民主法律時報

2013年3月号

津田電気計器事件、継続雇用を命じる勝利命令を獲得!

弁護士 中 村 里 香

 JMIU津田電気計器支部の岡田茂組合員が、高年法に基づく継続雇用を争った訴訟で、最高裁で地位確認等を認められる勝訴判決を獲得したことは、記憶にも新しいと思われる。
 2月21日、同支部に関連して、大阪府労委でほぼ「完勝」と評価できる勝利命令が出された。高年法下において、継続雇用を命じる労働委員会命令は、まだ他に例がない。この勝利命令について、ここに報告する。

1 はじめに
 本件の申立人は、JMIU大阪地本、及びその津田電気計器支部、また、植田修平組合員及び中田義直組合員である。
 会社は、活発に組合活動を行ってきた両組合員に対し、植田組合員については「マイナス81.95点」、中田組合員については「マイナス15点」という、著しい低査定を行い、継続雇用規程における基準点(「0点」で継続雇用可とされる)を満たしていないとして、相次いで継続雇用を拒否した。これら低査定についても、会社の不当労働行為意思に基づく不当な査定であることが明確に認定された結果、それぞれ、「プラス6.05点」「プラス34点」と認定された。
 査定につき、岡田組合員が継続雇用を争った裁判における高裁判決では、選別基準を満たしているかは使用者側に立証責任があるとされる。しかし、一般に、使用者による査定には広汎な裁量が認められがちであり、加えて、査定資料も使用者側に偏在していることから、実際上、労働者が査定の点数を争うことには大きな困難を伴う。
 最高裁で勝利した岡田組合員の事件においては、当初の査定点数は「マイナス4点」とされ、上記2組合員よりは上回っていた。それでも、事実関係を詳細に主張するとともに大量の書証を集めて提出し、査定点数を1点2点と積み上げ、何とか基準点を勝ち取ることができた。すなわち、岡田組合員は勝利したが、この勝利は、選別基準となる査定点数である0点をクリアしていることが大前提となってのものである。
 本件の申立人である両組合員の点数は、上記のとおり岡田組合員よりも低く、特に植田組合員についてはマイナス81点を下回るという異常な点数とされていたため、きわめて厳しいたたかいが予想された。
 本件は、そのような中で、使用者による査定について「大逆転」を勝ち取り、高年法下における地位確認等を認めた、まさに画期的な勝利命令であることを改めて強調しておきたい。
 また、本件においては、支部の結成以来、申立人らを含む組合員らが活発に組合活動を行い、これに対して、会社により連綿と不当労働行為が繰り返されてきたという歴史がある。組合員らは、不当な攻撃に屈することなく、過去に数多くの救済申立てや法廷闘争を行い、会社による攻撃が不当労働行為であるとの認定を勝ち取ってきた。そのため、労働委員会においては、組合がこれまで獲得してきた勝利命令などの成果を余すところなく主張立証し、公益委員の心証を引き寄せることができた。過去の数々の勝利が、本件の大きな勝因となったことは間違いない。

2 事案の概要
 会社は、昭和49年の支部結成当初から、組合員らに対し、数々の不当労働行為を繰り返し、労使間には緊張関係が続いていた。
 そのような中で、会社は、非組合員については全員を継続雇用する一方、最後に残った3名の組合員に対し、相次いで低査定を理由に継続雇用を拒否するという攻撃に出た。上記の岡田組合員の件を皮切りに、平成21年10月には植田組合員の継続雇用を、平成23年3月には、中田組合員の継続雇用をそれぞれ拒否した。
 本件は、会社が両名の継続雇用を拒否したこと、及び、植田組合員の継続雇用に関する団交を拒否したことがそれぞれ不当労働行為に当たるとして、同人らが救済申立てを行った事案である。
 本件の主な争点は、①両組合員に対する継続雇用拒否が不当労働行為に当たるか、②本件団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるか、の2点であった。

