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| 関西航業事件勝利和解報告 法廷闘争の到達点と課題 |
| 弁護士 鎌 田 幸 夫 |
- はじめに―勝利和解の要因
関西航業事件が8年越しに勝利和解することができた。和解内容としては、職場復帰はならなかったが全日空の子会社であるOASに一定額の解決金を支払わせることで責任をとらせることができた。関西航業事件は、従業員としての地位確認を裁判所に求めた本訴は、地裁、高裁で負け、平成15年9月、最高裁で上告不受理となり、労働委員会に対する不当労働行為救済申立も、地労委、中労委で負け、東京地裁に提訴した取消訴訟においても、平成16年3月30日、いったん裁判所での和解が決裂した。しかし、一転して、東京地裁の6月28日の判決言渡しの直前に勝利的和解を勝ち取れた。これは、争議団が、敗訴判決を乗り越えて、固く団結を守り、不撓不屈の闘いを続けたこと、東京地裁、最高裁に闘いの舞台が移行した後は、航空労組連絡会を中心にし「全国連絡会」を立ち上げ、全国キャラバンなど、全日空の包囲運動を徹底して展開したこと、そして、それまでの大阪弁護団に加え、東京の上条、船尾、安原弁護士に加わってもらい、陣容を拡充して、粘りに粘った法廷闘争を展開して和解のきっかけをつくったことにあると思う。
以下に、関西航業争議における法廷闘争の位置づけ、到達点と課題について述べたい(なお、弁護団全体の議論はできておらず、私見にとどまる)。
- 関西航業事件の特徴と法廷闘争の意義
関西航業事件の特徴は、@75名の大量解雇が、OASと関西航業の間の偽装請負契約の解除、関西航業解散という巧妙な形で行われたこと、AOASによる偽装請負の解除が、全日空の意向を受けて、規制緩和に便乗して関西航業分会を壊滅させ、OAS労組を弱体化する目的で行われたことにある。それゆえに、法廷闘争の意義は、今回の契約解除が、全日空、OASの不当労働行為意思に基づくものであることを明らかにし、その不当労働行為責任を追及し、また、OASに解雇された関西航業従業員の雇用責任を追及することにあった。また、これは、@「偽装請負」の形をとった使用者責任の免脱を許さない、A規制緩和とそれに便乗した労働者の雇用・権利の切り捨てに歯止めをかける、B組合潰しを許さない、という航空労働者にとどまらない全労働者、労働組合の要求に合致した闘いでもあった。
- 法廷闘争の到達点と課題
(1)法廷闘争としては、@労働委員会において、OAS労組が申立人となり、全日空に対する団体交渉、OASに対する従業員としての取扱いを求めた不当労働行為救済申立と、A裁判所において、関西航業争議団が原告になり、OASに対して地位確認を求めた本訴であった。
弁護団は、従来の判例の傾向からして裁判所のハードルの高さを予期し、法廷闘争を軸にしながらも法廷外の運動を両輪として、勝利解決を目指す方針であった。8年間ごしの闘いを経て、勝利解決をしたわけであるが、裁判所の厚い壁にどこまで風穴をあけることができたのか、これまでの闘いの検証が求められていると思う。
(2)不当労働行為救済申立
労働委員会闘争、そして、東京地裁の取消訴訟では、今回の契約解除が全日空、OASの組合弱体化を目的とした不当労働行為であることを明らかにして、労組法7条の使用者として、その不当労働行為責任を追及することであった。
地労委決定(平成12年5月26日)は、OAS経営による関西航業分会のOAS労組からの脱退工作など一連の不当労働行為を基礎づける事実関係、OASの関西航業への様々な影響力・支配力や関西航業従業員の労務提供がOASに組み込まれていることを認定しておきながら、「OASの支配力は関西航業従業員の労働条件決定までには至っていない」として使用者性を否定し、全日空についても、「直接に下請け企業の従業員の雇用や労働条件を決定するものであるとは言えない」として使用者性(団交応諾義務)を否定した。
