄せられる切実な労働問題を可能な限り解決し、弱い立場にある労働者の労働環境を少しでも改善したいとのひたむきな願いを感じる。さらには、「ロウドウクミアイのこと、もう少しくわしく教えてくれますか?」「うちには、組合があるみたいなんだけど、非正規の私には関係ないみたい。」というような会話から、労働組合の意義を伝えるとともに、最後には、その歴史的経緯を簡潔かつ正確に伝え、今後の展開にも触れる本書の斬新な進行によって、労働者の権利の実現における労働組合の役割の重要性が浮き彫りにされている。
 本書は、私でさえも最初から最後まで一気に読める大変工夫された書籍であり、労働者の権利ないし労働組合の基本的な理解を深めることはもちろん、長年の経験から裏打ちされた実践を肌で感じることができる貴重な内容となっている。具体的な相談先もリスト化されており、一冊手元に置いておくことをお勧めする次第である。

2014年10月10日
学習の友社 発行
定価 1100円+税
*民法協でお求めいただけます