3 命令の概要
 命令は、まず、①について、会社により連綿と行われてきた、数々の過去の不当労働行為を詳細に認定している。そして、両組合員を、いずれも支部発足以来、支部の組合活動の中心的人物であったこと、また、会社における労使関係が長期間にわたり対立状況にあり、会社の組合に対する対応に不適切な点がみられ、本件においては組合嫌悪意思が推認されうる状況であったとする。
 その上で、会社が組合員排除の道具として用いた「査定」についても、「会社の継続雇用の可否にかかる査定の運用は、杜撰な点があり、公平性や透明性の点で高い水準にあるとは、到底認められず、恣意が入る危険性のある状態であった」と明確に述べている。
 これを前提として、両組合員の査定についても、非組合員、特に継続雇用が認められた2名の非組合員と比較し、詳細に検討を行っている。査定項目は多岐にわたるが、多くの項目において、両組合員に対する低査定の根拠が疎明されていないとされ、「正当な理由があったものではなく、組合員であること等を理由にしたもの」と認定されている。
 また、両組合員による始末書の提出が懲戒実績に当たるとする相手方の主張については、明確に斥けられている。始末書に関していうと、「組合員のみに責任があるといえない事項や、非組合員が同様のことを行った場合には問題にしないような事項について、(組合員には)始末書の提出を求めた」と認定され、組合員の始末書の提出回数が多いことをもって、精度の低い仕事をしていたとみることは適当でないとされた。
 このように、本件の柱である①の点について、会社による査定を大きく覆すことができたのは、両組合員が長年、仕事に誇りを持ち、会社に貢献してきたからにほかならない。審理の過程で、両組合員が長年会社において上げてきた実績や成果については、書証や尋問に基づいて詳細に明らかにされた。これに対し、会社側は、低査定の根拠としてきわめて薄弱なものしか示すことができなかったのである。
 また、冒頭にも書いたように、会社の不当労働行為意思が明確に認定されたのは、これまでに何度も、労働委員会や法廷において、組合・組合員が勝利を重ねてきたという歴史によるところがきわめて大きい。本件は、これまでの成果を礎として、価値ある勝利がさらに積み重ねられたものということができよう。

 ②の点については、組合が、査定を継続雇用の可否の判断に使用するとの会社の方針に反対し、査定帳票への押印はしないとの態度を取っていたとしても、会社が団交において、植田組合員の継続雇用について、説明協議を行う義務を免れるものではないと判断している。また、組合員が訴訟を提起し、または提起する可能性が高いことも、団交に応じるべき義務を免れる理由とならないことについても明確に述べ、不当労働行為であることを認定している。
 このように、本件は、継続雇用拒否及び団交拒否について、ともに不当労働行為性が明確に認定され、両組合員の地位確認等を認めるとともに、会社に対しポストノーティスが命じられている。ほぼ「完全勝利命令」と評価してよいものであろう。

4 おわりに
 本件は、平成22年11月に植田組合員の件について申立てを行ってからここまで長期間を要したが、毎回多くの傍聴支援者に恵まれ、岡田組合員の最高裁勝利判決に続き、勝利命令を得ることができた。
 会社が組合攻撃の総仕上げとして、組合員のみを相次いで継続雇用拒否を行っていることが明確に認定されたことは、府労委のみならず、今後の法廷闘争にとっても大きな価値がある。中田組合員の地位確認等請求訴訟など、いくつも並行している「津田電気計器事件」に、今後も引き続きご注目いただければ幸いである。

(弁護団は、鎌田幸夫、谷真介、中村里香)

1.23 子どもを守る取り組みを進める大阪市民交流集会のご報告

弁護士 高 橋 早 苗

 1月23日、「子どもを守る取り組みを進める大阪市民集会」が、アネックス・パル法円坂にて開催されました(主催は、大阪市学校園教職員組合、2条例制定を許さない大阪連絡会、子どもと教育・文化を守る大阪府民会議)。当日は学力テスト結果公表や、教育や学校をめぐる大阪市の状況についての報告がなされるとともに、各区における取り組みの報告と交流がなされました。また、最後に体罰による生徒の自殺が問題となった、桜宮高校の入試をめぐる緊急提言もなされました。

 学力テストの結果公表については、大阪教育文化センターの山口隆さんから全国一斉学力テストの問題点や結果公表のねらい、実施による弊害等についてお話がありました。全国的な学力調査のためには一部を抽出すれば十分であり、全国一斉の学力テストは必要ないこと、「全員参加型」の学力テストにより競争を強めるとともに、その結果を公表して子どもと学校のランク付けを行い、結局は「勝ち組」「負け組」を創出することになること、過去に実施した際には日本のみならず諸外国においても教員が子どもに答えをカンニングさせるなどの不正が相次ぎ、結果的に廃止に追い込まれたことなど、まさに学力テスト及びその結果公表は、百害あって一利なしのものであることがよく分かりました。