後日談であるが、事実認定と判断部分がねじれているのは、担当公益委員は救済の心証をもっていたが、4回にわたる公益委員会議で、全日空とOASの労組法7条の「使用者性」を否定する結論が出されたと聞く。地労委却下決定は、朝日放送事件最高裁判決の「労働条件の現実的かつ具体的に支配・決定できる地位」を形式的かつ厳格に適用したものであるが、同事件は、社外労働者受入と直接使用に関するものであって、親子会社型の間接使用の本件にそのままあてはめることは妥当でない。しかし、中労委も地労委の却下決定を是認したため、東京地裁での取消訴訟となったわけである。弁護団は、全日空の不当労働行為を徹底的に明らかにし、使用者性に関する一連の最高裁判決の分析を通じて、本件は朝日放送事件の射程距離外であり、中日放送管弦楽団事件・油研工業事件・阪神観光事件の最高裁判決こそ先例とされるべきであるとの論陣を張った。和解の成立によって、東京地裁の判決を聞くことはなかった。しかし、関西航業事件が係属していた東京地裁36部で、平成16年5月17日に、仲立証券を解散・解雇に追い込んだ親会社・大阪証券取引所に対して団交義務を認めた中労委命令が取消されており、裁判所は、親子会社型にも朝日放送事件判決を前提にした「現実的かつ具体的な支配・決定」を要求する傾向にある。
労組法7条の「使用者性」について、朝日放送事件最高裁判決の射程距離を制限し、親子会社型においても、不当労働行為の「使用者性」を認めさせていく闘いは、法廷闘争と運動論双方において重要な課題である。
(3)地位確認訴訟
裁判所での地位確認訴訟では、関西航業の法人格を否認して、OASに関西航業分会員の雇用責任を負わすことができるかが最大の争点であった。大阪高裁判決(平成15年1月30日)は、法人格濫用には「支配の要件」と「目的の要件」が必要であるとし、@支配の要件は、「雇用主と同視できる程度に雇用および従業員の基本的な労働条件などについて具体的に決定できる支配力」が必要であるが、OASの関西航業に対する影響力は事実上のものにとどまるとし、A目的の要件は、「本件契約解除はOASがOAS労組の弱体化をも目的として実施したもの」と認定しながら、解除は、契約法理の問題であるとして、法人格濫用の適用を否定している。このように、判決の理由中で本件契約解除が組合弱体化目的であることは認めさせることができたが、結論として雇用責任を認めさせるハードルはやはり高かったと言わざるを得ない。
しかし、この判旨に対しては、@の支配の要件については、社外工の直接使用に関する朝日放送事件の枠組みを、親子会社型の間接使用である本件にあてはめることは妥当でなく、支配の要件は実質的支配(人事管理、労働関係に関する実質的影響力)があれば足りるし、Aの目的の要件については、支配会社がいかなる方法で従属会社を解散に追い込んだかを問わず、不当な目的を認めるべきであるとする批判が、学者からもなされている(土田道夫「労働経済速報」NO.1866)。そして、企業再編に伴い、法人格の違いを利用して不当労働行為をする、従属会社を解散をさせ解雇するというケースは今後も多発すると思われる。形式的に法人格させ整えておけば、支配会社は、いかなる不当労働行為を働いても免責されるという結果を容認してはならない。前述した土田教授からは、法人格否認の法理の効果として、不法行為責任追及の方向性が示唆されているが、あくまで雇用責任の追及を軸としながらも、事案に応じて他の責任追及の方策の理論的検討も必要となろう。
- 最後に
今回の勝利和解は、争議団の8年間の闘いを無駄にせずに誇りをもって今後の人生を歩むことを可能とし、また、背景資本の責任追及という困難な事件を闘っている他の争議団にも勝利解決への展望を示し、大きな励ましになったと思う。争議団の長年の闘争に敬意を表し、多方面からのご支援に心から感謝したい。
(弁護団は、豊川義明・梅田章二・藤木邦顕・森信雄・鎌田幸夫・豊島達哉・白倉典武・中西基・以上大阪、上条貞夫・船尾徹・安原幸彦以上東京です)
