民主法律時報

地代家賃増減問題研究交流会

全大阪借地借家人組合連合会 事務局長 船 越 康 亘

 2014年4月18日、民法協と大借連が共催し「地代家賃増減問題研究交流会」を開き、大借連会員と不動産鑑定士、弁護士、司法書士など35名が参加した。
主催者を代表して森信雄弁護士(民法協住宅問題委員会責任者)があいさつし、その中で「バブル崩壊以後地代家賃をめぐるトラブルは少なくなったが、最近アベノミクスの影響で、急に地代家賃の相談が増える傾向にある。中には、居住用の家賃や地代では消費税は非課税でありながら増税に便乗して値上げを請求しているケースもある。また、バブル崩壊の直近に合意した地代家賃は、公租公課が最高時であり、それにともなって高値安定となった。しかし、その後の公租公課は、毎年減額されているのに、地代家賃は値下げされていない。また、事業用に使用していた借地の税負担は、その後廃業によって大幅に減額されるなど、高値安定している家賃地代は減額の可能な状況が生まれてきている。」と指摘した。
その後、増田尚弁護士(追い出し屋対策連絡会代表幹事)から、民事特別研修「借地借家関係」を資料にして「地代家賃問題をめぐる最近の特徴」について詳しく報告があった。
ついで船越康亘大借連事務局長が最近の大借連に寄せられた地代家賃問題の事例を報告。その中で、地代減額訴訟で公租公課の大幅な減額をもとに、地代が28%減額された例、昭和63年度から平成25年度までの公租公課の変動差額が約6百万円となり、本来地代の減額に反映されるものと主張し訴訟中の事例、寺領地借地へ寺院の改修費用やアベノミクスにより所得の上昇が見込まれることを口実に地代を20%の値上げ請求を受けて交渉中の事例、13年前に入居した文化住宅の家賃3万9千円が新規入居者の家賃が2万円と逆転現象となっているなどの事例が報告された。
参加者からは、「公租公課の倍率で適正地代を決められるのか」「地代家賃は本当に減額できるのか」「適正地代の算定式があるなら家賃の算式もあるのか」などの質問や意見が出され活発な討論となった。

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