 また、大阪市の状況については、大阪市学校園教職員組合の舛田佳代子さんから、学校協議会の設置、学校活性化条例、学校選択制、授業力評価アンケート等についてどういった状況になっているのか、その問題点はどこにあるのかといったお話がありました。特に学校選択制については、学校選択制を先行して取り入れた東京都の三区の帰結として、学校格差の拡大、地域と学校が分断され子どもを介しての親のつながりも希薄になること、行政の支援が放棄され、格差・貧困の拡大が放置されることになるといった、学校選択制の持つ「選択の自由」という耳障りのよい謳い文句の一方で、様々な弊害が実際に生じていることが紹介されました。また、本来平等であるべき公教育が、個人の選択により結果についても自己責任を負わせるという本質的な問題点が存在することも指摘されました。そのほか、府・市教委が試行を始めた「授業力評価アンケート」は教員に非公開で授業改善につながらず、形式的な4段階評定が子ども・保護者に押しつけられ、その結果教員のランク付けだけが行われ父母との信頼関係を壊すものであるといった指摘がなされました。

 各区の取り組みの報告では、様々な地域から取り組みが報告されましたが、どの区でも地域の子育て世代の親との交流を積極的に行い、その中で教育現場の現状、問題点などについて、まずは情報を知らせていくことに重点を置くべきという声が聞かれました。また、報告者の中には、教職員であり、かつまた保護者の親でもあるという方々からの報告もあり、教職員としての立場と学校選択制や授業評価アンケートについての子どもの反応を直接受け取る親としての立場からも意見が交わされるなど、1時間以上にわたり、各地での取り組みや問題意識などについて、多くの報告がなされました。

 最後に桜宮高校の入試中止問題について、大阪市立高等学校教職員組合の辻本正純さんより、体罰禁止の徹底とともに教育活動・部活動の再会、入学試験の実施を求める緊急提言がなされるとともに、関係各所からの同様の要望がなされていることについても報告がありました。

 今回の集会では、学校園教職員の方々や教職員組合の方々という、まさに当事者として危機意識をもった方々が多く集い、現在の大阪市の教育行政についての状況やそれに対する対応等の意見交換がなされました。私自身、大阪市で起こっている教育行政について改めて問題点を認識するとともに、多くの子どもたちの一生に関わる問題として、早急に対応策を講じていかなければならないと感じました。また、学校教育は全ての子どもたちに関わることですので、より多くの子どもたちやその保護者の方々と問題点を共有していくことが今後より重要となってくると思われ、このような集会を広げていく必要性を感じました。

原発は要らない 熱い想いを、広く共同し、行動で示す――さよなら原発関西2万人行動

弁護士 宮 本 亜 紀

1 反原発行動に参加
2013年3月10日(日)、全国各地で様々な人達が、フクシマ・東北に心を寄せる集会等が開かれた日に、大阪でも「さよなら原発3.10関西2万人行動」が、中之島公園一帯で開催されました。原発ゼロの会・大阪など様々な団体が共同し、実行委員会を作って準備され、当日は1万1千人もの人が参加しました。私は、所属事務所の他の弁護士や事務局員と一緒に剣先公園エリアに行き、実に色とりどりの幟旗が立っている壮観な図に、「この日こそ当然に結集して原発は要らない意思を示す!」というたくさんの熱い想いを感じました。
当日は、午前は春らしい陽気だったのですが、午後から急に空がかき曇って風雨が激しく、大変寒くなりました。剣先公園エリアでは、高速道路の高架下に入れば雨はしのげましたが、時折強風で雨が降り込み、天候はかなり厳しい状況でした。民主法律協会では、事務局の長田さんが青緑色の幟旗を持って高架下の真ん中で陣取ってもらっていたので、私達はそれをめざして集い、途中から風雨が激しくなっても耐え抜き、デモ行進も最後まで参加することが出来ました。(長田さん、風雨に負けず幟旗をずっと持っていただき、本当にありがとうございます。)