- 大阪市大正区で地域医療を担ってきた串田病院の職員組合(大阪医労連)の書記長である森光美文さんが解雇されたのは、平成13年5月のことでした。
ワンマン理事長のもとで、職員がものを言えない職場で、森光さんは視覚障害のハンディを抱えながらも、組合書記長として活動してきました。ところが、理事長は、平成9年に、リハビリ室で、はり灸マッサージ師の資格で働いていた森光さんに、医療事故の責任をきせて、賃金カットやボーナスカットをしてきました。これに異議を唱えて提訴した賃金請求訴訟は、森光さんの全面勝訴の判決でした。しかし、病院は、判決で命じられた過去分のみを支払い、減額した調整手当などを減額したまま支払い続けたので、平成13年1月に第2次訴訟を提起しました。
ところが、その裁判が始まってまもなく、平成13年5月に病院長であった医師が退職したことから、理事長は、整形外科を廃止し、リハビリ室も閉鎖するという口実を持ち出し、リハビリ室にいた森光さんともう一人の職員を解雇してきました。
串田病院といえば、整形外科で診療報酬の大半を得ている病院で、整形外科廃止などというのは絵空事であり、虚偽の解雇理由でした。
最初の地位保全仮処分申し立ての審理においては解雇理由の主張さえできないというありさまでした。本訴になり、病院は、リハビリ室に新しい職員を雇い入れ、再開するなど、解雇の目的が森光排除にあったことを露わにしてきました。
平成14年3月に、本訴で解雇無効の勝利判決を得ましたが、少数組合のために、職場復帰を勝ち取ることができす、控訴審に持ち込まれました。
裁判官の交代などもあり、実質的審理がないまま推移していたところ、平成15年夏に、大正区の地域の労働者などを中心に「森光さんを応援し、職場に復帰させる会」を結成され、病院前でのビラまきや理事長への抗議行動、要請はがき運動などが取り組まれました。理事長は最初は硬化しましたが、その効果は、次第に現れ、理事長を追い詰めていきました。
平成15年秋の和解交渉は、理事長が職場復帰を拒否して中断し、さらに平成16年1月からは仮払いしていた賃金の支払いを止めるなどの暴挙にでて、病院の現金や診療報酬の差し押さえなどという事態になりました。しかし、その後、労使関係正常化の意見を持つ新しい事務長が就任したこともあり、一気に和解交渉が前進し、平成16年5月31日に裁判上の和解が成立し、6月14日より元のリハビリ室に職場復帰することができました。
応援する会が結成されるまでは、特に控訴審は、代理人である私と森光さんだけの孤独な法廷闘争でしたが、応援する会ができてからは、和解交渉で入室できなくとも、廊下に毎回、争議団の仲間が応援にきて、森光さんを励ましてくれました。
この力がなくては、この職場復帰は勝ち取ることができなかったと思います。ただ病院は、この労働争議や理事長の恣意的な運営による弊害で職員の退職などもあり、また病院患者数の減少などの経営危機も迎えており、職場復帰はしたものの前途多難ではあります。
しかし、森光さんが、運動のなかで自分の身につけた労働運動の経験などを、少数組合での運動に生かしていって、職場の力になっていくことを願っています。
- (弁護団 筆者のみ)
- ご支援頂いた全国の皆さんありがとうございました
名古屋への新幹線通勤を1年8ヶ月続けました。
「介護のため大阪勤務を」と愛知のNTTリストラ支援共闘会議や通信労組、各種団体個人の皆さんの大きなご支援を頂きやっと大阪勤務が実現しました。大阪勤務が実現してからは、午前5時過ぎの起床、午後8時帰宅の毎日から開放され、気分的にも随分楽になり母の介護も余裕をもって当たれるようになりました。その影響か母の笑い声もよく聞かれるようになり、近所の方から顔立ちが穏やかになったと言われ喜んでいます。実に多くの皆さんにご支援を頂きましたお陰です。支店長への要請ハガキも限られた時間の中、1枚2枚と知り合いの方にもお願いして頂いたこと、大阪に帰って始めて知りました。本当にありがとうございました。
