民主法律時報

大阪弁護士会主催市民集会 「日本はどこへ向かうのか?――秘密保護法・集団的自衛権・共謀罪を考える」開催

弁護士 向 井 啓 介

1 7月6日の野外集会以来の大規模な市民集会

2014年10 月30日午後6時30分から、中之島公会堂の大ホールにて、大阪弁護士会が主催し、日弁連が共催するかたちで市民集会を行いました。弁護士会としては、7月6日に扇町公園にて行った6000人規模の野外集会以来の大規模な市民集会の開催となりました。

2 問題意識を広める訴え

集会の冒頭、鎌倉利光大阪弁護士会副会長が、秘密保護法の「施行が迫っているが、間違っているものを正すのに遅すぎることはない」と訴え、その後、社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーのコントを挟んで、秘密保護法、集団的自衛権、共謀罪の順で基調報告を行いました。
その後、秘密保護法に反対する各政党からのアピールへと移り、辰巳孝太郎参議院議員が、この集会のために東京から戻って来られ、最新の国会情勢を踏まえた発言をしてくれました。大阪憲法会議は、市民の不安な声、怒りの声を代読しました。

3 弁護士会からの基調報告

閣議決定された秘密保護法の運用基準では、情報の秘密指定が適正かどうかのチェックが不十分だと指摘されるとともに、集団的自衛権の行使容認の根拠が秘密に指定されると、理由がわからないまま戦争に巻き込まれる恐れがあり、秘密保護法と集団的自衛権は危険な関係にあると報告されました。
そして、政府は従来の自衛権行使のための要件を変更し、来年の通常国会に集団的自衛権が行使できるようにするための法案が次々と出てくることや、秘密保護法と一体となって不都合な情報が隠され、重要な事実が知らされないまま戦争に巻き込まれていく危険性が訴えられました。
さらに、秘密保護法でも取り入れられた共謀罪処罰規定が一般犯罪に適用される共謀罪法案が準備されており、単に悪い考えを持って話し合っただけで捜査の対象になり、処罰されてしまうことになってしまうという危険性があると指摘されました。

4 集会の趣旨に賛同する著名人からのメッセージ

社会学者の上野千鶴子さんは、「秘密保護法、集団的自衛権、共謀罪と3つ並べてみると、安倍政権の思惑が透けてみえる。改正憲法草案で新たに加えられている緊急事態の章をも踏まえると、自衛隊が国民に銃を向ける日がきっと来る。どうしてそれを防げなかったの?と後からくる世代に言われないために、今のうちにやるべきことをやっておこう。」とのメッセージを送ってくださいました。
哲学研究者の内田樹さんからは、「立法府の空洞化、行政府への権限集中は、事実上の独裁移行を意味している。政体の根底的な転換があたかも散文的な日常業務のように平然と進行している」との現在の危機的な情勢を訴えるメッセージを送ってくださいました。
元毎日新聞記者の西山太吉さんは、「集団的自衛権の導入と秘密保護法の制定は、国際政治の共存化の潮流に逆行するものである。共存していかなければならない国を仮想敵国とすることは、日本の存立にとどまらず国際平和にとって重大な驚異を及ぼすものである。間違った政策を撤回させるために、巨大な国民的運動を起こしましょう」とのメッセージを送ってくださいました。

5 決議文の採択と訴え

最後に、大江洋一秘密保護法対策本部本部長代行が、秘密保護法には「法律にはない米軍秘密が対象となるという運用基準案が検討されてきたように、秘密保護法と集団的自衛権とはリンクしていることがはっきりしてきた」、「秘密保護法で先取りされている共謀罪も、話し合っただけで処罰対象とするもので、秘密保護法、集団的自衛権、共謀罪が揃って動き出せば、大変な威力を発揮し、私たちに知らされないままに集団的自衛権が行使されるかもしれない」と訴えました。

6 デモ行進の予告
なお、弁護士会では、12月8日の正午から弁護士会館を出発点として、デモ行進を企画しています。12月10日の秘密保護法の施行直前となりますが、奮ってご参加ください。

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