2 2万人行動の様子
集会自体は、中之島公会堂前の女神像前、堂島川水上、ちびっこ広場、剣先公園に、いくつかステージが設けられ、午前10時30分から始まったステージもあり、ギターと歌の音楽、子どもも楽しめるヒーローアクション劇・ゲーム・紙芝居、3分間アピールなど、それぞれにどんな風にも楽しめるイベントになっていました。そして仕上げに「関電コース」「御堂筋コース」「西梅田コース」の距離を違えた3つデモコースがあり、午後4時頃終了しました。
天候が良ければ、もっと多くの方が参加したでしょう。屋外ステージがほとんどで、天候の急変に傘を持たない、防寒が足りないという方も多く、体調を崩す前に帰られた方もおられました。小さな子どもさん連れや年輩の方には、仕方のないことでした。
私達が参加した剣先公園エリアでは、午後1時からステージで音楽や3分間スピーチが始まったのですが、すぐに風雨が激しくなり、皆が高架下にひしめき合い、お互いが各々挨拶したり、最近の活動を報告し合ったり口々におしゃべりしていたので、前方のステージの様子はあまり覚えていません。しかし、普段は様々な場面で各々の立場で、社会問題、住民の要求、労働運動に取り組んでいる方々(民法協会員も含めて)が、その幟旗を持って来て、この日は、「原発は要らない!」という一致点で集っていることに、私は胸が熱くなりました。社会が経済的に政治的に閉塞感に満ちている中で、それぞれに普段から忙しく活動している方々が多いですし、また、春の陽気がうれしい週末ではありました。しかし、やはり3.11 を忘れることはなく、皆が我が事として心を寄せ、何か行動で示すイベントが企画されるはずだとこの週末の予定を空けて、手作りデコレーションや鳴り物を用意して待っていたからこそ、それだけの人数が集まったのです。

3 反原発の想いを示す時
私は、個人的な仕事や生活の忙しさにとり紛れて、日常的に反原発の意識で行動できていないことにふと思い至ったとき、今も故郷を捨てなければならなかったフクシマの人達、大飯原発の危険に将来の子ども達らに申し訳なく思うことがあるのですが、3.10 に大阪で集って、元気を取り戻しました。本当に集まっているだけでも充分に、「原発は要らない熱い想い」を共有することができました。
そして、「広く共同し、行動で示す」ことが大きなうねりを作り出すことを実感しました。毎週(冬季は隔週)金曜に関電前で2拍子コールを主宰している若者が、ステージでその行動の意味を語っていましたが、「なるべく敷居を低く、低く、誰でもいつでも参加できるようにするために、どこまで敷居を低くできるか工夫した」という言葉が印象的でした。報道自体が少なく耳にする機会が少なくなり、情勢を追えていないと、今、原発はどうなっているんだろうと不安だけはあるけれど、あんまり他人に聞けないという時、ふと街で小さな反原発行動を見掛けたりすると、原発再稼働や新増設に反対している人は、けっこういるんだと安心し、自分も参加できるならしてみようかなという気持ちになれます。他の政治問題には違った意見を持っていても、持っていなくても、「原発は要らない」という気持ち一点だけで広く共同していくことを追求することは大切です。そして、気持ちを集って行動で示すことの爽快さを、多くの人に感じてもらえればもっと広がると希望がわきます。
電力会社や国を変えていくのは市民の力だと実感して、次の機会にも参加し、反原発の熱い想いを実現していきたいです。

あの空へ帰ろう! 誇りを持って働きたいから!――JAL争議と航空政策を考えるつどい

関空プロジェクト会議事務局

 2013年3月15日、民主法律協会関空プロジェクト会議(以下、関プロ)は、JAL不当解雇撤回をめざす大阪支援共闘会議とともに、「JAL争議と航空政策を考えるつどい」を大阪市内で開催しました。JAL争議を支援する労働組合、民主団体、法律家など160名が集まりました。
 関プロはこれまで、規制緩和の下での航空労働者の働きかたや安全を脅かす実態などを催しで取り上げてきましたが、2010年末にJALが整理解雇を強行した後での本格的な航空政策の分析は初めてです。

