民主法律時報

秘密保護法案反対運動をふりかえって

事務局長・弁護士 中 西  基

1 はじめに
 秘密保護法案は、10月25日の国会に提案され、12月6日に成立しました。
 この間、わずか40日余りでしたが、多くの市民らが、かつてないほど大きな反対の声をあげた結果、自民党・公明党は無理矢理に強行採決せざるを得ない状況に追い込まれましたし、当初は与党にすり寄る姿勢だったみんなの党や日本維新の会も採決を欠席・棄権せざるを得ませんでした。
 民法協は、大阪労連、関西MIC、自由法曹団大阪支部、国民救援会大阪府本部とともに5団体共同で緊急集会を呼びかけ、連日のように街頭宣伝に取り組みました。また、いち早く反対運動の先頭に立った大阪弁護士会や連日にわたって緊急ニュースを発信し続けた大阪憲法会議・共同センターなどの取り組みも重要な役割を果たしました。
今回の秘密保護法案の廃案を目指した運動をふり返っておくことは、これからの法律の施行を許さないための取り組みや、共謀罪や通信傍受法などの治安立法さらには解釈改憲・明文改憲を許さない闘いにとって、きわめて重要なことだと思いますので、個人的な感想を含めてふり返ってみたいと思います。

2 国会審議の経過
10月25日 法案が閣議決定
11月 7日 衆院で実質審議入り
    25日 地方公聴会(福島)
    26日 午前、衆院委員会で強行採決。午後、衆院本会議で強行採決。自民・公明・みんなが賛成。維新は退席。
    27日 参院で審議入り
12月 4日 地方公聴会(さいたま)
     5日 参院委員会で強行採決
     6日 参院本会議で強行採決、成立。自民・公明が賛成。みんな・維新は退席。みんなの一部は造反して反対。

3 主な取り組み
10月24日 5団体(民法協、自由法曹団大阪支部、大阪労連、関西MIC、国民救援会大阪阪府本部)呼びかけによる街頭宣伝(淀屋橋)
11月12日 大阪弁護士会の昼休みデモ(600人)
    15日 5団体の呼びかけによる緊急集会(300人)
    20日 大阪憲法会議・共同センターのデモ(200人)
    21日 5団体呼びかけによる街頭宣伝(京橋)
        大阪弁護士会の緊急集会
    22日 日比谷野音で集会(1万人)
    26日 5団体呼びかけによる街頭宣伝(ヨドバシ前)
12月 1日 「戦争はイヤ」御堂筋パレード(2000人)
     2日 大阪弁護士会の昼休みデモ(1000人)
        5団体呼びかけによる街頭宣伝(梅田)
     3日 5団体呼びかけによる街頭宣伝(なんば)
     4日 5団体呼びかけによる街頭宣伝(京橋)
     5日 大阪憲法会議・共同センターによる街頭宣伝(淀屋橋)
        5団体呼びかけによる街頭宣伝(梅田)
     6日 大阪憲法会議・共同センターによる街頭宣伝(なんば)
        大阪原水協による街頭宣伝(天王寺)
        日比谷野音で集会(1万5000人)、国会周辺での抗議(数千人)

4 課題
(1)運動の出遅れについて
 民法協など5団体では10月24日に初めて淀屋橋で街頭宣伝を行いましたが、この時点では、秘密保護法案の内容やその問題点については民法協の会員の間においても十分に知られていない状況だったと思います。その後、5団体では11月15日の緊急集会を呼びかけましたが、すでに衆議院での審議も半ばを過ぎた時期の設定になってしまいました。
 麻生太郎副総理の「ナチスの手口に学べ」発言があったにもかかわらず、秘密保護法案については運動が出遅れたと言わざるを得ません。国会情勢のスピードに比べて、運動の出遅れが顕著であったため、情勢に応じた機敏な行動提起が十分になされなかったと思います。この点は、今後の取り組みにあたっては、真摯に反省しなければならないと思います。

(2)広範な世論の広がりとの連携について
 11月中旬になると新聞やテレビでも秘密保護法案の問題点が繰り返し取り上げられるようになり、それにともなって法案に対する反対または慎重審議を求める世論が日に日に広がっていきました。ただ、それは、わたしたちの運動によって「広げた」というよりも、自然発生的に「広がった」と評価すべきでしょう。
 わたしたちの運動は、そのような急速な世論の広がりと十分に連携することができなかったと思います。11月26日にヨドバシ前で実施した街頭宣伝には、ツイッターやメールなどでその情報を知った若者らが飛び入りで参加してくれました。12月5日の淀屋橋での街宣の場にもどこの組織にも属していないと思われる方が数名来られていました。しかし、そういった自発的に立ち上がった市民らと連携・共同するという発想がわたしたちの側にはまったくなかったため、相互にコミュニケーションもなく、結果的には、わたしたちはわたしたちだけで街頭宣伝を予定どおり完結させただけでした。
 世論を喚起し、政治を動かし、社会を変えることを目指す運動を担う立場を自覚するのであれば、一致点での連携・共同を模索し、提起することも必要だったのではないでしょうか。
 その他、インターネットやSNSの活用など創意工夫すべきところはたくさんあったと思います。

 民法協は、特定秘密保護法が公布された12月13日に、「特定秘密保護法の強行可決に抗議し、その施行を許さず、廃止を求める声明」を発表しました。
声明では、「特定秘密保護法の施行阻止と廃止、さらには、民主主義国家としてあるべき情報公開制度等の整備に向けて、特定秘密保護法案に反対ないしは慎重審議を求めた多くの市民らともに力をあわせて、引き続き取り組みを継続する決意」を表明しています。
引き続き、頑張りましょう!

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