民主法律時報

街頭宣伝の自由確立をめざす各界懇談会(街宣懇)学習交流集会の報告

弁護士 南 部 秀一郎

 2012年11月16日、街宣懇では、学習交流集会をもちました。当日は、会場の国労大阪会館中会議室が満席になるほどの出席者に来ていただきました。出席していただいた方に、まずこの場で感謝の言葉を述べさせていただきます。拙い文章ですが、以下、当日の模様を報告いたします。
集会は、主催者を代表した大阪労連の川辺和宏議長のあいさつから始まりました。
そして、今回の講師として招いた、自由法曹団大阪支部支部長の伊賀興一弁護士から「街頭宣伝の自由を守る闘いは、心の自由を守る闘い」と題して、講演いただきました。
まず、この講演では実物の「許可状」を見て、その問題点がどこにあるのかを、会場の参加者で考えました。問題の「許可状」では、チラシを渡す人数や、チラシ配布場所を限定し、渡すチラシの添付まで求めています。また、街宣についての許可状には、街宣を行う場所や細かな許可条件が付されており、許可条件には「道路において駐停車して放送宣伝を行わないこと」などというものも含まれています。
このような許可状を示すことで、伊賀弁護士は語ります。「警察は許可をとることで制限を付させる。許可を得ることは、警察に取り締まり権限を与える行為である。」
更に、伊賀弁護士は街頭宣伝を規制するとされる法令、道路交通法、屋外広告物条例、公安条例などをあげて、街頭宣伝そのものを制限する法令がないことを説明します。これはつまり、街宣活動そのものには、許可を得る必要性がないということです。警察は取り締まる権限もないのに許可をとることを求め、この許可によって、街宣を制限しているのです。
話の後半では、伊賀弁護士は、自由法曹団が街宣の自由を守る闘いに参加されるようになった、1980年代に遡り、自らの経験を話されました。その中で、印象的なのは、1986年10月のなんば駅での攻防のお話です。警察官が街宣に対し、プラカードを掲げて街宣を妨害しているのに対し、宣伝者が街宣の自由を説き、警察に対し、「取り締まる根拠はあるのですか?」と問いかけます。そうしたところ、周囲の市民から「警察帰れ」の大合唱の声が。
集会での質疑の時間に、参加された合唱団「ピースコール」の方が、市民の支持を受けることが街宣成功に必須であることを、日々、通行している人たちに宣伝が届くよう工夫されている活動実例に基づいて報告されていましたが、街宣は市民の支持のもと、市民のために行う活動だと認識することが大事なのではないかと、私は思いました。決して、警察の許可を受け、警察のために行うものではありません。
伊賀先生は最後に、「街宣の自由を守る闘いは、心の自由を守る闘いである」と、講演をまとめられました。これから、街宣を行うにつき、心にとめておきたい言葉です。
当日は、組合関係者だけでなく、現在争議を闘っておられる方々のお顔もたくさん見ることができました。この日の学習交流集会で話された内容が、これからの街宣活動に活かされると思います。また、これからも、街宣懇では、情報を収集し、学習集会等情報交換の機会をもって、自由な街宣活動が行われるよう努める所存です。

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