 講演は、中川明さん(航空労組連絡会元副議長・現在は政策委員)が「格安運賃は何をもたらすか」と題して、LCCのこの1年を振り返りました。
 中川さんによると、当初、大手エアラインに比べ、燃料費・機材稼働率・退職者の年金負担の少なさ等で優位に立っていたLCCは、大手エアラインのリストラが進み、差がなくなってきたため、その成長が止まっています。将来的にLCCは利用率が高い一部の需要だけを満たす存在になると予想されます。一方、日本では、全日空・日航の大手2社が、系列のLCCを作り、航空政策の自由化に乗って便数を増やしてきています。しかし、LCCの中でも、順調なピーチと苦戦する他社とで差がつき始めています。ピーチの成功の秘密は、顧客ターゲットを女性層に絞っている点にありそうだとの話でした。
 続いて、中川さんから「B787事故の背景」と題して、今年1月から事故が相次ぎ、鳴り物入りの運行開始からすぐに全面運行停止されてしまったB787の事故原因について報告がありました。特にB787で初めて航空機に導入されたリチウムイオン電池については、ショートが起こることで過熱、発火の危険性がかねてから指摘されていたそうです。実際、試験段階で、試験施設が全焼していたにも関わらず、その原因を特定せず導入したとの報告には驚かされました。

 中川氏の講演に続いては、航空連スカイネットワーク大阪支部長の赤田克彦さんからLCC体験搭乗の報告がされました。
 今回、関プロのメンバーは、JAL訴訟の原告の方とともに、関空発のピーチアビエーション機の日帰り体験試乗を行いました。関プロの弁護士・労組員メンバーが実際、スマホやパソコンから、チケットを購入するところから、やってみました。全員で示し合わせ同一日に購入したにも関わらず、購入金額は全員バラバラになりました。これは、購入が集中すると売り出し価格を上げ、購入がないと下げるピーチの価格設定によるものです。それ以外にも、取り消し金額の高低(ピーチは払い戻しは不可です。)、保険をつけるかどうかでも運賃が異なります。また、サイトでの購入手続きで、いちいち、こういったプランの選択を行わなければならず、パソコンに慣れていない一部参加者は苦戦したそうです。ただ、一番安く買えた参加者は、6000円あまりで関空と福岡の往復のチケットを買えました。これは、新幹線の運賃などと比較すると相当格安です。
 搭乗したのは2012年3月5日の福岡便の往復でしたが、座席は大手とそう大差がなく快適だったそうです。CAは4名の搭乗でしたが、サービスを行いながら積極的に回収を行うなど、清掃等の時間短縮のためと思われる工夫がされていました。ちなみにCAたちは全員、3年あるいは5年の期間雇用の契約社員で、期間延長はない契約だそうです。若いCAたちがキャリアを積んで、ピーチで働き続けたいと思ったとしても、先々働き続けられなくなるのだろうか、という疑問を持ってしまいました。CAのサービスに問題は全くありませんでした。

 赤田さんの報告のあとは、原告本人たちからの報告が続きました。まず、航空連議長で原告の近村一也さんからは、20分ほどの報告がありました。その半分は、近村さんの個人的な話と題して、羽田沖や御巣鷹山の事故の時期に、入社から訓練そして新人として働いておられたことの話がありました。また、海外に単身赴任して働きながら、日本に帰国しては解雇撤回のため、各地を奔走している近況も報告されました。原告たちは、このJAL争議のことを知ってもらい、活動の応援を得るために、全国を走り回っています(その状況は、ウェブサイトやSNS、You Tubeなどで逐次報告されていますので、是非検索してください。)。そして残り半分は、高裁での公判の状況が報告されました。高裁は次回5月に、パイロット・客室乗務員それぞれの控訴審の3回目の期日が開かれます。高裁で充実した審理がされるかの正念場に差し掛かっています。近村さんからも更なる支援の訴えがありました。
 さらに、この日は、JALの不当解雇に先んじて、契約制CAの雇い止めの訴訟を闘っている、原告本人(氏名等非公表)も東京から駆けつけて、支援を訴えました。3年の契約期間中に雇い止めをされたのは彼女一人だそうなのですが、多くの彼女の同期が、期間なしの正式採用に移行せず、3年でJALを去っていることの報告がされました。若年もベテランも問わず、会社の都合で使い捨てるJALの体質に驚かされました。会場からは一人闘う彼女に温かい支援の声が届けられました。
 最後に壇上に、原告が一同に並び、会場参加者全員で、JAL訴訟勝利に向けての団結がんばろうが行われました。JAL原告は、高裁での逆転勝利に向けて、毎日がんばっています。皆様からの物心ともにの篤い支援の継続をお願いいたします。

