街頭宣伝の自由確立をめざす各界懇談会(街宣懇)・再開の報告

2012年03月28日

弁護士 西 川 大 史

1 はじめに
 近時、労働組合や民主団体等の街頭宣伝に対して、警察が干渉・介入してくる事例が急増していることに鑑み、大阪労連、国民救援会、自由法曹団大阪支部、民主法律協会では、この間、学習会や意見交換会を重ね、警察等による近時の街宣活動に対する干渉が看過できないこと、また、放置すれば街頭宣伝の自由が制限されるとの危機感を抱き、組織的な対応が必要であるとの共通認識を持つに至りました。
 そこで、「街頭宣伝の自由確立をめざす各界懇談会」(街宣懇)を再開し、具体的な事例の集約と分析、必要な対応と運動化を目指すこととなりました。

2 街宣懇とは?
 街宣懇が結成されたのは、1989年のことです。当時、私はまだ7歳であり、当時の弾圧、それに対する闘いを体験したわけではありませんが、街宣懇が結成されたのは以下の経緯によるものと聞いています。
 1980年代に入り、労働組合や民主団体などの行うポスター貼り、ビラ配り、宣伝カーの運行などに対して、道交法や軽犯罪法、屋外広告物条例など、本来、取り締まりの根拠にならないはずの関係法令を駆使した干渉・妨害、逮捕などの事案の鎮圧が相次ぐなか、個別の対応ではなく、ともに知恵と力を寄せ合って、組織的に対応しなければならないということが意識され始めたとのことです。そこで、警察権力からの干渉・妨害事例を情報交換するとともに、集約・分析し、不当な弾圧を許さないという、まさに「弾圧」に対抗する手段として、街宣懇が結成され、警察権力からの弾圧と闘ってきたと聞いています。
 しかし、90年代に入り、警察からの弾圧は様変わりし、街頭宣伝やビラ配布、ポスターに対して、近隣住民からの苦情や美観維持等、一見、誰もが反対できないような命題を突きつけて、干渉、妨害してくるようになり、街宣懇の活動も次第に休眠状態になったとのことです。
 街宣懇結成に至る経緯や、当時の弾圧等については、国民救援会大阪府本部の伊賀カズミさんの「『言論表現の自由』と『弾圧』について考える」(民主法律287号(2012年権利討論集会特集号)139頁)に詳細が分かりやすく紹介されていますので、そちらを併せて参照していただきますようお願い致します。

3 近時の街宣活動に対する干渉、介入状況
 ところが近時、労働組合の街頭宣伝に対して、警察等が干渉・介入してくる事例が急に増えています。具体的には、「許可を取ったのか」、「道路交通法違反である」、「いつ終わるのか」などと宣伝行動をやめさせようとする干渉、介入です。
 しかし、街頭宣伝に許可を必要とする法令はなく、裁判例でも、「通行量の多いとはいえない道路は当然のこと、交通の頻繁な道路でも、通行を大きく阻害するような形態でビラを配布しない限り、法律上許可をとる必要はない」と明確に示しています(有楽町駅前ビラまき妨害事件判決・東京高裁昭和41年1月28日判決)。また、街頭宣伝の制限時間を定める法令も公選法を除いて存在しません。
 それにもかかわらず、警察権力は、「許可が必要だ」などと言って街頭宣伝に干渉、介入しているのであり、ある宣伝行動に対しては、警察官から「判例を作るために検挙することもあり得る」という看過できない暴言まで飛び出しています。しかし、長年このような警察権力からの干渉・介入の事例は多くなかったことから、現場でどのように対応すべきか迷うことがあるとの声が多く寄せられています。
 そこで、警察権力と闘い、自由な街宣活動を守るために重要な役割を果たしてきた街宣懇を再開し、具体的な事例の集約と分析、必要な対応と運動化に取り組むとともに、委縮することなく自由な街宣活動の確立を目指すこととなりました。

4 4月3日、再開総会
 街宣懇を再開するにあたり、4月3日午後6時30分から、国労会館3階中会議室で再開総会を開催し、「街頭宣伝の自由を守るたたかい」についての学習を予定しています。
 民法協会員の皆様には、この「街頭宣伝の自由確立をめざす各界懇談会」の再開へのご協力と、再開総会へのご参加をお願い致します。