- 励ましあいながら共に生活してこそ家族、会社はそれを奪う権利はない
事の発端は、会社が50才以上の労働者に「このままでは会社は赤字になる」と、一旦退職し15%から30%の賃金ダウンで再雇用を提案、応じないものは全国広域配転を承諾したものとみなすと称して全国規模の遠隔地配転を強行しました。
「必要性のない不当な配置転換」の撤回を求め、全国で50名の仲間が6地裁に提訴して頑張っています。電話を利用する人への一層の負担増(104の有料化・公衆電話の撤去等)と人員削減で、大儲けをねらったものであることがはっきりしてきました。現場一筋で頑張ってきた50才を超える私達の仕事は、「名古屋では営業の出来る人が求められている」と説明しておきながら、鯛のいないところに釣り糸をたれて鯛を釣れと言うごとき販売活動、最高で2百万円を超える通勤費を払って名古屋まで通わせ、仕事は「手引き書」の作成。どう考えても嫌がらせの配転としか考えられません。
大阪から名古屋に配転させられた18名の中にも、高校生の2人の娘さんがおり自らも頭に重大な病を抱えながら単身赴任で頑張る仲間、糖尿病を抱えストレスの多い長距離通勤をしている仲間、単身赴任後体調不良で病院通いの続く仲間、それぞれ厳しい条件の中必死に頑張っている仲間がいます。このような会社の仕打ちは本当に許せません。家族と励まし会う生活があってこそ良い仕事が出来るはずです。そのことを通じて会社にも社会にも貢献できるのではないでしょうか。この方達の大阪復帰が1日でも早まるよう皆さんの一層のご支援どうか宜しくお願いします。
私の場合パーキンソン病で歩行困難な父の面倒を見ていること、母も私を頼って早朝深夜に電話してくる状況で、名古屋への配置転換には応じられない旨を再三申し入れたにもかかわらず、「奥さんと娘さんがおられる」と言う理由で配転命令が出されました。名古屋勤務中に浴室で父の死亡、母の痴呆症の進行。「痴呆に苦しむ母を手厚く介護してやりたい、少しでも長く心安らかな生活を」との思いで「介護のため大阪に返してほしい」との要請に対しても、「あなた以外に介護のできる人がいる」の一言でした。
人間として誰もが持つごくあたりまえの願いに対する会社のこの態度、本当に許せません。
- 大きく世論に訴える運動が大阪復帰の力に
大阪に戻ることの出来た力は法廷での会社への要請と法廷外での「大阪に戻せ」の運動の盛り上がり、国会での実名をあげての追求が大きな力になりました。
通信労組西地本を先頭に団体交渉で繰り返しての追求、愛知支援共闘会議の名古屋支店へ再三の要請、毎週の門前宣伝、月1回の駅頭宣伝、ハガキやメールでの支店長、又担当課長への要請、八田参議院議員が支店前宣伝に参加くださる等、法廷や会社内だけの問題にせず大きく世論に訴える運動があったからと考えます。
精神的・肉体的に厳しいときもあり大変でしたが、通信産業労働組合とNTTリストラ裁判支援共闘会議の皆さんはもちろんのこと、我が事のように走り回って頂いた役員の皆さ
ん、仕事の事や家の経済状態まで心配して支援の体制を組んで頂いた仲間の皆さんの大きな支えがあって頑張ることが出来ました。
- 働き続けられる職場作りめざして頑張ります
河村弁護団長が講演で述べられた、「少数組合の権利、自由を守ると言うことを通じて、組合に結集しながら自分たちの権利、自由を守っていく。そういう形で憲法の保障している思想信条の自由を守っていく」、と言われた意味がどういう事なのかこの運動の中で学ばせていただきました。日頃の様々な運動があって、初めて権利は保障されるということを。
裁判は今秋から証人尋問が始まり、本格的な論戦が行われます。政府が強い影響力を持つ(46%もの株を持つ)会社、NTTの法律を無視してのリストラを許せば、全国の働く仲間の皆さんに対する影響は計りしれないものがあり、負けるわけに行きません。
一層のご支援どうか宜しくお願いします。
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