安倍内閣の規制緩和=雇用破壊の企みを再び打ち破ろう

事務局長 増 田   尚

 昨年12月に発足した安倍内閣は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を柱とする「アベノミクス」を推進することを掲げた。しかし、どれだけ貨幣供給量を増やし、あるいは、相場が好況を呈しても、賃金などにより労働者に分配されなければ、見せかけだけのバブル景気に終わるであろう。安倍内閣は、大企業に賃上げを要求するなどのポーズはとるものの、他方で、安定した雇用を破壊する雇用分野の規制緩和をまたぞろ推し進めようとしている。
 安倍内閣は、民主党政権下で廃止・格下げになっていた経済財政諮問会議、規制改革会議を「復活」させ、また、新設の日本経済再生本部のもとに産業競争力会議を設置して、これら3つの機関で、雇用分野における規制緩和を検討させている。

 経済財政諮問会議では、2月5日の会議で、佐々木則夫・東芝代表取締役(6月から日本経団連副会長に就任予定)ほか民間有識者議員が「雇用と所得の増大に向けて」とのペーパーを提出した。ここでは、規制改革会議に対する注文として、「多元的な雇用システム」や、ハローワークの民間開放などに加えて、「事業・産業構造転換に伴う労働移動等に対応するため、退職に関するマネジメントの在り方について総合的な観点から整理す」ることが挙げられた。昨今のリストラで整理解雇規制の脱法として行われている「追い出し部屋」等の違法な退職強要への批判を念頭に置いてのものである。

 これを受けて、規制改革会議は、2月15日の会議で、「これまでに提起されている課題の代表例」とのペーパーが配布され、様々な規制緩和政策が打ち出されたが、雇用の分野では、労働時間規制の緩和、派遣における規制緩和、職業紹介事業の緩和、解雇規制の緩和が取り上げられた。ホワイトカラー・エグゼンプションや解雇の「金銭解決」制度など、かつて第1次安倍政権が導入できなかった雇用規制の破壊策を持ち出した。これらの規制緩和策は、雇用ワーキンググループ(座長:鶴光太郎・慶應義塾大学大学院商学研究科教授)で検討されることになり、3月8日の会議で、「勤務地や職務が限定された労働者の雇用に係るルール」(いわゆる第二正社員)や職業紹介事業の見直しが優先的に検討すべき項目とされた。

 さらに、産業競争力会議は、3月15日の会議で、テーマ別会合主査を務める長谷川閑史・経済同友会代表幹事が、「人材力強化・雇用制度改革について」と題するペーパーを提出し、雇用の流動化について審議した。その中では、「自己管理型の業務」に対する労働時間規制の緩和や、地域限定・職種限定など多様な「労働契約の自由化」、成立したばかりの派遣労働規制・有期雇用規制の見直し、「再就職支援金」の支払と引き換えに解雇を認めたり、解雇を自由化するなどの解雇規制の緩和、ハローワークの民営化、若年労働者に対する「見習い雇用契約」など、労働者保護を全面的に骨抜きにする政策が並べられている。安倍内閣が導入しようとして失敗したホワイトカラー・エグゼンプション=残業代ゼロ法案を持ち出し、解雇の金銭「解決」制度よりいっそうひどい「再就職支援金」でクビ切りを可能にするなど、労働者保護の法制度に対する異常なまでの敵対意識と財界のねらいが露骨に示されている。

 とりわけ、解雇規制に対する攻撃は突出した感がある。財界側の言い分は、要するに、整理解雇規制が厳しいため、産業構造の転換に対応できずに余剰人員を抱えることで企業活動の足かせになり、人員整理のためには、いきおい乱暴な退職強要が起きざるを得なくなってしまい、これを解消するには、解雇を容易にすることや、職種・勤務地が限定された類型の「第二正社員」を導入して、仕事がなくなれば雇用も失わせることができるようにすることが求められ、同時に、労働市場を整備して、新たに人員を必要とする分野へと労働力が流動化できるようにすべきである、というものである。

 しかし、この論理には、いくつものごまかしがある。
 そもそも、整理解雇規制が厳しいと言うが、ほとんどのリストラでは、御用組合の協力もあって、希望退職等で人員整理の目標は達成されているし、退職に応じない少数の従業員に対しても、「追い出し部屋」など嫌がらせのような配転によって、自主的な退職に追い込むなどにより、容易に規制を僭脱しているのである。必要なのは、こうした脱法を許さないための法執行の仕組みを強化することであって、規制そのものを緩和することではない。

 この点に関わって、いわゆる正社員について、解雇規制によって地位が保障されることと引き換えに、職種・勤務地変更など人事権の広い裁量に服することもやむを得ないとする論がある。「メンバーシップ型」従業員の解雇では、ジョブがなくなったからといって解雇は許されないが、他方で、広範な裁量に基づく配転や人事異動を甘受すべき立場にあるとの見解もある。「第二正社員」の導入論も、この文脈で語られている。しかし、もともと、少なくない正社員にとっては、職種や勤務地を大幅に変更されることはない。「第二正社員」論は、こうした正社員の労働条件を引き下げることにしかつながらない。社宅など充実した福利厚生をも含めた雇用のあり方の概念である「メンバーシップ」論をこの問題に持ち込むことは有害でしかない。
 しかも、「雇用の流動化」を支える労働市場さえも、ハローワークの民間開放や、人材ビジネスの活用をゴリ押しし、儲けの場にしようというのであるから、恐るべき強欲ぶりである。

 このような規制緩和がまかりとおれば、労働条件は底抜けに切り下げられてしまうであろう。企業の横暴な営利活動に対し、労働者の生活と人格を守る観点からの再規制と、規制を貫徹する仕組みづくりこそ求められている。会員の労働組合・民主団体、弁護士・法学者等に対し、安倍政権のもとでゾンビのごとくよみがえった規制緩和の野望を打ち砕く運動に立ち上がり、労働者が安定して仕事をして生活を送り、労働者としての正当な権利を行使することができる社会の実現を目指すことを呼びかけるものである。

緊迫する憲法をめぐる情勢――許してはならぬ、戦争する国への道・憲法違反の集団的自衛権――

弁護士 橋 本   敦

1 安部内閣の登場で憲法をめぐる情勢が緊迫
 昨年の総選挙の結果、小選挙区制による虚構の多数を得て自民党は294議席をかすめ取った。この自民党と日本維新の会とで衆議院の改憲勢力は348議席となり、改憲発議に必要な全議員の3分の2を確保することとなって、憲法改悪の危険が強まっている。
 来る参議院選挙でも改憲派が3分の2の議席をとる事態となれば、戦後60余年にして初めて憲法改悪の発議がなされる事態となる。
 ところが、それを待たずして、今、重大な憲法破壊が進められようとしている。それが、安倍首相がねらう集団的自衛権の容認である。
 安倍首相は、去る2月の日米首脳会談で、オバマ米大統領に「日米同盟はわが国外交の基軸だ。そのため、集団的自衛権の行使容認に向けて憲法解釈の見直しにとりくむ」と約束した。そもそも、憲法99条によって、憲法尊重擁護の責任がある首相が、こともあろうに憲法違反の集団的自衛権の行使を米大統領に約束するなど、断じて許せない。こうして今、憲法問題は緊迫した状況となった。

2 憲法9条を「死文化」させる集団的自衛権の容認
 今、集団的自衛権を認めるとはどういうことなのか。それは、対米従属の日米安保条約の下で日本がアメリカの目下の同盟者となって、米国とともに戦争する国への道をひらくことである。今、自民党は「国家安全保障基本法」を制定し、憲法第9条の改正を待たずして、この集団的自衛権を認めようとしている。
 この集団的自衛権とは、日本が他国から武力攻撃されてもいないのに、アメリカが戦争に入れば、日本はアメリカの同盟国としてその戦争に参加するというものである。これは、明白に、戦争を放棄したわが憲法第9条違反で断じて許せない。
   
3 日本の集団的自衛権はアメリカの要求
 実は、日本に集団的自衛権を認めさせることは、日米安保体制下のアメリカの要求として早くから日本に押しつけられていた。
 2000年には、アメリカの国防次官補アーミテージの「米国と日本の成熟したパートナーシップに向けて」という報告書が、「日本が集団的自衛権を禁止していることは、日米の同盟間の協力にとって重大な制約となっている。この禁止条項を取り払えば、より密接で効果的な日米安全保障協力ができる。憲法第9条は日米同盟の邪魔ものだ」とはっきり述べている。
 また、ラムズフェルド国防長官も、2005年2月の日米安全保障協議委員会で「日米の平和のための協力活動は、血を流してこそ本来の目的につながる尊いものになる」と驚くべき発言をしている。
 このようなアメリカの要求に屈従して、日本も戦争する国となり、世界のどこであれ、アメリカの戦争に参加して「血を流す」こともいとわない。これが安保体制下の日米同盟の本質であると言うのであり、その実現の第一歩が、まさにこの集団的自衛権なのである。

4 国家安全保障基本法の危険な内容と憲法の「死文化」
 自民党の「国家安全保障基本法」案の第10条第1項は、次の場合には、わが国が自衛権を行使できるとしている。
 「一 我が国と密接な関係にある国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態」
 これが自民党がねらう集団的自衛権の発動である。
 そもそも、憲法より下位のこのような法律によって、国の最高法規である憲法第9条がないがしろにされ、戦争放棄の輝かしい平和憲法が「死文化」されてしまうなど絶対に許せないではないか。
 これまでの政府の見解を見ると、例えば、1972年10月14日、田中内閣は、集団的自衛権についての政府見解を国会に提出した文書で次のように明示している。
 「わが憲法の下で、武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」
 この政府見解は、法制局の集団的自衛権は憲法第9条に違反するという明確な見解とともに、今日まで堅持されて来た。
 ところが、日米首脳会談で安倍首相は、前述したように、この政府の憲法解釈を変更すると約束した。これは重大な解釈改憲である。安倍首相のこの対米約束なるものは、なんと言う卑屈、不見識、そしてまた国会をもかえり見ないごう慢なことであろうか。
 そして、実際に安倍首相は、この政府見解の変更を進めるために、第一次安倍内閣の下で設置したが、活動休止になっている「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を復活させた。
 憲法の破壊は、それだけではない。自民党のこの「安全保障基本法」案第3条では「国は必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」と規定しており、これによって国民の「知る権利」を奪う憲法違反の「秘密保全法」が制定されようとしていることも重大である。

5 安倍内閣の憲法改悪二正面作戦とわれわれのたたかい
 安倍首相は今、国会でも「憲法改正論議をおおいにおこしてゆこう」と述べ、憲法改悪の方針をいよいよ明確に打ち出している。安倍内閣の改憲のねらいは、まず憲法第96条の改憲手続要件の緩和をねらい、さらに憲法第9条の廃棄という本来の改憲に迫る基本的改憲路線を堅持するとともに、それよも先に憲法改正を待たずして、集団的自衛権承認を強行する不当な解釈改憲の道を急ぐこと、つまり、憲法蹂躙の二正面作戦が構えられていることが明らかである。
 かくして今、憲法をまもるたたかいは、まさに風雲急を告げ、今日、重大な局面を迎えている。
 今こそ、この安倍改憲二正面作戦に断固として立ち向かい、戦争をしない国日本、そして、世界に誇る平和憲法をまもりぬく大きな国民的たたかいをもり上げねばならない。
 神奈川大学中村政則教授がその「戦後史」(岩波新書)の終章で、日本が平和への道を進むことを願って揚げられている憲法記念日に寄せられた次の庶民の歌が胸に迫る。
  九条は水漬き草むす兵が礎 (尾崎篤子)
  生き残りし古老の言葉淡々と「やるもんじゃねえ、戦争は二度と」 (吉川邦良)
 さらに、われわれが敬愛する河上肇が終戦の日に詠んだ歌を記したい。
  あなうれし とにもかくにも生きのびて
  戦やめける けふの日にあう
 この歌には、「貧乏物語」を書いて京都大学を追われ、さらに、治安維持法で弾圧され、長年の獄中の苦難の日々に耐えてようやく戦争終了の日を迎えた河上の平和への熱い思いがしたたる。
 戦争が終わって、ようやくめぐり来た尊い平和の日々、われわれはその平和を、そして世界に誇れる平和憲法をまもりぬく決意をいつも新たにしよう。そして、今、安倍内閣が憲法第9条改悪の突破口として、日本を戦争する国にする「集団的自衛権」を認めようとしている暴挙に対し、断じてこれを許さないために奮闘しよう。